超心理マニアのためのブログ

マット・イシカワによる超能力研究の文献ガイド

心霊科学と自然科学

2007-01-04 | 読書ガイド
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109番目は日本の研究者の本。

●後藤以紀『心霊科学と自然科学』日本心霊科学協会叢書
 出版科学総合研究所(1982)

著者の「表の顔」は、前工業技術院長、前情報処理学会長、
明治大学名誉教授で、日本のコンピュータのパイオニアのひとり。
http://www.ipsj.or.jp/katsudou/museum/pioneer/i-goto.html

「裏の顔」は、日本心霊科学協会の常任理事をながらく務めた
心霊研究者。本書は日本心霊科学協会の機関紙『心霊研究』
に掲載された後藤氏の記事をとりまとめたもの。

海外の心霊研究の調査報告や、自らが企画して行なった交霊会
の報告からなる。66ページには、心霊現象を心理学的な方法で
解明しようとする「超心理学」は、成果が限られている。あたかも
海上に顔を出した氷山の一角を見ているにすぎない。海中の氷を
見るには「心霊研究」が必要だという趣旨で、超心理学に比べた
心霊研究の優位性を主張している。

科学者が第一線を退いたあとに、怪しい研究をするというパターン
がよく見られるが、後藤氏はそれには当たらない。上の主張をした
ときは、明治大学の教授時代、本書の最後に収録されている記事
は35歳のとき、まだアカデミックの職につく前のものである。