時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

アベノミクスで格差が拡大

2014-12-22 23:29:18 | 日本政治
人民日報の記事より。

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厚生労働省がこのほど発表したデータによると、
今年9月現在の生活保護受給世帯は161万世帯で過去最多となった。

野村総合研究所の研究結果によると、
日本で1億円以上の金融資産を持つ「富裕層」は初めて100万世帯を突破した。

アベノミクスの実施から2年が経過するが、
日本社会の貧富の格差が拡大を続けている。
人民日報が伝えた。


野村総合研究所と日銀所属の金融広報中央委員会が発表したこの研究結果によると、
2013年の富裕層は安倍首相が就任する前の2011年より24.3%増加し、
世帯全体の2%を占めた。

資産増加の主因は、富裕層が保有する株および投資信託の値上がりだ。
一方で、いかなる金融資産も持たない低所得層も増加を続けている。

金融資産がゼロの2人以上の世帯数は2013年に31%を占め、単身世帯数は38.9%に達した。
1970-80年代、この比率は5%のみだった。


アベノミクスの一本目の矢である量的緩和策により、日銀は大量の紙幣を発行した。
これらの資金の多くは株式市場に入り、日経平均株価は2年内に倍増し、
一時1万8000円を超え2007年ぶりの高水準を記録した。

同時に、円相場が30%以上低下し、輸入に強く依存する食品・燃料価格が高騰した。

物価上昇や消費増税などの要素により、日本企業が今年数年ぶりに増給してはいるが、
一般世帯の実質所得は減少を続けている。

厚生労働省が12月2日に発表した統計データによると、
労働者1人が10月に受け取った現金給与総額は前年同月比0.5%増となったが、
物価上昇分や消費増税などの要素を除く実質は2.8%減で、16カ月連続の減少となった

安倍首相の経済政策はまた、東京と地方、大企業と中小企業の格差を広げた。


自動車などの輸出産業は円安により利益を増やしているが、
日本企業の99.7%を占める中小企業は原材料価格の上昇と内需疲弊の圧力を受けている。

商工会議所が11月に実施した調査によると、
ドル円相場が1ドル=115円の大台に乗り、4割の中小企業の利益が減少した


安倍首相は年初の施政方針演説の中で、
「景気回復の温かい風をどの地域にも届ける」と述べていた。

しかし記者が日本各地を取材したところ、
東京以外の大半の地方では、景気に大きな改善が見られなかった。

鹿児島県の南日本新聞社の海江田由加社会部長は本紙記者に対して、
「九州では、せいぜい福岡のような大都市しかアベノミクスの恩恵を受けていない。
安倍政権は地方創世のスローガンを掲げているが、
この地方に各県の市町村が含まれているかは不明だ
」と述べた。

共同通信社の世論調査によると、
人口の少ない地方ほどアベノミクスに対する評価が低く、東京などの大都市とは対照的だ。


貧富の格差が社会生活のその他の場面にも蔓延しており、
教育という貧富の格差の「調節器」も効果を失い始めている。

文部科学省の2014年学校基本調査によると、
高校卒業生の4年制大学への進学率の全国平均は53.9%となった

地方別に見ていくと、
東京都は最高の72.5%、
青森県は最低の38.6%となった。


両者の差は34ポイントで、20年前の格差の2倍弱に達している。

進学率が低い地方の多くは経済水準が低く、
学生の多くは家計の問題から学費や家賃を支払うことができない。


東京大学の学生の家計に関する調査によると、
同校の学生の半数が年収950万円以上の家庭だ(日本の家庭は年収550万円が平均)。

これらの学生は同年齢の人たちよりも早めに塾に通い、
学費の高い私立高校に入学する比率も高い。

ニッセイ基礎研究所主任研究員の土堤内昭雄氏は、
「教育・就職・所得の格差が連鎖反応を形成しており、
日本社会の層の固定が深刻化している」と指摘した。(編集YF)

「人民網日本語版」2014年12月19日

http://j.people.com.cn/n/2014/1219/c94476-8825501.html
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統計上は、日本の若者は
2人に1人しか大学に行っていないということになる。


先日、アップしたウクライナの記事で教育の無償化をやめるのは
考えない人間(政府の言いなりになりやすい人間)のほうが
政府にとって都合がよいからだという意見を紹介した。


日本は、すでにキエフの洗脳工作に一歩早く着手しているのでは?


