美津島明編集「直言の宴」

政治・経済・思想・文化全般をカヴァーした言論を展開します。

ブリティッシュ・フォークの名曲(その3)「When I was on Horseback」

2014年08月05日 17時11分37秒 | 音楽
今回ご紹介する「「When I was on Horseback」は、スティーライ・スパンの『Ten Man Mop』(1972年)に収録されています。同アルバムは、前年に発表された『Please to see the King』とともにスティーライ・スパンの代表作とされていると同時に、これまでに紹介したフェアポート・コンベンションの『Riege &Lief』(1969年)やシャーリー・コリンズ&ザ・アルビオン・カントリー・バンドの『No Roses』(1971年)とともにブリティッシュ・フォークの最高峰を成すと評価されています。同じことを繰り返すようですが、個人的にも、その評価に異存はありません。

CD添付の解説によれば、同曲のソースは、アイルランド・ウォーターフォード郡のメアリー・ドーランというミュージシャンの『Tinker from Co.Waterford』というアルバムだそうですから、もとはアイリッシュ・トラッドということになります。

歌詞から察するに、同曲は、どうやら不幸な死に方を余儀なくされた若い兵士のレクイエムのようです。彼は、心根の清らかな若者として描かれています。ゆっくりとした単調なリズムとシンプルな音がじわじわと胸に迫ってきて、尽きせぬ哀切感のある曲です。マディ・プライアのヴォーカルが冴えわたっていて、最後の合唱のところで、聞き手はその圧倒的な情感の高まりに引き込まれてしまいます。いろいろと調べてみましたが、歌詞のなかの「五月十四日」が何を意味するのか、あるいはその日に何が起こったのか、結局わかりませんでした。あまり気にするには及ばないのかもしれません。

パーソネルは、ヴォーカルがマディ・プライア、アコースティックギターがマーティン・カーシー、弦楽器一般がティム・ハートとピーター・ナイト、ベースがアシュリー・ハッチングスです。またもや、アシュリーの名が登場しています。マーティン・カーシーは、その後イギリス・フォーク界の重鎮のような存在になります。カリスマ性があるのでしょうね。


Steeleye Span - When I Was on Horseback


When I was on Horseback

When I was on horseback, wasn’t I pretty?
(馬上で、私は美しくなかったでしょうか)
When I was on horseback, wasn’t I gay?
(馬上で、私は楽しそうではなかったでしょうか)
Wasn’t I pretty when I entered Cork city
(コーク・シティに入ったとき、私は美しくなかったでしょうか)
And met with my downfall on the fourteen of May
(五月一四日に、私は破滅に遭遇したのだった)

Six jolly soldiers to carry my coffin
(私の棺を担ぐのは、六人のほがらかな兵士たちにしてほしい)
Six jolly soldiers to march by my side
(私の傍らを行進するのは、六人のほがらかな兵士たちにしてほしい)
If six jolly soldiers take a bunch of red roses
(彼らが赤いバラの一枝を持っていくならば)
Then for to smell them as we go along
(行進に、かぐわしい香りが伴うことでしょう)

Beat the drum slowly and play the pipes only
(太鼓はゆっくりとリズムを刻み、パイプだけが演奏されます)
Play up the dead march as we go along
(葬送曲とともに、私たちは進みます)
And bring me to Tipperary and lay me down easy
(私をティペラリーに連れてきて、私をゆったりと横たえてください)
I am a young soldier that never done wrong
(私は若き兵士、決して過ちを犯したことはありません)

When I was on horseback, wasn’t I pretty?
When I was on horseback, wasn’t I gay?
Wasn’t I pretty when I entered Cork city
And met with my downfall on the fourteen of May
コメント
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