ならなしとり

外来生物問題を主に扱います。ときどきその他のことも。このブログでは基本的に名無しさんは相手にしませんのであしからず。

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向井先生厳しすぎw

2010-08-02 13:44:12 | 進化生物学
 僕の巡回先である岐阜大学地域科学部の向井准教授のブログを見た感想です。

最近の状況

以下引用
◆水曜日には「動物生態学」の試験をしていたのですが,20点台の学生が最も多かったです.頻度分布としては10-50点台が一山で,そこから飛び離れて70-80点台に4名の「トビ」(注)がいました.(注:鳥のことではなく,魚の養殖の際に飛び抜けて成長の良い個体の意味)

 ちなみに,地域科学部と教育学部の学生が受講していたのですが,最低ランクの10点代は地域1名と教育1名.4名の「トビ」は地域2名と教育2名でしたから,両学部に大差なしです.

 それにしても,試験後うちの研究室の4年生に問題を見せたら,「また難しい問題を…」と,ひどく渋い顔をされました
引用終わり

その問題はこちら→http://www1.gifu-u.ac.jp/~tmukai/Reports/10AE.pdf
・・・・・・すごく、厳しいです。問題そのもののチョイスはすごくいいと思いますけど、学部2年生レベルでこれはきついと思いますよ。僕でも満点は無理。うちの大学だったら一部研究室の4年生でやっと解けるくらいのレベルですね。暇を見て解いてみたいなぁ。とりあえず、僕なら問1は北海道や琵琶湖でのオオクチバスの食性についての研究をあげるかなぁ。
まぁきついとはいえ、このレベルの授業が受けられる岐阜大の学生は恵まれていますね。

中立説を紹介するときに薦める2冊

2010-07-16 12:51:58 | 進化生物学
 今日は分子進化の中立説を学ぶのによいと思われる本を紹介します。
本当のことを言えばこれらの本は「遺伝的多様性に関する私見」が全て終わってから紹介するつもりでしたが、梨の怠慢もといスランプでこのままではいつになったら終わるかわかりゃしないので今回紹介します。

遺伝子診断で何ができるか 奈良信雄
 遺伝子について楽しくわかりやすく書かれた本です。進化についての項目もありますが、遺伝病などへの平易な解説書になっています。基礎的な部分についてしっかり解説してある本なのでお勧めです。

分子進化学への招待 宮田隆
 内容はやや専門的な進化生物学関係の本です。上の本より一般受けするような話は少なめです。「遺伝子診断で何ができるか」を読んでから読むことをお勧めします。長谷川真理子氏の「進化とはなんだろうか」などを読んでいて適応度など専門用語をある程度知っている方にはこちらから入ってもいいかもしれません。

僕は指導教官に中立説を学ぶのに何がいいか聞いたらこの2冊を薦められました。この2冊で肩慣らししてから「生物進化を考える」や「分子進化のほぼ中立説」に進むのがベターだと思います。
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進化生物学教育に思うこと2

2010-06-24 22:49:38 | 進化生物学
 だいぶ前に書いたものの続きです。進化生物学の中でほとんど唯一、高校で教えられているのが遺伝です。しかし、その遺伝についても、最近の知見を十分に取り入れたものとは言い難いものです。
「遺伝Vol62」において遺伝を高校でどう教えるかという特集が組まれているので、そこから引用していきます。今回引用するのは「高校生物遺伝分野で何を教えるべきか」向井康比己からです。

以下引用はじめ
ゆとりの教育による学習内容の低減化も問題の1つである。遺伝と変異の項目から変異が削られた結果、変異(variation)、突然変異(mutation)を教えることができなくなった。
引用終わり

突然変異を教えることができないというのは進化生物学教育においてかなりまずいです。なぜなら、自然淘汰にしても中立説にしても遺伝配列に変化が生じ、それが集団内に広まることを前提にしているからです。それくらい突然変異というのは進化生物学において基本中の基本なんですね。学習指導要領の改定で進化が高校から中学に戻されたようですが、変異を教えずに進化を教えろとか無茶振りにもほどがありますって。

以下引用はじめ
現行の教科書に不足している項目は、ヒトに関する遺伝である。キイロショウジョウバエやスイートピーの遺伝よりも、病気や健康との関連で身近な遺伝学という立場から、ヒトの遺伝についてもっと取り上げる必要がある。
引用終わり

個人的には無知や偏見を防ぐためにダウン症のことくらいは取り上げてもいいと思います。このあとにも述べてらっしゃいますが、iPS細胞やGMというのも遺伝の応用なんですよね。

進化生物学教育に思うこと1?

