ならなしとり

外来生物問題を主に扱います。ときどきその他のことも。このブログでは基本的に名無しさんは相手にしませんのであしからず。

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生命倫理と外来生物 続き

2008-08-31 22:36:29 | 外来生物
 熊森のようにすべての命を等価として外来生物の駆除に反対するのは二重の意味で墓穴を掘ってるとしか思えません。ひとつはこの前の環境保全との関係で、もうひとつは彼らが持ち出す生命倫理との整合性。前にも書いたんですけど、外来生物が生きていくにはたくさんの命が消費されるわけです。そして熊森は一を生かすために百を殺してもいいと言っているわけです。じゃあ外来生物をそのように特別扱いする根拠は何?となります。命は大切だから?在来生物にだって命はあるじゃん。そもそもすべての命は等価と主張する立場からは多くの命を消費するものは排除を容認することはあっても積極的に擁護することはできないはずです。排除したほうがより多くの命を助けられるのですから。熊森には食われる側の命のことは念頭に入っていないのでしょうか。この部分の根拠(外来生物を特別扱いする理由)が示されない限り熊森は一方にえこひいきをしてもう一方を差別しているようにしか見えません。差別するな~と言っている方々がその実差別をしているなんて笑い話にもなりませんよ。

外来生物と生命倫理は藪蛇では?

2008-08-29 13:46:20 | 外来生物
 今回はいつもとは違った文章を書いてみようと思います。登場するのは、ブルーギルくんとワニガメくんです。

ギル 外来生物の駆除となると反論として出てくるのが生命倫理。たとえば熊森のとこでは在来生物と外来生物の命は等価だと言っている。http://homepage2.nifty.com/kumamori/gairai-tirasi.htm>また、在来、外来、生物の命の尊さに差などあろうはずがありません。

カメ だから駆除するなというのははたして正しいのか。まず、外来生物の中でも問題にならないやつ、つまり生態系への影響の少ないものについてはそもそも駆除しようなんてことにはならない。せいぜいこれ以上の拡散を防ぐよう呼びかけるくらい。ということでこういったものを駆除するなというのは無意味。

ギル じゃあ本題の影響力の強いやつについてはどうか。

カメ アライグマを例にしてみよう。アライグマのような捕食者が生きるためにはたくさんのネズミやカエルといったエサが必要。ということはアライグマは多くの命を消費して生きている。つまり、アライグマ一頭を生かせというのはその他何百何千の命を殺してもいいと結果的に言っている。

ギル じゃあ平等になんかならないじゃん。どう考えても命の価値がアライグマ>その他の生物になっちゃう。

カメ まあこれがアライグマ以外の生き物に興味ないという人の話ならまだわかる。しかし、環境保全や生物多様性といったものを肯定しているひとが持ちだすのは論理矛盾を引き起こす。なぜなら、アライグマのような在来種に対して影響力の強い外来生物は在来種の生活基盤を弱めるので生物多様性の危機になるから。どうしてもこういった種の存在を容認したいなら科学的にリスクを比較して影響度が低いことを証明する必要がある。

ギル これは植物にもあてはまるね。植物も他の種と資源を奪い合って一方を衰退させることがあるから。

カメ 結論としては「生物多様性とその保全を肯定している人がリスクの比較もなしに外来生物の駆除反対というのはおかしい」ということになるかな。

追記 熊森は行政に環境保全のスペシャリストを入れろと要求しているようですがこのような二枚舌を展開している団体をはたして行政も含めた外部が信用すると思っているのかな?

