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ウィーン “下町の味” 守るための挑戦

2020-06-12 07:00:03 | 報道/ニュース

5月19日 NHKBS1「国際報道2020」


ウィーンの下町にあるレストラン。
ここで伝統のウィーン料理をふるまっているのが
経営者のグルーバさん(58)。
店は120年にわたって地元の人たちに愛されてきた。
ウィーンで活躍した世界的な指揮者 小澤征爾さんなど
著名人も訪れている。
(グルーバさん)
「ここは地元のたまり場だよ。
 みんな客というより友だちみたいなもんだ。」
しかし3月中旬
感染拡大によって飲食店の営業が禁止され
店はかつてない苦境に陥った。
何とか活路を見出そうと乗り出したのは店頭販売である。
名物料理の肉や魚のフライの販売を始めた。
しかし売り上げは9割も減少。
経営は成り立たない。
(グルーバさん)
「早く再開したいよ。」
こうしたなかオーストリア政府は
5月15日から飲食店の再開に踏み切った。
グルーバさんには店がとるべき感染対策が商工会議所から示された。
(グルーバさん)
「毎日くる新たなルールは複雑だ。
 料理するのは好きだが
 こういうのは向いていないんだ。」
その感染対策に従って店の約100の客席を半分にまで減らした。
さらにテーブル席に置いてある調味料は撤去し
必要な時に小分けして提供することにした。
こうしてできる限りの対策を取ったが
客は戻ってくるのか。
不安はぬぐえない。
そして迎えた2か月ぶりの再開の日。
朝 散髪をして気合を入れたというグルーバさん。
「どうぞ入ってね。」
30年以上前から毎週のように通っている地元の常連客が来てくれた。
(グルーバさん)
「席についたらマスクは外していいからね。」
(客)
「あら 私が最初の客なんて!」
いつも頼んでいた白身魚の伝統料理を注文。
グルーバさんも変わらぬ手つきで自慢の料理を届ける。
(客)
「変わらない美味しさね。
 健康でいられる限りずっと通い続けるわ。」
(客)
「グルーバさんのうまい料理に仲間が集う。
 特別な場所だ。
 また皆で集まりたいね。」
この日の客は40人。
期待した人数には届かなかったが
グルーバさんはともかく店を再開できたことにひとまずほっとしている。
(グルーバさん)
「皆 戻ってきてくれてうれしい。
 天気も良くなかったが
 これから徐々に客も戻ってくると思う。
 また来てくれるようにベストを尽くしたし
 その思いはこれから先も変わらないよ。」
地元に愛されてきた店に活気を取り戻したい。
グルーバさんの新たな挑戦が始まっている。


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