ならなしとり

外来生物問題を主に扱います。ときどきその他のことも。このブログでは基本的に名無しさんは相手にしませんのであしからず。

「国内外来魚問題の現状と課題」つづき

2009-10-29 22:19:01 | 保全生態学
 先日このブログでも紹介しました「国内外来魚問題の現状と課題」の講演要旨が魚類学会のHPに公開されているのでこちらでも紹介します。

市民公開シンポジウム 「国内外来魚問題の現状と課題」

講演要旨

僕もまだすべてには目を通していませんが、興味深かったのは放流されたコイが水質や生物群集に与える影響についてのものでした。なぜ興味深いかというと、コイはIUCN世界侵略的外来種ワースト100に選ばれるなど世界的にもその影響が危険視される外来生物であるにも関わらず、日本では放生会などで放されることの多い生物だからです。日本語の文献でこういったものにお目にかかったことはあまりなかったので興味深く読めました。ほかにも興味深い研究があり、そのうちこのブログでもネタにさせてもらいます。

追記
この講演内容はどうやら本になるらしいです。そのときはここでも取り上げます。

保全遺伝学入門

2009-10-26 20:30:55 | 書籍
 今日は遺伝的多様性を保全する保全遺伝学の参考書の紹介です。タイトルは「保全遺伝学入門」、遺伝的多様性をなぜ保たなくてはならないのか豊富な例示とともに教えてくれます。単なる保全だけでなく集団遺伝学の教科書としての側面もある大変内容の濃い本です。
 内容はよく知られた近親交配による生物集団の弱体化(近交弱勢)や生物集団を存続させるのに最低限必要な個体数、外部から遺伝子が持ち込まれることで生じるデメリットなど多岐にわたります。
アリル(対立遺伝子のこと)など専門用語が多く使われているので初めて読むと文章の内容を理解するのに戸惑うかもしれません。ですので、初めからすべて読破しようとせず自分の興味を引いた部分を読んでいくというのもいいかもしれません。
一応、適応度など進化生物学の初歩の部分も紹介されていますが、さらっと流している感じなのでこの本を読む前に進化生物学の入門書を3冊ほど読んで勉強した方が内容が頭に入ってくると思います(というかそうしないと進化論と絡む部分はほぼ理解不能になると思う)。進化論の基礎を抑えた人向きの少し高度な内容の本ですね。しかし、得られる知識は理解しようとする努力に見合ったものであると断言できます。なぜなら、僕自身この本を読んで大分知識を得ることができました。今でも分からないことがあると辞書代わりに使っています。
値段は張りますが遺伝的多様性の保全を理解しようと思うなら手元に置いて損はない良著です。

アパートでも作れる鳥の燻製

2009-10-23 22:34:02 | 料理
 今回は外来生物などとはまったく関係のないことです。ぶっちゃけ息抜き。
 このブログをご覧の皆様、近頃は肌寒くなりましたね。まさに燻製を作るにはうってつけの季節。今回はアパートでもできる燻製の作り方をご紹介します。酒のつまみに冬の蓄え(笑)に燻製を作りましょう。

材料
鶏肉(ももでも胸でも)
塩 適量(というかテキトー)
コショウ 適量(以下同じ)
酒 ラムかブランデー適量(なければお好みでそこらへんにあるものを)
ハーブ (ローズマリーやタイム、バジルなどお好みで)
日差しのいい日 1~2日(雨や霧でさえなければたぶん大丈夫)
鍋 (厚いものがいいと思います)
鍋敷き (木製の厚いものを)
ダンボール 一箱(鍋がすっぽり収まるくらいのサイズ)
スモークチップ スプーン1杯か2杯
金ザル (鍋に収まるものを)
干し網 (釣具屋やデパートで売っています)

作り方
1.鶏肉をフォークで刺し、塩コショウ、ハーブをすり込みます。
2.ビニール袋などに鶏肉を入れ、ひたひたになるくらいまで酒を注ぎます。多少すくなくても大丈夫。
3.ビニール袋に入れたまま冷蔵庫で一晩置きます。
4.干し網の中に鶏肉を入れて1~2日乾かします。
5.鍋にアルミホイルを敷き、スモークチップをその上にばらまきます。
6.乾いた鶏肉をザルの上に置き、鍋の中に入れます。
7.鍋を火にかけます。弱~中火で煙が出てから数分たったら火からおろします。
8.鍋敷きの上に鍋を置き、その上からダンボールをかぶせます。
9.30分ほどすると肉が燻されて出来上がり。

 これでアパートでも簡単に燻製ができます。冷蔵庫で2、3週間くらいは持ちますがサンドイッチやサラダに入れるなどして早めに食べきってください。
鶏肉のほかにもサケやフグ、チーズでも同様の燻製ができます。魚の場合は酒に漬けることはしません。サケの場合は塩加減に気をつけて買ってください。チーズはそのまま燻せますが、溶ける場合があるのでご注意を。
干し網が無い人は肉を置いた皿の上にザルをかぶせて干すとよいと本にありましたが、僕は試していないので責任は持ちません。カラスやネコに注意してください。

