ならなしとり

外来生物問題を主に扱います。ときどきその他のことも。このブログでは基本的に名無しさんは相手にしませんのであしからず。

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

魚類自然史研究会にいってきた

2008-10-27 22:10:27 | Weblog
 10月18,19日と魚類自然史研究会に行ってきました。魚類自然史研究会は関西を中心として発表会を行い一般人から研究者まで参加できます。当日も大学の院生や研究者から高校1年生まで来ていました。18日も多くの発表がありましたが、特に印象に残ったのは琵琶湖には2タイプのゼゼラがいるという発表とビワヒガイの産卵場所選択についての発表でした。ビワヒガイの産卵場所選択については、この魚は貝に卵を産みつけるのですが産みつける貝にも好みがあってヒガイが好む貝ほど仔魚が生まれやすいそうで、そうではない貝ほど仔魚は生まれにくくなるそうです。進化論を学んだ人からすれば当たり前とも思える結果ですが、これまでそういったことを実証する研究はあまりされてこなかったそうです。18日の発表がすべて終わるとホテルで懇親会。「ブラックバスがメダカを食う」執筆した半沢氏やいろいろな大学の人と話をすることができ刺激になりました。僕は懇親会のあと部屋に帰って寝ましたが、あのあと二次回、三次会があったそうで・・・
 19日はホテルで朝食。このときも名古屋の方に住んでおられる方などとお話でき、レッドデータブックの裏話など聞くことができました。19日の発表は琵琶湖から内湖への外来魚の侵入を安定同位体を用いて分析した研究やメコン川の水田についての紹介がありました。安定同位体を用いた分析では外来魚は琵琶湖から内湖に侵入し侵入の度合いは琵琶湖に近いほど高いそうな。一方フナなどは長さではなく障害物の有無に影響されるそうです。
 全体として魅力的な発表が多く大変参考になりました。また来年も参加したいですね。

哲学者ってのは・・・

2008-10-24 00:39:37 | Weblog
 ちょっと科学哲学を勉強するためにあるサイトをのぞいたらまたお決まりの進化論批判がありました。>ダーウィニズムに反対する立場としては,日本の今西錦司(1902-92)により提唱されたすみわけ理論や木村資生(1924-94)の分子進化の中立説,池田清彦(1947- )の構造主義的進化論がある.
今西や池田はともかくなんで分子進化の中立説がでてくるんだ?分子進化の中立説というのはあくまで分子レベルでは遺伝子(自然淘汰に対して有利でも不利でもない変異)の固定は偶然に左右されるという主張であって自然淘汰説に反対するものではないんですけど。もしかしたら著者はすべて自然淘汰説で説明できるとする淘汰万能主義を意識しているのかもしれませんが誤解をまねくのでやめた方がいいです。ほかにも池田がソースの工業暗化についての指摘とかどうも首をかしげる記述が見られました。この前批判した舟木氏にしろなんでこんな半端な代物を出すのかわかりません。批判するなら相手の言っていることを相手と同レベルかそれ以上に理解する必要があるでしょうに。どうにも哲学者が進化論を語ると変な方に話がそれるようです。まあこれは僕の感じたことにすぎませんし(たった二人じゃ一般化するには厳しい)、そのほかの哲学者の方は伊勢田哲治氏のようにきちんと進化論を理解しているのかもしれません。

進化論を知る入門書

2008-10-16 22:47:04 | 書籍
 さて、あまりにひどい本を紹介した代わりと言ってはなんですが、僕自身が読んで参考になった本をいくつか紹介します。
進化とはなんだろうか 長谷川眞理子著 岩波ジュニア新書
 一通りの範囲を扱った入門書。値段も手ごろなので最初の一冊におすすめです。
著者の長谷川眞理子氏は多くの進化論関係の本を書き人間の行動と進化の関係に関しても多く言及している人物。どうしてあの本にこの人の本が参考文献として挙げられていなかったのかは謎。
生き物の進化ゲーム酒井 聡樹著、近 雅博 (著), 高田 壮則 (著)
 大学生向けとして書かれた本。僕がきちんと進化論を理解し始めたのはこの本からでした。長谷川氏の本に比べランナウェイやハンディキャップなど性淘汰についてもしっかり教えています。
 ほかにも一冊いい本があったんですが、タイトルを忘れてしまいましたm(_ _)m思い出したらそのうち紹介します。
 

