エル・グレコ(ギリシャ人)という名前のギリシャ出身の有名なスペインの
画家がいますが、ここはカフェ・グレコ。グレコはイタリア語でギリシャ人
のこと。このカフェを始めたのがギリシャ人だったから、この名前がつい
ているそうです。そのギリシャとスペインとイタリアが今経済破綻寸前で
四苦八苦している。昔は隆盛を極めた国々なのに。栄枯盛衰は世の習
いということでしょうか。
それはともかく、このカフェ・グレコは「ローマの休日」で有名なスペイン
階段のすぐ近くにあります。1760年創業だから、250年以上の歴史があ
ります。ベネツィアのカフェ・フローリアンが1720年創業で、イタリアでは
それについで古いカフェです。
入り口の所で、立って飲食できますが、ちょっとお高いけれど中に入って、
ゆったり座ると、前世紀、前前世紀にタイムスリップしたよう。濃赤のビロ
ードの椅子が豪華です。
スタンダールやバイロン、イプセン、アンデルセン、リスト、メンデルスゾーン
など、ここを訪れた有名人の肖像画やローマの遺跡の絵に囲まれて過ごす
ひと時は贅沢な気分です。
ここは特にドイツ人が多く集まり、「カフェテデスコ(ドイツ人カフェ)」
なんて呼ばれていたとか。もちろゲーテも1786年から2年間ほどイタ
リア旅行をした時、何度もここを訪れたそうです。
学生時代にドイツ文学のゼミで、ゲーテの「ローマ悲歌Romische Elegien」
を読んだことを思い出し、そのゲーテが飲んだかもしれないコーヒーを
彼が座ったかもしれない椅子に座って飲んでいる自分に感無量。ゲーテ
の肖像画の下で記念写真を撮ったりして、イタリア旅行最後の日にすて
きな思い出ができました。