Tree of Birds | |
クリエーター情報なし | |
Houghton Mifflin (Juv) |
ある日、ハリーは交通事故にあった鳥を連れて帰り看病します。鳥の図鑑
によるとグリーン・タフト・トロピカルという鳥。渡り鳥のようです。サリー
と名付けて、とてもよいお友達になりました。もうサリーと離れることはで
きません。ところがある日、窓の外を見ると、葉っぱが落ちているはずの木
が一本、目の覚めるような緑色に変わっています。サリーの友達がやってき
たのです。それからというもの、鳥たちはハリーをつけ回し、風が吹こうが、
雨が降ろうが、言い聞かせようが、脅かそうが、木から離れません。「冬が
そこまで来ているよ。早く飛んで行かなくちゃ」どんどん寒くなって、鳥たち
はみんな青くなりました。だけど鳥たちは動きません。サリーは部屋の中か
ら心配そうに見ています。「分かったよ、ぼくの負けだ」ハリーはとうとう窓
を開けました。すると、鳥たちは一斉に暖かい部屋に飛び込んできました!
絵本の中の動物たちは擬人化されていることが多く、人間のように話した
リ、考えたりするのですが、この「こまった鳥の木」(邦題)に出てくるおび
ただしい数の鳥たちは、あくまでも鳥。鳥らしいやり方で、仲間を取り
戻そうと、少年に対抗します。鳥の目の表情だけで、怒っている、びっ
っくりしている、寒がっているなんていうのが分かるのは、作者の並々な
らぬ力量でしょう。寒くなる前に渡っていかなければならなのに、頑固に
留まって、緑色の体が青くなるところは笑えます。一つ間違えば、ヒッチ
コックの「鳥」になりそうな題材なのですが、鳥たちの姿があまりにユー
モラス」で、「がんばれ!」と応援したくなります。結末も温かい、いい
絵本です。