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貢蕉の瞑想

青梅庵に住む貢蕉の日々のつぶやきです。

古典劇の幕が上がっていくような風情の一句!

2021-11-02 15:29:11 | 日記
令和3年11月2日(火)
海士の顔 
  先見らるゝや 
     けしの花
◎ 陰暦四月中旬の空もおぼろに
春の気配を残して、すぐ隠れてしまう。
 月もなかなか美しいのに、
木々の葉は黒く染められて、
やがてほととぎすが鳴き出すはずの
夜明けとなった。
 海の方から白み始めて須磨寺付近
の台地、上野には海人の家々が並び建ち
その軒端には、麦の穂の波が見渡される。
 けしの花もその付近の所々に咲いている。
 夜が明け初めて来ると、けしの花咲く
辺りに海士の顔がちらほら見えてくる
のが、よい風情だ。
 須磨寺に、『平家物語』の遺品を
多くとどめ、平敦盛の笛など有名である。
また、『源氏物語』の舞台でもある。
 それら古典を背景に朝がゆっくり
明けてくる様子は、まるで古典劇の幕が
上がっていき、明るい照明が照らして
くるかのよう・・・。