宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

惑星成長のカギを握る“安全地帯”を発見

2013年06月19日 | 宇宙 space
惑星や彗星などの天体は、生れたての恒星を取り巻くチリやガスの円盤の中で、微粒子が衝突合体して成長すると考えられています。

でも、ある程度大きくなった粒子は、
衝突で破壊されたり、円盤中のガスとの摩擦でエネルギーを失い、大きくならないまま中心星に飲み込まれたりするので、
破壊や軌道変化を逃れて成長できる“安全地帯”の存在が必要とされてきました。

この“安全地帯”は“ダストトラップ”と呼ばれ、
オランダのライデン大学が、へびつかい座の方向約400光年先にある恒星“Oph-IRS 48”の(チリとガスの)円盤に初めてとらえています。

この星の周囲の円盤では、マイクロメートルサイズの極小微粒子が、ドーナツ状に分布していることが以前の観測で分かっていたのですが、
アルマ望遠鏡でミリメートルサイズの微粒子を観測したところ、カシューナッツ型に分布していたんですねー





“Oph-IRS 48”の星周円盤の微粒子分布
欧州VLTでとらえたマイクロメートルサイズの微粒子分布(オレンジ)と、
アルマがとらえた数ミリサイズの微粒子分布(緑)



この大きめのサイズの微粒子は、“ダストトラップ”についての理論予測通りガスの環の端に位置していて、微粒子はこの中で衝突合体を繰り返し大きくなっていくと考えられます。

アルマ望遠鏡で発見されたのは、彗星のゆりかごといえるもので、
この場所はミリメートルサイズの微粒子が、彗星のサイズにまで成長するのに適した環境を持っています。

今回“ダストトラップ”が見つかった場所は中心星から遠いので、ここで地球のような惑星ができるとは考えにくいんですよねー

でも、将来的には中心星により近いところをアルマ望遠鏡で観測することで、
同じような仕組みで惑星が作られる可能性がある場所… 惑星のゆりかごを見つけることができるのかもしれませんね。