これは素人と判断してもいいのかな・・・・・・

2009-10-22 21:24:25 | 外来生物
 先日書いた“「殺処分・外来種根絶政策に抗議する日本のNGO」について思う”のコメント欄に「殺処分・外来種根絶政策に抗議する日本のNGO」の今井真氏を名乗る書き込みがありました。今回はそのコメントに対し反駁をしていきます。

>セイタカアワダチソウやホテイアオイは不干渉を、ホテイアオイが人間生活に重大な危機をもたらす場合は腐った時点で除去を考えると思います。

これって結局放したもの勝ちの状況を肯定しているだけですよね。
というかホテイアオイがどういった影響を与えているのかきちんと知っているなら不干渉をしますなんて言えないはずなんですが。なぜなら、ホテイアオイが繁茂して水面を覆ってしまうことで水中に光が注がず水草やそれに付随して生きる在来生物が清めない環境になってしまうからです。このように居ついてしまった外来生物により在来生物の存続が危ぶまれる場合にはそれに対する対処療法が必要になるわけです。それを放棄するようなひとが遺棄を憎むと言ってもねえ・・・・・・。
自分からわざわざ外来生物対策の例として持ってきているわけだから墓穴を掘っているとしか僕には思えません。
個人的な見立てで言わせてもらうと実際の外来生物問題の事例を知らない素人かな。
また、規制しなかった行政に責任があると言っていますが、ブラックバスを例にすれば、行政の預かり知らぬところで密放流が行われてきた歴史があります。個人レベルの行為をどうやって逐一規制しろというのですか?また、外来生物問題自体がここ10年ほどで認知されるようになった日の浅い環境問題です。リスクがあるかどうかもよくわからなかった時代のものまで行政の責任にするのは行きすぎではありませんか?(もう少し続く予定です)

「殺処分・外来種根絶政策に抗議する日本のNGO」について思う

2009-10-20 20:02:54 | 外来生物
 先日紹介した「殺処分・外来種根絶政策に抗議する日本のNGO」のサイトを見てきました。今回見たのは彼らのポリシーエッセイと思われる文章です。
まず、ポリシーの部分を見てみましたが、そこには自分たちの主張しかありません。~しなくてはならない、~するべきだといった主張はありますが、その主張の根拠が存在しません。せめてもう少し何故そうしなければならないのか、何故そう言えるのか根拠を述べてくれないとどうしようもありませんよ。
正直なところ半分も言ってることがわかりませんでした(正確には言いたいことはわかるけどそのための論証の関係性がわからない)。エッセイでこの言葉を見たときにはため息すら出ました。

>外来種の生命と希少種の生命は自然科学の観点からは同じものであり、倫理的には共に尊重されるものです。ですから外来種の生命を奪うためには、自然科学的認識と倫理的認識を軽視しなければなりません。そうしてはじめて外来種の生命を軽視できるのです。本当に自然科学や倫理に忠実であろうとすれば、その人は外来種を駆除したりできません。それどころか外来種を問題視することさえできません。

・・・・・・いや、アライグマやブラックバスみたいに大量の生命を消費することでしか存在できない外来生物はどうするのよ。命が等価というならアライグマの命も食われる生物の命も同じなんですよね?じゃあ大量の生命を消費しなくては存在すらできない外来生物の存在はどうやって容認できるんですか?単純に考えるとそれがいない方がより多くの命を助けられるという計算になりますが。
たぶん続きます・・・・・・(正直やりたくねぇ~)。

復活&SPA!の外来生物記事

2009-10-18 20:02:03 | 外来生物
 すみません。インフルエンザにかかってしばらく寝ておりました。新型かどうかは検査をしていないので不明ですが、もらったタミフルはよく効きました。
 僕が寝ている間でも世間では外来生物問題の動きはあったようで、SPA!にて外来生物問題の特集が組まれていました。
「外来種「駆除派/共存派」が激突-意見は違えどほとばしる自然愛」
駆除派として岐阜大の向井氏や五箇氏、村上氏、共存派として池田氏、「殺処分・外来種根絶政策に抗議する日本のNGO」の今井真氏、北海道動物保護協会代表の平井百合子氏という方が登場していました。正直なところ共存派と呼ばれる方々はおなじみの池田清彦を除き、数合わせのために選ばれた感がありました。とくに平井氏などは「外来種にも生存権がある。害があるから即、駆除というのは短絡的」とおっしゃっておりどうも某自称自然保護団体と既視感を覚えました。池田氏の方は相変わらずの内容で、すでにここで何度も批判したので、彼の発言に言及するのは控えます。
「殺処分・外来種根絶政策に抗議する日本のNGO」については、彼らのサイトがあるようですのでそれらを見てからまたレビューを書きたいと思います。


