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官僚(官僚主義)

2010年08月06日 | カ行
 官僚をどう考えるか、これは社会の改革の根本問題の1つでしょう。

 人が或る程度以上大きな組織を作って活動すると、どうしてもその組織の指導者のほかに事務員が必要になります。一般には組織は指導者(広義のトップ)と大衆に二分して考えますが、正しくないと思います。事務員という特殊な人々の役割を見落としているからです。組織運営はトップの方針を事務員が実行するのです。しかるに、その仕事の性格から必然的に事務員は実務に通じるように9なりますから、方針そのものにも自分の考えを持つようになります。それがトップへの「参考意見」や「お伺い」程度に留まるうちは問題ないでしょうが、無能トップが事務員に方針作成を丸投げしたりするようになると官僚支配になります。

 この事務員というのは、事務員と言うと間違える可能性がありますが、国家レベルでは軍隊も事務員に入るのです。要するに「実務部隊」です。こう考えると、官僚主義の最たるものが軍隊が権力を握った国家であることが分かります。

 こういう行政権力の政治支配は自称革命組織でも置きます。ソ連共産党が変質したのは、スターリンが書記局(事務部局)を乗っ取り、そこを拠点にして政治局を征服して始まったのです。このように考えると、以下の「参考」に引用してあるレーニンの考えは不十分であることが分かります。

   参考

 01、近代社会において権力をその手に握っている特殊な層は、官僚である。この機関と、近代社会で支配的な階級であるブルジョアジーとの直接のきわめて密接な結びつきは、歴史の上からも(官僚は、封建領主に対する、一般に「旧貴族」層の代表者に対する、ブルジョアジーの最初の政治的武器であり、名門地主でなくラヅノチーネツや「町人」の、政治的支配の舞台への最初の進出であった)、また、この階級の形成および補充の条件そのもの(その門戸はブルジョア的な「人民出身者」だけに開放されているし、無数のきわめて強い糸でこのブルジョアジーと結びっいている)からも、はっきりと分かる。
(レーニン『ナロードニキ主義の経済学的内容……』、『邦訳全集』第1巻、452頁)

 02、官僚主義とは、メストニーチェストヴォ[地位争い]というロシア語に翻訳することが出来る。官僚主義とは、事業の利益より[自分の]出世を上に置くこと、好い地位に特別の注意を払って仕事を軽視すること、思想のための闘争の代わりに補充のために喧嘩をすることを意味する。(レーニン「邦訳全集」第8巻351頁、「一歩前進二歩後退」)

 03、官僚、すなわち大衆から遊離して大衆の上に立つ特権的な人間(レーニン「邦訳全集」第25巻527頁、「国家と革命」第6章第3節)