外来植物のリスク評価

2008-08-26 18:06:33 | 外来生物
 外来生物のリスク評価は外来生物とどのように関わっていくかを決めるために重要です。そのための方法というのもいくつか存在しているので、今日はその一つを紹介します。
FAOの発表した侵略的外来植物の雑草性を判定する項目
水生植物である
同じ種に雑草がある
意図的・非意図的を問わず人間活動で広がる
とげや針をもつ
寄生植物である
草食動物に対して有毒か忌避される
病害虫の宿主となる
人間に対してアレルギーや皮膚炎を起こす
蔓性であったり、他の植物を窒息させるほど繁殖する
種子が多産である
種子の寿命が一年以上ある
無性生殖により再生する
切断・火入れに耐えるか、むしろ広がる
基本的には一項目当てはまるごとに一点となり、六点以上でリスクありと判断します。ただし、水生植物には三点、人間活動で広がるのと同じ種に雑草がある場合はそれぞれ二点です。これを特定外来生物の植物に使ってみると多くが高得点となりますので評価法の結果の妥当性もあるようです。
 この評価法のメリットは植物図鑑やインターネットにある情報からリスクの判定ができることです。つまり、素人であってもある程度のリスク評価ができるということです。なお、これを改良して十の因子で雑草のリスク評価をするASAI式という雑草リスク法も存在します。こちらもいずれ取り上げてみたいとおもいます。


真偽を見分けるために

2008-08-21 18:49:48 | 書籍
 「環境問題のウソ」は詭弁が多いので論理的思考を磨くには格好の教材になると思います。そのために役に立つ本をいくつか紹介します。
議論全般
「詭弁論理学」 いくつか議論や論理に関する本を読みましたが、これが一番わかりやすいと思います。
「哲学思考トレーニング」これもいい本です。闇雲に疑うのではなくいかに効率的に懐疑的な態度をとるかについて書かれています。
保全生態学
「生物保全の生態学」
「生態系へのまなざし」
保全生態学について勉強するならこれらに加え二、三冊読んでおけば基本的な部分は理解できると思います。またどちらも交雑の悪影響についての記述があります。こういった本を読みながら「環境問題のウソ」を読み直してみるというのもいいかもしれませんよ。

環境問題のウソを批判してみて 

2008-08-19 02:34:22 | 池田清彦
 長々と環境問題のウソに対する批判をしてきましたが、これでいったん終了とします。まあ、最初から読んでいただいた方には池田清彦が胡散臭いということがわかっていただけたのではないかと思います。見ようによっては辛辣なことばかりで面白くなかったかもしれませんが。最後に池田清彦とはどんな人物かまとめてみます。
・耳ざわりのいい言葉は自分を良識派と誤認させるためのレトリック。
・ネタが古くてワンパターン(情報収集をろくにしていないことの裏返し)。
・初歩的な部分で事実誤認がある。
・事実誤認を認めたくないのか既存の定義を勝手に捻じ曲げてオレ様定義を使う。もちろん既存の定義のどこが間違っているかは具体的に指摘せず一方的に科学的でないなどの下手な印象操作をするだけ。
・批判対象がどんなことを主張しているのか曖昧にして生物多様性原理主義者などというレッテルを貼る。ちなみにどんな条件を満たせば生物多様性原理主義者に該当するのかについていまだかつて池田氏は説明していない。
・少し調べればわかることすら知ろうとせず、自分の脳内妄想が事実として起こるかのように語る。
以上をまとめ、池田氏を一言でいうなら「現実から目を背け妄想に逃げたヘタレ」です。
 池田氏批判を通じて、僕も自分の知識の不確かなところや曖昧な部分を自覚できました。これをこれからのブログを良くする方向に反映できたらと思います。最後にこのブログを見てくださった人たちに感謝を。
コメント (1)

