キッチン・トランスレーターつれづれ日記

つれづれなるままに日々のよしなしごとを綴ります。本、風景や花や料理、愛犬の写真などをご紹介。

京都大原 寂光院

2018-05-28 15:26:40 | 季節
             

             新緑の美しい静かな大原の寂光院近くの宿に一泊しました。

             

             すぐそばに清流の流れる雰囲気の良い民宿でした。

             宿泊客の半分が外国人。京都です!

             

             建礼門院の居所であったことで名高い寂光院は、そこから歩いて

             ニ、三分。おとなりさんと言ってもよい近さです。

                  

             寂光院は聖徳太子が建立されたという古い古い尼寺ですが、それより

             何より、平家物語の終章の舞台として有名なところです。

             

             平清盛の娘であり、安徳天皇の母として栄華を極めた後の建礼門院、平徳子が、

             その後一転、都を追われ、壇ノ浦で幼い息子安徳天皇と共に入水するのですが、

             自分だけが引き上げられて、京都に送還され、この大原の地で安徳天皇はじめ

             滅びた平氏の菩提を弔い余生を過ごしたという物語は、悲しくも劇的で、この

             地の静寂との対比に深い感慨を覚えすにいられません。

             

             

             京都とはいえ、比叡山麓の山深い里での生活は質素なものだったのでしょう。

             でも、ここは柴漬けの発祥の地だったり、建礼門院の御付きの阿波内侍が花

             や薪を頭に乗せて売り歩く大原女の元祖だったりと、魅力的なエピソードに

             もこと欠きません。

             

             しかしやはり最も感動的なのは、平家物語の「大原御幸」でしょう。

             建礼門院の夫高倉天皇の父親、つまり舅である後白河上皇がお忍び

             で会いに来られ、はじめは固辞していたものの、涙ながらの再会を

             果たしたという逸話です。

             

             一度焼失した本堂が、十七世紀の初め淀君により再建され、それがまた

             しても平成十二年に放火により焼失という、お寺自体も数奇な運命をた

             どっています。そんな栄枯盛衰など露知らぬげに、大原菊が今年も寂光

             院のお庭で可憐な花を咲かせています。      
             
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