美津島明編集「直言の宴」

政治・経済・思想・文化全般をカヴァーした言論を展開します。

大瀧詠一・山下達郎イチ押しの男性シンガー名曲ベスト3

2020年04月28日 14時35分31秒 | 音楽


当方、寝付くときに、山下達郎と大瀧詠一の「新春放談」をyoutubeで聴くという習慣が、この数年間続いております。「新春放題」は、山下達郎がパーソナリティを務めるラジオ番組の新春恒例企画で、大瀧詠一をゲストに迎え一月のはじめの数回、歌を何曲か織り込んで気ままなトークを繰り広げる、という内容です。当方の記憶違いでなければ、一九八四年から二〇一一年まで続いた長寿番組です。半分くらいは何を言っているのか分かりませんが、とにかくめっぽう楽しい気分になる、という不思議な番組です。

そのなかで、両名が「これは文句なし」と太鼓判を押した三曲の男性シンガーによる楽曲があります。一言お断りしておくと、大瀧詠一にとってエルビス・プレスリーは別格の存在で、ここには含まれません。

一曲目は、ロイ・オービソンの「クライング」(一九六一年)です。大瀧詠一いはく「ロイ・オービソンを好きな人は、最後に大袈裟に歌い上げなきゃロイ・オービソンじゃないというだろうし、彼を嫌いな人は、だからオービソンは嫌いだというだろうな」。山下達郎は、「観客の拍手があったかいんだよね」と感慨深げに言っています。この歌手、日本ではあまりなじみがなくて、唯一「ユー・ゴット・イット」がヒットしただけです。ウェットな日本人の感性にフィットしたのでしょうね。ということで、両曲を掲げておきます。当方、同番組で「クライング」を夜中にはじめて聴いたとき、感激のあまり布団のなかで年甲斐もなくわなないてしまいました。掲げた動画は、一九八七年のライヴを収録したもののようで、二人が話題にしたテイクはこれだと思われます。若い時より歌がずっと上手くなっています。たゆまぬ修練の賜物でしょう。

Roy Orbison - Crying (Black & White Night 30)

You Got It


二曲目は、ライチャス・ブラザースの「アンチェンジド・メロディ」です。二人のトークの合間にサクッとかかって、曲が終わったら何もなかったかのようにまた二人のトークが続き、二人のコメントは何もなかったのですが、なんというか空気から、二人が「文句なしの名曲」と高く評価しているのが伝わってくるのですね。1990年のアメリカ映画「ゴースト/ニューヨークの幻」のテーマミュージックだと言えば、ピンとくる方が少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。下に掲げたのは、ライヴでの歌唱です。歌い終わった後の歌い手の「ああ、オレ、やったね」という満足そうな表情が印象的です。1955年にアレックス・ノースが作曲しハイ・ザレットが作詞した当楽曲には、たくさんのヴァージョンがあり、ライチャス・ブラザースのものはそのなかのひとつです。当動画を観て「ここには《永遠》が刻み込まれている」という感想を持つのはわたしひとりではないでしょう。

Righteous Brothers - Unchained Melody [Live - Best Quality] (1965)


三曲目は、エバリィ・ブラザースの「キャシィズ・クラウン」です。大瀧詠一によれば「二人の間にいろいろあって、決裂したり憎みあったりの末にふたたびふたりでステージに立ったんだよね。恩讐の彼方で、と言おうかなんと言おうか。まさに人間ドラマだね。ボクら、一応お金をもらって歌を歌うんだけど、どこでお金を超えるかが問題なんだ」という意味のことを言っています。山下達郎は「脇を固めている若い連中もよく分かっていて、絶対にアチャラカな音を出したりしない」という意味のことを言っています。「アチャラカ」という言葉が、大瀧さんにエラく受けていますよ。同曲は一九六〇年に発売され、全米1位を記録しています。動画のライヴは一九八三年のもので、同番組でオンエアされたのはこれだと思われます。そういえば、大瀧詠一と山下達郎は、一九八一年にNHK・FM放送で、エバリィ・ブラザースの同曲を歌っています。これも掲げておきましょう。その次に入っている「クライング・イン・ザ・レイン」もエバリィ・ブラザースの曲です。

Everly Brothers - Cathy´s Clown (live 1983) HD 0815007

大滝詠一 & 山下達郎 NHK FM Studio live 1981 ①



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