ならなしとり

外来生物問題を主に扱います。ときどきその他のことも。このブログでは基本的に名無しさんは相手にしませんのであしからず。

生物多様性ってなに?私的見解

2008-05-30 23:29:59 | 保全生態学
 生物多様性というのもだいぶ知られてきました。この言葉を一度でも目にしたことのない人というのもいないと思います。じゃあこの生物多様性ってのは何なんでしょう。僕が一言で生物多様性について言えと言われたらこう答えます。生物多様性とは進化の産物であると。なぜならば、進化がなければ生物多様性の3つのレベルすべてが成り立たないからです。
 まず遺伝的多様性は突然変異により生じ自然淘汰や遺伝子浮動で個体群内に蓄積されていきます。そして祖先が同じであってもこの遺伝的な差が積み重なっていくと別種とみられるようになります。この種分化で種の多様性ができあがります。そして生物というのは常に周りの環境と相互作用を及ぼしながら生きています。例えば、荒地であったところに木の種子が芽吹きそれがどんどん子孫を残していけば荒地は森へと変わります。このようにして景観に多様性が生まれます。
 これで進化が生物多様性に大きな影響を与えていることがお分かりいただけたでしょうか。つぎは何故、生物多様性を保全するのかについて書いてみます。

疑うことは疑わないこと

2008-05-23 22:37:38 | 議論
 疑うことの重要性はいろんな人が述べているわけですが、じゃあ疑うという行為を突き詰めていくと何に辿り着くんでしょう。僕は「疑わない」ということが終点だと考えています。もちろんここで言う「疑わない」とはどんな情報であれ無条件に取り入れるということではありません。
 そもそも僕らが疑うということは疑う対象に疑念や違和感を抱いているからです。そんでもってそういった物が晴れれば対象は確からしいものとして蓄積されるわけです。そしてその確からしさが一定以上蓄積されればそれはほとんど疑う必要性のないものとして扱われるわけです。
例えば科学の分野で法則として入門書に書いてあるようなものは多くの学者の批判を乗り越えてきたものですから素人が下手に論破を試みるよりはそれの内容を理解できているのか自問した方がよっぽどマシです。僕が池田清彦が大嫌いなのもほとんど素人のくせに他人の専門領域で罵詈雑言を吐いているからでしょう。話がそれましたが、結局疑うということは情報を取捨選択することでありその結果として疑う必要性のほとんどない確からしさの高い物が残るということです。

利権という名のお気楽批判もどき

2008-05-05 14:35:57 | 外来生物

外来生物対策への批判に「利権の温床となる」あるいは「利権そのものだ」というのがあります。まあお金が絡めばたいていのことは利権(一部の人間が私腹を肥やす)に発展する可能性はありますから外来生物問題で利権が発生しないなんて誰にも断言できないでしょう。
しかしその具体例となると、とんとお目にかかったことがありません。「利権云々」はもう何年もいわれているにもかかわらずです。なんで具体例が出てこないのか僕はこう考えてみました。まず具体に相手を批判するにはそのための証拠が必要です。また証拠が確からしいものか吟味する能力も必要です。もしガセネタに引っかかって相手を批判したら笑いものですし、ことによっては裁判沙汰でしょう。
こういうことを考えると無理に証拠集めに走るより可能性の段階で胡坐をかいていたほうが数段楽です。つまり「利権云々」言う人たちは単にそこまでやる気がないあるいは能力がないのではないでしょうか。まあそんななかでも気骨のある人たちがいるようなので当面そちらに期待してみます。


遺伝子汚染と外国人2

2008-05-03 21:46:31 | 外来生物

ではさきほどいった条件は満たされるのでしょうか。まず外来生物の定義から再確認しましょう。外来生物の定義とは「人間がその移動に関与して自らの能力を超えて本来の生息域外にもたらされる生物」のことです。ここで重要なのが自らの移動能力です。つまり自らの能力で移動してきたのであればその生物は外来生物ではありません。
では外国人の場合これはどうなるのでしょう。まず飛行機や船といった移動手段は人間そのものではありません。しかしそれらの移動手段は人間が創り出したものです。そしてその創造は人間の脳つまり人体の一部を起源としています。さらに脳を使うことは人間の生命活動の一部でありそこから生み出されたものは人間の生命活動の延長とみなせます。
つまり人間の移動手段は自らの能力であり、外来生物とは一線を画すものです。このことから外国人は外来生物ではありません。
そして遺伝子汚染と国際結婚はまったく異なるものであり同じものとして扱えません。


遺伝子汚染と外国人1

2008-05-03 20:59:02 | 外来生物

外来生物問題の一種に遺伝子汚染というものがあります。持ち込まれた外来生物が現地の在来生物と交雑してしまうことをこう呼びます。
これを問題視することへの批判として、国際結婚だっておまえらに言わせれば遺伝子汚染ではないのか、やっていることがナチズムだというものがあります。しかしこの批判は的外れといえます。そもそも遺伝子汚染というのは外来生物問題の一種です。つまり交雑する生物が外来生物だという条件を必要とします。そして国際結婚を遺伝子汚染として扱うには外国人=外来生物であることを証明しなければなりません。そうでなければ遺伝子汚染として扱うための条件が満たされませんから遺伝子汚染と国際結婚を同一視するのは間違いとなります。