すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【ロシアW杯最終予選・サウジ戦・2】ラインの押し上げとディアゴナーレがない日本の守備

2016-11-24 06:37:02 | サッカー戦術論
コーナーに追い詰められたボクサーのようだ

 ロシアW杯最終予選・サウジ戦。世間は「勝ってよかった」一色だが、前々回の記事で分析した失点シーンが頭から離れない。あの場面には日本の守備の根本的な欠陥が凝縮されている。ここは修正すべきだ。そこでもう一度サウジ戦の失点シーンをさらに前まで巻き戻して見て行こう。

 あのシーン。実は日本には最終ラインを押し上げるチャンスが3回あった。まず1回目は後半43分、(サウジ側から見て)右サイドのハーフラインあたりから日本のゴール前にロングボールを放り込まれた場面だ。このとき吉田がヘディングで大きくクリアした。あそこで守備の原則通り、まずラインを押し上げるべきだった。

 その数秒後には同じく(サウジ側から見て)右サイドのハーフラインあたりから逆サイド深くにサイドチェンジのボールを入れられ、酒井(宏)がまたヘディングでクリアした。このときも少しでもラインを上げたかった。

 そうすれば直後に(前々回の記事で取り上げたように)本田が1人で寄せに行くのでなく、ディアゴナーレを組みながら本田の後ろの選手も連動できていたはずだ。いやそれ以前に最初のチャンスでラインを上げていれば、このとき本田はクリアされたセカンドボールを拾えていたかもしれない。

 そして本田が寄せてくるのを見て、敵ボールホルダーはバックパスする。このときもラインを押し上げられた。このように失点シーンの直前には計3回、ラインを押し上げる機会があった。

 つまり失点シーンはラインがかなり下がってしまった状態であり、敵にたっぷりスペースをプレゼントしていた。PKから失点したオーストラリア戦の後半も同じ症状だった。そして両試合の後半に共通するのは、いずれも自陣に4-4-2のブロックを敷き敵を待ち受ける守備をしていたことだ。だが日本はそのやり方をすると最終ラインが次第にズルズル下がり、コーナーに追い詰められたボクサーのように殴られっぱなしになる。これでは何度ボールをクリアしてもセカンドボールを拾えない。

 チャンスがあれば勇気をもってラインを押し上げ、コンパクトな守備を心がけるべきだ。でないと2度ある失点は3度ある。ハリル政権ではおそらく今後も、ゾーンを下げた戦い方をする機会があるだろう。同じ過ちは決して繰り返さないようにするべきだ。

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