2010-05-14 00:35:14 | 進化生物学
 今回からコメント欄解禁です。僕がいろいろと勉強させてもらっているどらねこさんのブログのこの記事を読んで少し考えてしまいました。

ラマルク的な何かと素朴生物学

そこのコメント欄でのyu-kuboさんのコメントを一部抜粋させていただきます。

>とても残念なことですが、日本の中等教育では進化をきちんと勉強するチャンスは殆どないです。
理科総合はAかBかの選択で、Bなら生命進化の歴史を扱いますが、
進化学説(自然選択説や用不用説など)はあつかいません。
理系選択で生物IIを選択し、さらにその中の選択の単元で生態系ではなく進化が開講された場合に、
ようやく進化学説を学ぶことができます。

まあ、そんなところですよね。僕の場合は高校でも遺伝はやっても進化までは習いませんでした。結局どうしたかというと、図書館に行って自分で本を探して読んでいました。まだ右も左もわからない頃で、「現代によみがえるダーウィン」を読んでちんぷんかんぷんだったりしたのが懐かしいです(今思えば裸でエベレストに登ろうとするようなものだった)。
ちなみに、大学でも余り状況は改善されないと思っています。個人的な話になりますが、僕の大学での集中講義のこと。植物の進化の話で講師の先生が「赤の女王って知ってますか?」と質問して、手を挙げたのがなぜか僕一人。100人以上いてなぜか1人。周りを見渡しても誰も手を上げない。ええ、自分が空気を読まないアホになったかと、思わず冷や汗がでましたとも。その後、それなりに生物に詳しい友人(一緒にその講義を受けてた)に「赤の女王って知ってるよね?」と聞いても「オレ知らん」と返ってきたのはなかなか衝撃的でした。一応、僕が通っているのは農学部ですが、なかなか僕レベル以上の人は同年代ではみません。さすがに院まで行けばそういうことはないですが(っていうかそこまでいけばほぼプロだし)。
こんな感じで、生物系の大学に行ったとしてもきちんと進化生物学について学べるのか、知識をアップデートする機会があるかどうかはちょっと疑問です。
当人の学ぶ気は置いておくとしても、はっきり言って、教授や講師の熱意やレベルにも左右されますしね。うちの大学だと、1人とても熱意のある教授がいて、その人がある程度は教えています。・・・まぁ、それでも扱う分野が大きすぎて全て教えるのは無理ですけど(基礎を全てとなったらダーウィニズムと中立説だけで授業が確実に2コマできる)。

ちなみに進化生物学でいう赤の女王というのは寄生者とその宿主といった進化的軍拡競争と有性生殖の利点に関する仮説です。
(続くかな?)
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ジャガイモと進化

2010-02-23 20:08:39 | 進化生物学
 愛知県の小学校でジャガイモにより食中毒が起きました。詳細はここに詳しく書かれています。原因はジャガイモが持つソラニンという物質によるもののようです。
ちょうどよいというのはいささか不謹慎だけど、今回はこれをネタに進化についてひとつ語ってみたいと思います。一応進化のことをよく知らない人向けですが、若干専門用語多めでわかりづらいかもしれません。ご容赦を。わかりにくいところがあったらコメント欄にどうぞ。
 ジャガイモにはソラニンという物質がありますが、この物質は今回の食中毒からもわかるようにジャガイモを食べるものに不快感を与え、外敵に食べられにくくなる働きをしています。では、この形質はどのように発生し広まったのでしょう。べつにジャガイモが食べられたくないから自発的に発達させたわけではありません。
正確に言うとジャガイモの祖先に遺伝子の変化(突然変異)が起こり、それがたまたま外敵に食べられることを防ぐのに有利かつその費用対効果が良かったために同種内で子孫を残すのに有利になり(適応度の上昇)その遺伝子が年月をかけてジャガイモの集団内に固定(集団内のすべての個体が同じ遺伝子を持つ)したために全てのジャガイモがソラニンを持つようになりました。一応これが進化生物学でのジャガイモに毒があるのかという説明です。まぁヒトはそれを克服すべく品種改良などで対応しているわけですが。

……はぁ、疲れた。知らない人向けになるべく正確に書こうとするだけでかなり言葉を選ぶことになろうとは。こういうことを言って怖がらせるつもりはないのですが、進化生物学は理解するのにちょっとハードル高いですね。
正直なところ農学系の大学生でも「赤の女王仮説」を知らなかったりするので。これにしたってホントは血縁淘汰まで持ち出すべきなんだけどこっちに書ききるだけの技量がないので断念しました。一般向けの啓蒙書を多数書いている長谷川先生がどれだけすごいがよくわかりました。

