植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

年間にそうはない鳥肌が立つような試合「神の手」

2020年07月20日 | スポーツ
プロ野球球団にとって、選手の補強は「ドラフト・FA・トレード」が三本柱でありますな。FA(フリーエージェント制度)というのは、プロ球団で一定の年数を経過した選手が、他球団での活躍を希望すればそれを選択出来る仕組みです。
 制度は1993年オフに導入されました。元はと言えば、ドラフト制度がチーム側の一方的な交渉権によって選手を獲得するので、選ばれる方からすると意中の球団を選べないという制度上の欠陥を補うものですね。実際は希望球団以外拒否の有望選手がいて、球団側のドラフト上位指名が不意になるのを避けたいという意向も反映されています。
 ドラフトで意に添わぬチームへ入団を余儀なくされた選手、現球団の起用法や待遇に不満がある選手などが、FA宣言します。すると、他の球団が自由に条件を出して交渉をいたします。球団にとっては、脂がのった実績のある選手を相思相愛でとれるメリットが大きく、選手にとっても年棒が大幅にアップするのが確実なので、これも大歓迎です。
 
 FAによって戦力をそがれる球団に配慮して、その選手のランクによってFA先に決まった球団は、金銭補償y人的補償をしなければなりません。ランクがAクラスなら、その選手を出したチームが、一人好きな選手を対価として貰えるのです。
 わらべうた「はないちもんめ」の世界です。歌詞はちょっと怖くて、戦前の人身売買(口減らしに)由来すると言われます。
  あのこがほしい あのこじゃわからん このこがほしい そうだんしよう
    と謳われました。

 FAで選手獲得する球団は、支配下の選手の内、どうしても相手に渡せない主力選手を28名までプロテクト出来ます。これ以外の6、70名の選手から選べるので、それはそれでメリットがあるのです。
 わが球団巨人軍は、ほとんどがFAで選手を獲得する側でありました。しかし、プロテクトから外れた大事な選手を取られてきたという痛い過去があります。主力で言えば、内海投手(→西武)・長野選手(→広島)、そして若手の有望投手一岡(→広島)、平良(→横浜)でした。特にこの二人の若手は本当にもったいなく、現在広島・横浜では重要な戦力として活躍しています。

 その平良拳太郎が、昨夜の先発で、古巣の巨人と相対しました。試合は、調子がイマイチながら、平良がさすがセリーグ防御率№1の力をみせつけ、6回2失点で降板しました。元の仲間が独り立ちして活躍しているのですから、巨人の選手たちも、うれしく思っているのではないでしょうか。
 昨年ホームラン王の「ソト」、ビデオ判定で幻の本塁打となった後の一振りで今度は文句なしのホームラン。連敗中のベイスターズの必死なプレーが目に付く好試合です。
 巨人は、チャンスを何回も作るも平良の粘り強い投球の前に点が取れず、ベイスターズ自慢のブルペンにも抑えられ9回を迎えました。
 最後は、球界を代表するストッパー「山崎」が上がります。タイムリーが出ないまま9回表で1点ビハインド、流れは明らかに巨人の負けのパターンですね。今シーズンはいくらか打ち込まれているとはいえ絶対的守護神であります。

 そこで、思っても見ない展開となりました。1死からしぶとく内野安打で出た坂本に代わって「代走増田」でした。4年前までに巨人の攻撃で脅威となっていた走のスペシャリスト「鈴木尚広」の再来です。
 牽制球を投げないことで知られる山崎には、盗塁がしづらいそうですが、きっちりと2盗を決め、ツーアウトで打者は丸。引っ張った打球は、1,2塁間に転がり2塁手が横っ飛びにスーパープレーで捕球しました。内野安打です。この時増田は、迷わず2塁からサードを回って本塁へ突入したのです。通常内野安打でセカンドからホームへは帰って来れません。その局面で、イチかバチかサードコーチが手を回したのです。きわどいタイミングでビデオ判定となりましたが、増田の指先が一瞬早くホームベースを刷いていました。
 
 横浜の内野手にはわずかなスキも無駄もなく、本塁へ送球したのです。これぞ野球、これぞプロのプレーです。これで山崎は降板し、横浜戦で音無し、三振の山を築いていた4番岡本の一振りで試合を決めました。

 勿論、今年の巨人が優勝するとは決まっておりませんが、年間でも3指に入るほどの好ゲーム、ベストプレーと言えるでしょう。久しぶりに鳥肌が立ちました。もし、岡本に一発が無かった、あるいは負けたとしても、この試合はいくつものドラマや感動的なプレーに溢れていました。両軍選手の勝負にかける気迫は、コロナで5千人に限定された観客たちにも十分伝わったに相違ありません。疑問符が付く采配が目立つラミレス監督が、ちょっと様子がおかしいのが気がかりではありますが。
それほど見ごたえのある試合でした。

 ワタシ、一層野球が好きになりました。

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