人民日報のほうが日本のテレビや大新聞より
ジャーナリズムを貫いているのが不思議でたまらない。


仮にこのアベノミクスによって起きた格差をメディアが連日、
STAP細胞事件なみに力を入れて報道したら選挙結果は変わっていただろう。

案の定、北朝鮮の申し出を拒否したアメリカ

2014-12-22 00:55:46 | 北朝鮮
ソニー・ピクチャーズの映画に対するサイバー攻撃事件。

下手人が誰かはハッキリとわからないのだが、アメリカは証拠も提示せず、
北朝鮮の仕業と断定し、しかるべき対応を取ると断固、言い張っている。


これに対し北朝鮮は調査への参加を要求したが、
予想通り、提案は拒否され、代わりに同社への賠償を要求した。

http://rt.com/usa/216395-sony-north-korea-compensation/

証拠があるのならば、堂々と参加させれば良いではないか?


海外メディアも含めて、北朝鮮の報道にはいい加減な情報がついて回る。
たとえば、次の記事。

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北朝鮮 宇宙飛行士が太陽に着陸と発表


北朝鮮のマスコミは、同国の17歳の宇宙飛行士が、
太陽への着陸を成功させただけではなく、地球に無傷で生還したと主張している。


この極めてナンセンスな声明を発表したのは、朝鮮中央通信。
北朝鮮のマスコミは、北朝鮮の17歳の宇宙飛行士が、太陽への着陸に成功したほか、
地球に無傷で帰還したと主張している。Tweaktownが伝えた。


伝えられたところによると、17歳の宇宙飛行士ホン・イル・ゴンさんは、
高温による有害な影響から自分を守るために深夜に出発した。

ホンさんが必要とした時間は、合わせて36時間。

ホンさんは、すでに祖国へ帰還し、英雄のように迎えられたという。

また、「人類で初めて太陽に着陸した人物」は、
北朝鮮の金正恩第1書記と面会する予定だという。

http://superinteres.mirtesen.ru/より
続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_11_08/279757675/
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もちろん、デマである。



http://waterfordwhispersnews.com/2014/01/21/north-korea-
lands-first-ever-man-on-the-sun-confirms-central-news-agency/


上のジョーク記事が、なぜか事実として報道されたのである。

この点については山本弘氏がまとめているので、次のページを参照してほしい。

http://hirorin.otaden.jp/c9988.html

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「北朝鮮がデマを流した」のではなく、
「北朝鮮が宇宙飛行士が太陽に着陸と発表した」というのがデマなのである。


分かりやすく時系列を整理してみる。

・1月21日、Waterford Whispers Newsがジョーク記事を載せる。
http://waterfordwhispersnews.com/2014/01/21/
north-korea-lands-first-ever-man-on-the-sun-confirms-central-news-agency/

・1月23日、Tweak Townがそれを転載。
http://www.tweaktown.com/news/35032/north-
korea-confirms-it-has-landed-a-man-on-the-sun/index.html

・3月1日、Weird Asia Newsが転載。
http://www.weirdasianews.com/2014/03/01/north-korea-claims-landed-man-sun/

・3月2日、「はちま起稿」と「秒刊SUNDAY」が拡散。
http://blog.esuteru.com/archives/7568091.html
http://www.yukawanet.com/archives/4634056.html

・当然、2ちゃんねるなどでも話題に。
http://himasoku.com/archives/51835545.html

・3月3日、「ねとらぼ」がデマを打ち消す記事を載せ、いったん鎮静化。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1403/03/news121.html

・11月7日になって、
ロシアのSuperinteres Mirtesenというサイトがなぜかこのニュースを取り上げる。
http://superinteres.mirtesen.ru/blog/
43684682027/KNDR-zayavila,-chto-ih-kosmonavt-pobyival-na-Solntse

・11月8日、「ロシアの声」日本語版に転載。
http://japanese.ruvr.ru/news/2014_11_08/279757675/

・同日、「痛いニュース(ノ∀`)」「はちま起稿」が取り上げる。
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1816774.html
http://blog.esuteru.com/archives/7922996.html

・たちまちツイッターなどで拡散。
http://togetter.com/li/742739

あきれるのが「はちま起稿」である。
なんと、今年3月と今月、同じデマを流している!