書評 環境問題のウソ7 大局的な視野を持てというが

2008-08-16 22:36:41 | 池田清彦
 池田氏の言うことは面白いなあ。
以下引用(P109)
人種というのは人種差別主義者の頭の中の幻想なのだ。だから、地域個体群どうしの交配を遺伝子汚染と呼ぶのも幻想に決まっている。人間もサルも生物に変わりはないのだからこの理屈はサルにも当然当てはまる。
引用終わり
そもそも人種概念と種概念はまったくの別物なわけですが。これ、媒概念曖昧の虚偽にあたらないのかな。池田氏は生物的種概念を持ち出して交雑が進むなら同種としているわけですが、そもそも遺伝子撹乱として問題になるケースでは地理的隔離などがはたらいて事実上交雑が不可能であったということは華麗にスルーですか?タイワンザルとニホンザルについて言えば、東シナ海が両者の交雑をさせない要因となっていたわけだけどそういった歴史的背景は無視ですか。生物多様性というのは歴史的産物でもあるんだけどそういった歴史をガン無視して生物多様性について語るというのは違和感を禁じ得ないですね。
 さて、池田氏は大局的な視野を持つことを推奨しているわけですが、本人がそれがどういうことかわかっていない節があります。たとえば氏は外来生物が生物多様性を増やすといっています。たしかに局所的には生物多様性は増えたように見えるんですが、これをもっと広くたとえば地球規模で見た場合生物多様性は減少しています。どういうことかというと、まず4分割された正方形をイメージしてください。分割された4つの区画をそれぞれべつの色で塗ってください。ここで正方形は地球、分割された区画に塗られた色は各々の地域の生物多様性を表しています。つぎに4分割された区画の一つをほかの区画の3色を使って塗りつぶしてください。ここで塗りつぶされた区画だけに注目すると色は1色から3色に増えています。しかし正方形内の色は4色から3色に減少しています。このように局所的に多様性を判断するだけでは全体として減少していることがわからなかったりするのですが、池田氏の発言を見る限り氏がこういったことをどこまで自覚しているかははなはだ疑問です。

交雑が問題視される理由 不妊化

2008-08-09 18:52:47 | 外来生物
 さて、長々と池田氏は外来生物問題をわかってね~と書いてきたわけですが、じゃあ交雑のどこが問題なの?ということにはふれていませんでした。なので、交雑による問題点の一つを紹介します。
 セイヨウオオマルハナバチという昆虫をご存知でしょうか。トマトの受粉に使用され、外来生物法が施行されるときもブラックバスの次くらいにはマスコミで取り上げられた外来生物です。このセイヨウオオマルハナバチが在来のマルハナバチと交雑すると、受精はするものの受精卵が発育しないことが実験で確かめられました。これは、在来のマルハナバチにとって大きな不利益です。子孫を残すことができないのですから、セイヨウオオマルハナバチと交尾した在来のマルハナバチの遺伝子は消滅してしまいます。(実際はセイヨウオオマルハナバチのみと交雑するわけではないが、セイヨウオオマルハナバチの精子で受精することが不利益になるのは確か)
 しかし、これだけで即問題と決め付けることはできません。野外ではまれにしか交雑しないのであれば、交雑の危険性はそれほど高くないでしょう。この交雑の頻度をしらべる調査がおこなわれました。野外から採種した在来のマルハナバチ(オオマルハナバチ、エゾオオマルハナバチ)の女王体内に蓄えられていた精子のDNAを分析したところ多くの女王からセイヨウオオマルハナバチのDNAが検出されました。このことは交雑が野外でも起きていることを示しています。
参考文献 
外来生物のリスク管理と有効利用 第9章 輸入昆虫のリスク評価とリスク管理

悪質でいい加減な池田清彦 

2008-08-07 18:29:42 | 池田清彦
池田氏は環境問題のウソで遺伝子撹乱(汚染)は有性生殖と同じだといっています。
以下引用(P108)
クローン以外のすべての生物の遺伝的組成は多少とも違うのだから、有性生殖をするということは、厳密に言えば、彼らが言うところの遺伝子汚染が起こるのと同じである。すくなくとも程度問題にすぎない。
引用終わり
なにを根拠に程度問題といえるのかな。というか遺伝子撹乱というのは外来生物であるという前提があってはじめて成り立つものでそこまで一般化できるものではありません。池田氏の言葉を借りるなら、保全生態学者は一定の条件を満たした有性生殖にたいしてだけ遺伝子撹乱という言葉を使うわけです。はっきり言って彼の主張は現実と乖離しすぎています。外来生物の定義しかり、遺伝子撹乱に対する認識しかり。オレ様定義がそんなに正しいと思っているのか?
お花畑を見る自由はあるがそこに他人を巻き込むのはやめてくれ。外来生物問題に寄生する寄生虫。
コメント (2)