ならなしとり

外来生物問題を主に扱います。ときどきその他のことも。このブログでは基本的に名無しさんは相手にしませんのであしからず。

NHKスペシャル第3回 男が消える?人類も消える? を見て

2009-01-20 22:05:44 | Weblog
 先日、NHKスペシャルの女と男~最新科学が読み解く性~の第3回 男が消える?人類も消える? を見たんですが後味の悪いものでした。なぜかといえば、優生学すれすれの発言があったり、安直な遺伝子決定論を流していたからです。少し話がそれますが進化論の入門書として評価の高い「生物進化を考える」に著者の木村氏が人類の集団内に有害な遺伝子を残さないために有害遺伝子を持った人の子供の数を制限したほうがいいのではといった優生学とそれを人類集団に当てはめた記述があります。優生学は安易に人類に当てはめるとナチスドイツが障害者(←この表現が不適当でしたら言ってください)を迫害したように悲惨なことになりかねません。今回のNHKスペシャルでも「生物進化を考える」ほど明確ではないものの、それに近い視聴者のミスリードを誘う発言や内容がありました。たとえば、ヒトの精子の質が劣化していることについて近縁のチンパンジーは劣化が見られないのにヒトに劣化が見られるのはチンパンジーは乱交であるのに対しヒトは一夫一婦制をとっているから質の悪い精子が排除されないのだという説明がありました。この説明そのものは悪くないんですが番組のつくりが「じゃあ遺伝子の質を上げるには乱交すべき?」みたいなミスリードを誘うつくりでした。
ほかにも精子バンクで子供を作った女性が自分の子が頑固なのは父親の遺伝子のせいという発言がありました。う~ん。素人がそういう発言をしてしまうのはまだしもそれを流しちゃうのはいかがなものでしょうか。性格は遺伝子“だけ”でも環境“だけ”でも決定されるものではありません。
感想としてはこういった内容の番組はブランクストレートとか変な進化生物学へのアンチを生み出す温床になるだけであまり啓蒙や知識の普及にはつながらないのではと思います。ぶっちゃけこれの方がはるかにましだ。

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1 コメント

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わたしの意見 (ユーヤエメリヤーエンコ)
2010-07-16 19:16:41
わたしもあなたの意見に賛成します
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