このブログの起因

2009-10-07 22:44:10 | Weblog
 今日はどうして僕がこんなに熊森や池田清彦といった人たちに対して批判をするのか書いてみようと思います。理由としてはニセ科学批判をする人のブログを見ると時に批判する理由を書いたほうが理解してもらえるという記事を目にしたからです。そんなわけでひそみに倣って理由を書いてみようと思いました。
 僕が池田清彦を知ったのは今から4,5年ほど前のことです。当時僕はブラックバス問題という外来生物が引き起こす問題に興味を持っており、ネットや図書館で保全生態学の本を読むなどして勉強していました。そんな中でつり人社という出版社が出版しているBasserという雑誌に池田氏の言説が載り、その後「底抜けブラックバス大騒動」という本も同じ出版社から出版されました。で、それらを読んだときに違和感を覚えたのですが、その時点ではその違和感をきちんと言葉にできませんでした。そのあと先ごろ書いたことなどをして知識をつけていくうちにどうも彼は詭弁を弄していることが分かり、どうも僕の考えとは相いれないという結論になりました。このブログを作った動機の一つは池田氏の言う遺伝子攪乱はナチズムという批判に反論するためです。
 熊森のほうはドングリまきで知りました。その後、彼らが外来生物問題にも口を出しているので彼らの言説を見たら、なんとまあ池田氏の劣化コピーでした。そして、最近は池田氏や熊森が環境問題の専門家面をして公の場に出てくるので、こいつらに好きなようにさせてたら日本の外来生物対策は市民の納得を得るという部分で遅れるんじゃなかろうかと思い特集を組んで彼らを批判するようになりました。

 簡単に理由をまとめますと、彼らを批判するのは彼らのすることが僕(あるいは僕が理想とすること)の邪魔になるからです。さいわい相手は詭弁や事実誤認で墓穴をこれでもかと掘っていてくれるので論理面での批判は楽ですw)
彼らが社会に与えたデメリットを無視して個人的なことを言えば、彼らを批判していくうちに僕も多少は様々な事柄の知識を得られたのでそこは感謝してもいいかもしれません。

まさかこの目で見ようとは

2009-10-06 19:43:48 | いい加減なモノ
 最近は熊森批判ばっかしてるせいでファインマンの本や「おかしな科学」のレビューができねえよ!!と少しいらついている梨でございます。え~今回はニセ科学批判などでよくいわれる“トンデモは連鎖する”についてちょいと書いてみようと思います。
 ことの発端はふと「熊森 疑惑」でググったことから始まりました。
そこで目に付いたのがこれ→TEAM GOGO Q&A 
>Q: カーボンニュートラルについてはどうなっていますか

>多くのGOGOメンバーが日本熊森協会などの会員になって
森を守ったり、植林する活動に参加しています。
日本熊森協会
http://homepage2.nifty.com/kumamori/
一部抜粋

気になってtopにいったら見覚えのあるものが。
健康小冊子発売中
“ご飯はえらい!”
“牛乳はモー毒?”
どこかで見たことがあると思ったら、“牛乳はモー毒?”はどらねこさんのブログで批判されていたものじゃないですか。

牛乳は本当にモー毒か?①
牛乳は本当にモー毒か?②
牛乳は本当にモー毒か?③

リンク先ではほとんど妄言レベルの発言に丁寧かつ的確に突っ込んでおられます。
まさか自分が主体的にかかわっているものでトンデモの連鎖を見ようとは・・・・・・orz。

追記10/7
少し最後のセンテンスを書き足しました。

言葉に責任を持てないのはかっこ悪い

2009-10-04 21:20:17 | 議論
 先日の熊森のことと絡めて言葉に責任を持てないのがいかにかっこ悪いか書いてみます。
ある政治家が記者会見の席で失言をしたとしましょう。後日、その政治家の言っていることは全く事実にそぐわないことがわかり、その政治家は多方面から批判されました。ところが、その政治家はこう言いました「私はそんなことを言ってはいない」。記者会見という公の場で言ったことを無かったことにしようとはどういう量見だとその政治家はさらに批判を受けました。
 こうして考えてみると、ネットという環境で大言壮語を吐いておいて旗色が悪くなったら消して自分の発言を無かったものにするということがいかに卑劣でかっこが悪いものかお分かりいただけると思います。子供ならともかく会員数2万といわれる団体のやっていいことではないのは火を見るより明らかですよね。この例えでは政治家はすぐに自らの誤りを認めて謝罪なり訂正なりをすべきだったでしょう。過ちがあったら謝るのは子供でも理解できる理屈ですよね。逆説的に言ってしまえば、熊森は子供でもわかる理屈すら理解できず言葉に責任を持てない集団ということです。こういう集団に専門家としての発言権を持たせるのは実に危険極まりないです。旗色が悪くなったら発言を無かったことにするような組織を信頼できますか?
本当にあなた達のやっていることは劇薬を使ったおままごとですね熊森さん。