ペドロランド日記

スペインの国際村「ペドロランド」を中心にフランスとイギリスに発信地を移しながら、日々の出来事を綴っています。

パエリャ

2005-02-21 22:50:24 | 食べ物
やっぱり、ウィルフレッドがいる間は晴天は続かないのだった。今日は雨。

昨日はとてもいい天気だったので、海に行った。一番近い海辺はうちから歩いて20分ほどなのだが、隣り町の砂浜まで車で出かける。海に入っている人も何人かいた。さすがにこの時期の海は寒いだろうに。きっとエキセントリックなオランダ人か、寒さ知らずのスカンジナビア人であろう。

海を臨むカフェテリアで久々にパエリャを食べる。ここは、パエリャ発祥の地・バレンシア州の南端である。出てきたパエリャは、まだ汁の残る、半分お粥のようであった。最後にウェーターが「どうだった?」と聞きに来て、パエリャはステーキのように焼き具合を指定するものだったのだと思い出した。ちょっと塩辛い。日本食と同じで、スペイン料理は味付けの濃いものが多いとわたしは思う。

先々週の英字地方紙にパエリャの記事が載っていた。筆者はバレンシア州の州都・バレンシアに滞在するイギリス人の若い女性だが、パエリャのいただき方にも正しいお作法があるのだそうだ。

昨日、わたしたちがいただいたのはミックス・パエリャだったが、本場のバレンシア人に言わせると、魚は魚、肉は肉で、それだけでおいしいものなので、混ぜないほうがいいのだそうだ。最近は、パエリャもスペイン全土に残飯料理として定着していて、マドリード辺りでは、常備品のチョリソを使ったパエリャもよく家庭で作られるようだが、チョリソのパエリャなどは邪道らしい。

大きな2重リング状のパエリャ用コンロというのをよくホームセンターで売っている。これをキャンプ用のガスボンベなどに接続して、屋外でパエリャを作って食べる。もともとパエリャは、家に帰って昼食をとることが不可能だった農業従事者が、地元でとれた米(バレンシア州は米の産地である)に、季節の野菜、辺りを走り回っているニワトリかウサギを鍋に入れて調理したのが始まりで、屋外料理である。バーベキューと同様、通常男性が調理役に回る数少ない料理の1つだということだ。この生い立ちからして、パエリャはパエリャ鍋から直接食べるのが正統な食べ方らしい。大勢でひとつの鍋を突っつくというのは、イギリス人など西洋人にとってはマナーに反したことのようだが、パエリャに関してはこれが正しい食べ方というのはおもしろい。

丸いパエリャ鍋を囲み、自分の場所を決めたら、鍋の端から中央に向かって、扇形を描くように食べ進むのが礼儀だそうである。その際、自分の嫌いな肉なり野菜なりが自分のテリトリーの中に入っていた場合には、それを取り除けて鍋の中央に置く。すると、ほかのほしい人がそれを取るというお約束になっているそうだ。

わたしもかつて3度ほどパエリャ作りに挑戦したが、すべての米にまんべんなく芯が無いように火が通るようにするのが一番難しかった。やっぱり2重リングのパエリャコンロを使うべきなのだろうか。それに、サフランをかなり入れたが(安いのでこんなこともできるわけ)、全然黄色がでない。昨日のパエリャは食べた後、指がまっ黄色になった。きっとクミンを使っているに違いない。ちなみに、昨日のパエリャは一人あたま6ユーロ(約827円)。やっぱり家で四苦八苦して作る気にはならない。パーティーでもするなら話は別だけど。でも、お披露目できるようになるまでには、まだ何回か練習が必要そう。