文化というほどのものだろうか

2009-06-17 21:40:16 | 進化生物学
 文化と条件 を読んで。

リンク先でもふれられていますが、どうも文化と結びつけるのには違和感があるかなと。
これってスタンダードな進化生物学で説明すると

1.普通の歌がある(雌に好まれる歌)。

2.雄を隔離して歌を初期化。

3.粗雑な歌の中でも雌に好まれる旋律を含む歌を歌う雄が配偶者として選ばれる。

4.世代を経ていくごとに歌が洗練(雌に好まれるようになる)されていく。

5.やがて雌によく好まれる歌(普通の歌)が出来上がる。

遺伝子に組み込まれているのは確かとしてもそれを文化と言ってしまうのはどうも違和感があります。先にレール(雌の好み)があってそれに沿って歌が変化してきただけなので「卵が先か鶏が先か」という問題の解決にはなっていないというのが僕の見解です。



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今西氏の認識がそこら辺の反進化論者と変わらないことについて2

2009-04-28 22:12:50 | 進化生物学
 今西氏の進化論への認識はよくある誤解に満ちています。

P53>生物はしだいに体制のととのわないものから体制のととのったものへとむかって変化してきたという進化論を打ちたてるときに、ダーウィンはその進化論の骨ぐみとして、生存闘争という考えをとり入れたのであります。そうしますと、しょっちゅうなんか新しいものが出て来て古いものをほろぼしてゆくことになる。

そもそもダーウィンがいつ体制のととのわないものからととのったものへと変化するなんて言いましたっけ?次第に高度になるとか言うならそれはむしろラマルクだと思いますが。ダーウィニズムの解説としては0点でしょうね。

P69>そもそも進化というものには、必ずしも適応だけでは説明できない面がある。たとえば過適応というものがある。適応のゆきすぎですね。さきほど進化は後戻りしないということを申しましたが、それと関係があるのです。たとえば、シカの角、シカの雄には立派な角がありますね。雌にも角のある種類もあるが、だいたい角は雄に特有のものでニホンジカなどは非常に立派な角を持っておりますね。ところであれは別に武器として役に立つものではない。武器としてなら一本角で枝分かれしておらん方が役にたつだろうから、あれは適応ではちょっと説明できない。
正直、こんな人が日本でも著名な生物学者とは信じがたいです。ダーウィンについて語るならここで性淘汰にふれてもいいはずですが、この後の文章でも性淘汰にはふれないままでした。
また、
>別に武器として役に立つものではない。武器としてなら一本角で枝分かれしておらん方が役にたつだろうから
というのもよくわかりません。そもそもニホンジカは繁殖期の争いで角を使って争っているし、単に相手を傷つけるだけが武器というわけでもないでしょう。たとえば人の武器にもソードブレイカーマインゴーシュといった防御も視野に入れた武器があります。人の武器がいろいろあるように生物の武器もいろいろあり一つではないという考えをどうして今西氏が持たなかったのかわかりません。
もちろんシカの角が繁殖期に使われるという事実を今西氏が知らないはずはないでしょうから、文章から推測すると今西氏は外敵から身を守るという目的でなければ角を武器として認めないのでしょうね。

ここには書きませんでしたが、僕には今西氏のいう“家族”と“群れ”の違いもよくわかりませんでした。今西氏は“群れ”というものを社会を作り非血縁個体からなるものと想定しているようですが、たとえばゾウの群れなんかは母系社会でほぼ家族単位で群れを構成しています。ゾウはお互いを認識し、今西氏の言うところの社会を作っていると思うんですけどね。
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今西氏の認識がそこら辺の反進化論者と変わらないことについて

2009-04-27 21:54:36 | 進化生物学
 まず有言不実行をお詫びします。今西氏の「私の進化論」を読んでいましたが、途中で挫折しました。理由は本の中の今西氏の進化論に対する記述があまりにも稚拙で読むに堪えなかったからです。以下、「私の進化論」での今西氏の進化論に対する記述とそれに対する突っ込みを入れていきます。