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山本氏は記事の中で「ロシアの声」にはウソ記事が多いと指摘している。

実際、「ロシアの声」にはオカルトものの記事もあり、
また、なぜか北朝鮮に対しては偉くいい加減な記事を載せる。


10月にはキム・ジョンウン自宅監禁・死亡疑惑の記事まで載せていた。


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西側のジャーナリストたちは、
1月以上にわたって公の場に姿を現していない
北朝鮮の金正恩第一書記に何が起こったのかについて憶測を続けている。


今のところ多かれ少なかれ確認されている説として、
31歳の金第一書記が、病気になったという説がある。

北朝鮮のテレビは夏、金氏が足をひきずる姿を放映し、
最近は、第一書記が「不自由な体にもかかわらず、揺らめく炎のように、
国民が進むべき道を指導している」と伝えた。西側のマスコミでは当初、
金第一書記が、食事などの不摂生によって生じる痛風を患っていると報じられた。

一方で、北朝鮮の一部の情報筋は、
軍事演習を視察した際に第一書記が足を負傷したと主張した。


しかしここにきて新たな説が浮上した。
オランダにあるライデン大学の朝鮮専門家Remco Breuker氏は、
ABC紙のインタビューで、北朝鮮では権力争いが行われており、
軍の大将らが若い第一書記の従うのをやめ、第一書記を自宅監禁しているとの見方を表した。


The New York Daily Newsは、アナリストたちの情報として、
金第一書記の妹の金与正(キムヨジョン)(27歳)氏が、
現在北朝鮮を密かに統治していると報じた。


またndependent紙の説では、高齢の将軍たちが企てた宮廷革命が試みられたあと、
金第一書記は逃亡し、すでに死亡している可能性もあるという。

NTV.ruより
続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_10_13/278599261/
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その後もキム・ジョンウンが
ピンピンしているのは言うまでもない。


10月19日には、李雪主夫人とともに仁川アジア大会と世界体操選手権大会、
世界レスリング選手権大会で金メダル選手や監督らと面会している。

この記事が掲載されて1週間も経っていない時にあったことである。



おわかりだろうか?この程度のゴシップ記事も見抜けない連中が
EUやアメリカ、日本の北朝鮮の「専門家」なのである。



こういう状況だから、きちんとした調査は絶対に必要だろう。
制裁を行ったり、賠償を請求するのは調査の後でいい。



どうして北朝鮮の情報にはデマが多いのか?

一つには北朝鮮という国家に対する侮蔑、
自分たちより数段劣る国だという傲慢な態度にあるだろう。


冷静に考えれば太陽に到着したなどという馬鹿な話、真面目に報じられるわけがない。
ところが、北朝鮮ならあり得るという見下した姿勢がそのおかしさを信じてしまう。



こういう態度は大航海時代にインディオの社会や宗教を見下し、
キリスト教的価値を刷り込ませるのが必要だと信じたスペイン人のそれとそっくりだ。


野蛮な連中に自分たちの文明を教えてやる。こういう意識が確実にある。

なるほど、オバマのような男なら、むしろ、そういう態度が自然だろう。
だが、仮にもジャーナリズムを信奉するはずのメディアがそれではいかんだろう。


「ロシアの声」はウクライナ問題で有益な情報を伝えるだけあって、
 この件に関しては実に残念である。こういう北朝鮮バッシングに同調する
 態度は、結果的にそれ以外の分野の自社の記事の信用を貶めてしまうことになるだろう。