進化論の5つの謎 感想2 自分で挙げた本くらいよめよ

2008-10-08 23:27:06 | 書籍

 前回の続きです。舟木氏はどうやら自分で挙げた参考図書すら読んでいないようです。
>P87 しかし、「利他性」という概念は、困ったひとのために自発的に何かをすることであって、人間行動としても、どこまでなりたつかむずかしいことである。
中略  
 そもそも、体細胞以前の単細胞生物も「利己的」ですらない。ドーキンスは「利己的な遺伝子」において、遺伝子には自分とおなじものを残したいとする利己的な欲望があると述べているが、さきに述べたように、細胞は分裂によって「自分」が分かれてしまうのだから「利己的」であるとはいえないであろう。
  ここからわかるように著者はドーキンスの使う「利己的」の意味を字面どうりにとらえているようです。しかしドーキンスは「利己的な遺伝子」のなかで自分のいう利己的、利他的とはどういうことかきちんと定義しています。ドーキンスのいう利他的とは自分を危険にさらしてでも他の個体の生存率を高めることであり、利己的はこの反対です。つまりドーキンスのいう「利己的」は私たちが日常で使うものとは異なっているわけです。さて、ドーキンスはこの定義を「利己的な遺伝子」の6ページで説明しているわけですが、上記のことからわかるように著者はこの部分を読んでいないようです。たった6ページも読み進めないとは少々おかしな話ですが、著者が自分から馬脚を現しているのだから事実と推測するだけの根拠はあるでしょう。まさにドーキンスのこの言葉を実践した人間です。多くの批判者、とりわけ哲学を専門とする声高な批判者たちは本をタイトルだけで読みたがる
「利己的な遺伝子」三十周年記念版への序文から引用
しかし、この人の参考文献に「利己的な遺伝子」があるのは何のジョークだろう。


進化論の5つの謎 感想

2008-10-05 01:24:41 | 書籍
 地下に眠るM氏のところがよくまとまっていているので、僕の所はその二番煎じ。まあ、著者が怠惰で無知な人間ということは数々の香ばしい記述でわかりました。たとえば、>P38進化論は実験をすることができないのだから、自然科学ではないのである とか定向進化は説明が難しいとか探すときりがないですね。
 まず、この二つに反論します。進化論は実験をすることができないというのは間違いです。有名なものとしてカリブ海のアノールトカゲの実験があります。これはアノールトカゲという昆虫食のトカゲをカリブ海の14の島に放してその後約十年たってから捕獲して足の長さを測ったというものです。なぜ足かというと彼らは木の上で暮らしているため、足の長さが生存に関係しているからです(食べ物を捕まえたり、敵から逃げたり)。そして、捕まえたトカゲの足の長さには島ごとに違いがありました。小さな木しかないような所では足は小さく(その方が小回りが利く)、反対に大きな木がたくさんある所では足が大きく(スピードが出る)なっていたのです。もともと足の長さと木の関係はわかっていましたがそれが自然選択の論理に従って変化することが実験によって確かめられたわけです。このほかにもフィンチの嘴なんかがよく知られていますね。二つ目の定向進化についてですがそもそも定向進化そのものが実際にあるのかどうか議論があるようですし、性選択など既存の論理で説明可能です。いまどき定向進化を持ち出すひとはそうはいません。著者はキリンを例にしていますがはっきりいってバカ丸出し。ミッシングリンクについては化石が発見されないというお決まりのパターンだし、ほかに首の長い動物がいないことへの一つの解答としてはキリンとの生存競争に敗れたからという考えがあるでしょう。想像力が足りないですね。
 また、著者は科学そのものについても誤解があるようです。著者は要所要所で真理という言葉を持ち出すのですが、これから推測すると著者は科学は真理でなければならないと考えているようです(ここでは真理とは100%正しいことと仮定しておきます)。でも、実際の科学は大なり小なりなんらかの修正をうける不確かなものです。少なくとも100%正しいなんてことにはなりえない。まさか反証可能性やパラダイムという言葉を知らないというオチはないでしょうね。


コメント (1)