P14~15>ところがさきほど私がいいましたのは、個体というものには甲乙がないというという立場です。甲乙がないようにつくってあるということはどういうことかといいますと、これはダ-ウィンの説明と反対でありまして、どのウサギがオオカミに食われても、そしてどのウサギが残っても、甲乙がなければ種としては次の時代にも同じように甲乙のないウサギをつくっていくことができる。要するに食われるウサギというのは運の悪いウサギであって、逃げたウサギは運がよかったにすぎない。ダーウィン流に適者生存で、ウサギの耳が長くなり、足が速くなって、今日ではもうウサギがオオカミに食われぬようになっているかといえば、依然としてやはりウサギはオオカミに食われている。長い目で見たらなにも適者生存になってやしないではないか、こういうことがいえるのであります。

はっきり言います。この人ただのどこにでもいるアホですよ。相互に適応していくという視点がないからウサギの例で反証したつもりでいられる。なぜオオカミもまたウサギを捕まえられないものは淘汰されウサギを捕まえられるものの子孫が今生き残っているという思考がはたらかないのでしょうか。
こんなのはネット上に一山いくらでいる反進化論者と理解のレベルでほぼ同じです。



今西進化論とかいうもの

2009-04-18 20:59:28 | 進化生物学
 世間で有名な(どちらかというとトンデモと判断されやすい)生物学者の中には、今西進化論という進化論の影響を受けている人たちがいます。このブログでたびたび批判する池田清彦や最近の有名どころでは福岡伸一がいます。福岡氏と今西進化論の関係についてはa-geminiさんのところに詳しく書かれています。

福岡伸一と今西錦司(1)
福岡伸一と今西錦司(2)
福岡伸一と今西錦司(3)

では、彼らが影響を受けた今西進化論とはどういったものなのでしょうか。
簡単に言うと、種全体が変わるべき時が来たら一斉に変化するというのが今西進化論の主張です。この“変わるべき時”というのが難物なのですがそれは置いといて僕が疑問に思うことを今西進化論に好意的なサイトからいくつか引用します。
>そして、種という構造です。種と個体は同時にでき、同一のものとします。個体はもちろん、個体差というものがあるが、種というレベルで考えるとどの個体にも差違はないのです。

水系レベルで違いのある淡水魚類の勉強をしていると、とてもこんなことは言えませんね。今西氏は同種の地域ごとの差には目を向けなかったのでしょうか。

>どれもが同じ個体であり、どれが残り、どれが生殖にいたらないうちに死んでも、種にとっては影響はない。

絶滅危惧種を例にするなら、年老いて繁殖できない個体が死ぬのと繁殖可能な個体が死ぬのではその種の存続に大きく影響しますね。とくにワシタカ類のように一度に産む子の数が少なく、子が性成熟するまでに長い時間を要する種では繁殖可能な個体が死ぬことの影響は大きいのですよ。

>今西は自説を、棲みわけの密度化による進化論と説明します。その核になる理論は、元一つという、変わりながら変わらない実体、弁証法的に運動しつつ、変化しないものを想定していることです(ある種の進化・出現によって(正)、まずその種が自身による環境変化の影響を受け、またその周囲の種にとっての環境も変化します(反)。そして、共存(棲みわけ)か競争か、いずれにしてもそれを調整する運動がおこるのです(合))。

まあ、弁証法だなんだかんだ言う前に輪状種について何ら答えない時点で終わってますね。輪状種とは、連続的に分布していながらも分布の端の個体同士では交配できない種のことなどを指します。輪状種はお互いに近接した個体群とは交配できるのですが、分布の端と端など極端に離れている場合は交配できません。この事例は種が黒から白へ徐々に変わっていくテープのようにグラデーションを持つことを意味します。
ここで輪状種の存在と今西進化論の主張を比べてみましょう。今西進化論では種は変わるべき時に一斉に変わる、つまりグラデーションはあり得ないはずなんですね。しかし、輪状種の発見例というのは確かに存在します。ここでは、ムシクイという鳥とシャクガを例にあげておきます。
Highlights: 輪になって変わろう
異時的隔離がもたらす時間的輪状種
輪状種が発見された正確な年代がわからなかったので今西氏が輪状種の存在について知っていたのかはわかりませんが、今西進化論の支持者は輪状種について何も言わないというのはおかしなことではないでしょうか。このような態度はニセ科学と通づるところがあります。
 今回参考にしたサイトには今西自然学の効用(環境保全の視点から)というのがありますが、少なくとも繁殖可能な個体であるか否かを無視している時点で使えないヘボ学問ですね。生態学のつもりというなら“有効個体”くらいおさえておくべきでしょうに。

結論
 現実の自然現象とかい離したままの論理などゴミくず以下。寝言は寝てから言いましょう。反証に答えないのはニセ科学への一歩では?
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