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インド 中国の経済進出に警戒

2020-06-05 07:00:00 | 報道/ニュース

5月14日 NHKBS1「キャッチ!世界のトップニュース」


インドは
3月25日から始まった外出制限から1か月半経ったが
感染者は増加を続け
5月14日時点で7万8,000人となっている。
経済活動が大きな打撃を受けるなか
中国からの投資に警戒感が強まっている。

インドの人口 約13億人。
“世界最大のロックダウン”とも呼ばれている。
この1か月半余の間
インド経済はほぼ止まった状態が続いている。
モディ政権が発足した2014年以降
8%前後の高い経済成長を記録し
“世界の成長エンジン”と言われてきたインド。
しかしこのところ個人消費の落ち込みや金融機関の貸し渋りなどで景気が低迷。
さらに今回の外出制限が追い打ちをかけ
経済成長率はマイナスになるのではという予測も出始めている。
特に大きなダメージを受けているのが自動車市場。
今やインドは正解有数の市場だが
その販売台数は各社とも大きく減少した。
日本の自動車メーカー スズキの子会社でインド最大手のマルチ・スズキの4月の販売台数は
去年の13万台からゼロに。
他のメーカーもゼロかそれに近い水準とみられ
苦境に立たされている。
経済へのダメージが広がるなか
モディ政権は4月 
新しいルールを打ち出した。
近隣国からの直接投資に対して事前の政府認可を義務付けるというものである。
その狙いは
外出制限で経営状態が悪化している企業に対する外国からの敵対的な買収を封じるもので
事実上 中国をターゲットにしたとみられている。
インドでは近年 中国からの投資が拡大。
中国企業による投資額は
直近の10年間で
約2,300億円にのぼっている。
特に中国企業が熱心に投資しているのが
インドが得意とするITなどのスタートアップ企業である。
新型コロナウィルスの感染拡大に乗じて
国内の主要産業における中国の影響力がさらに強まるのではないか。
専門家は「モディ政権が警戒感を強めている」という。
(インド国際経済関係研究所 カトゥリア所長)
「インド政府と企業は
 力がある中国を警戒しています。
 世界的な感染拡大で企業の価値が下落するなか
 中国に安く買いたたかれるのを防ぎたいのです。」
この新しいルールに対し中国政府はさっそく反発。
“今回の措置はWTO(世界貿易機関)の原則に違反する”として
インド政府に対し平等に扱うよう求めた。
新型コロナウィルスの収束が見えない中
大きな打撃を受けているインド経済。
中国とのせめぎ合いが続いている。

インドの主要企業の株価が大幅に下落し市場評価額が下がるなか
中国企業によるインド企業の買収が進むことへの危機感が背景にあったとみられる。
今回のルール厳格化の直接の引き金になったとされているのが
インド住宅金融大手の銀行が
中国の中央銀行にあたる中国人民銀行から1%以上の出資を受け入れたことが分かったことである。
今年3月には感染拡大による株価の下落で
この銀行の株価も約25%下落していた。
モディ政権はこうした動きが他の業種にも拡大するのを食い止めたい考えとみられる。
インドは最近
経済面でも安全保障面でも中国への警戒感を隠さない。
最近では
中国が進める巨大経済圏構想「一帯一路」で
隣国のパキスタンに巨額のインフラ投資を行なっていることや
海洋進出の一環で
中国が潜水艦をインドの目と鼻の先にあるスリランカの港に寄港させるなどしたことに強く反発している。
中国へのけん制としてインドは
特に
安全保障面では日米などと結びつきを強める結果となっている。
ただ今回の措置を持ってインドと中国の対立は今後先鋭化することはないとみられる。
中国は現在インドにとって最大の貿易相手国であり
経済的な対立は両国に何のメリットももたらさない。
インドとしてはあくまで個別の投資案件が国益に沿うものかどうか
ケースバイケースで判断していくものと見られる。
インドは中国の影響力もうまく使いながら
他の国々とも結びつきを強め
バランスを取っていくのがインドの戦略と思われる。
その期待を寄せている国の1つが日本である。
4月 モディ首相と安倍総理が電話会談をした際には
モディ首相が
日本からの投資をもっと誘致したいという意向を示した。
(ジェトロ ニューデリー事務所 村橋所長)
「中国が新型コロナに最初に感染し
 中国からのサプライチェーンが止まったことを受け
 これをインドとしては契機に脱中国という文脈で
 日本からの投資あるいは世界からの投資を増やしたい。
 そういう意識がすごく強いと感じる。」
インドはこれまでコアとなるパーツ
たとえば自動車でいえばエンジン回りの部品とか電子部品などは
中国から輸入していた。
インドとしては今回の脱中国の動きもうまく利用して
日本などからより高度な産業を誘致し
世界での競争力を確保していきたいというのが本音だと思われる。

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