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大村喜吉著「斎藤秀三郎伝」

2012年11月10日 | ア行
 読者のSさんの協力を得て、大村喜吉著「斎藤秀三郎伝」(吾妻書房、1960年)を「絶版書誌抄録」の「その他」欄にアップしました。

 斎藤秀三郎は英語の好く出来た人で、ドイツ語の関口存男(つぎお)と並び称せられることの多い人です。私は、関口さんの方が大分上だと思いますが。

 斎藤の方が好かった点は、斎藤は自分の英語についての知識を文法書と辞書という形で「まとめて」残した事でしょう。氏の辞書は今でも古書などに出ているのではないでしょうか。

 関口氏にはこの点で大きな欠点がありました。初級向けの教科書や参考書をいくつも書いたりしないで、「冠詞論」のような研究書をもっと書くとか、いや文法の全体をカバーする本と独和辞典を残してほしかったです。

 ヘーゲルの論理学を理解しなかった(読まなかった?)関口には、「体系なき知は学問ではありえない」というヘーゲルの考えは無縁だったようです。天は二物を与えず、と言いますが、とても残念です。

2012年11月10日、牧野 紀之


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