抗原検査は精度が低い
サッカーU-24日本代表が22日の1次リーグ初戦で対戦する南アフリカが、新型コロナ検査で3人の陽性、18人もが濃厚接触者になっている。
ではいったい、この試合にはどれだけのリスクがあるのだろうか? それはおおよそ以下の3つの要素で推し量れる。
(1)選手が毎日受けている抗原検査の感度の低さ、(2)「濃厚接触者」というまちがった日本の定義、(3)「試合6時間前にPCR検査」の愚ーーである。
まず健康管理について見てみよう。
日本オリンピック委員会(JOC)が20日に開いた日本代表選手団の会見では、福井烈団長が「選手やスタッフは毎日、抗原検査を受けており大丈夫だ」と胸を張っていた。
だが抗原検査は感度が50〜90%しかなく、偽陽性の可能性がある。一方、PCR検査の感度は98%あり、偽陽性もほぼ出ない。
ではなぜ日本ではより優れたPCRではなく、劣位の抗原検査がやたらに常用されるのか?
話がそれるがそれは厚労省の医系技官(医師免許をもつ官僚)の利権を守るためだ。医系技官は保健所に天下りする。その保健所が担当するのがPCR検査である。
そこで医系技官がPCRを世に推奨してしまうと、保健所に仕事が殺到しパンクしてしまう。ゆえに医系技官は自らの天下り先を守るために抗原検査を推奨し、結果、日本ではPCRではなく精度の低い抗原検査がやたらに使われるのだ。
これではふだんの健康管理や感染の判定に、著しい影響が出てしまう。
新型コロナは「空気感染」する
一方、日本では「濃厚接触者」なる概念が感染の度合いの指標になるが、この定義は根本的にまちがっている。
海外とくらべ、日本の新型コロナ感染症対策は非常に遅れており、しかも低レベルなのだ。
というのも日本の「濃厚接触者」なる定義は、「新型コロナは飛沫や接触で感染するものだ」というまちがった認識に基づいている。
で、ツバが飛んだり接触が起こる「近距離」にいた人物が濃厚接触者だとされる。
ところが海外ではその後の研究で、新型コロナは(飛沫感染ではなく)エアロゾル感染(空気感染)することが明らかになっている。
この定義でいえば、濃厚接触者の範囲ははるかに広くなる。同じ空間を共有した人間はみんな濃厚接触者だ。
つまりこの法則を南アフリカ代表に当てはめれば、濃厚接触者は報道されている「18人どころではない」可能性がきわめて高い。
「試合6時間前にPCR検査」の危険性
最後に今回の東京五輪で新たに追加された規定についてだ。
南アフリカとの試合は相手が13人の選手を揃えられなければ不戦敗になり、3-0で日本の勝利になる。コロナの流行でこんなケースが多発すれば、五輪で満足に試合ができなくなる。
しかも例えばJリーグなどでは濃厚接触者は14日間の隔離期間を置くことになっているが、東京五輪で同じ基準を適用するとできない試合が多発することが予想される。
そこで今回新たに、隔離期間を置かなくても「対戦相手さえ了承すれば、試合開始6時間前のPCR検査で陰性になれば出場できる」という措置が加わった。
だがこの規定には問題がある。
新型コロナには潜伏期間があるため、実際には感染していても潜伏期間中にPCR検査をしてしまうと陽性にならないケースが出てくるのだ。
となれば実体的には「感染者」なのに、その相手と試合をしてしまうリスクが発生する。
こう見て行くと、南アフリカとの試合には小さくないリスクがあることがわかる。
しかもこの試合を行うことで仮に日本の選手がまとまって濃厚接触者になった場合、その次の試合で対戦相手が「日本とは試合をしない」と宣言すれば、「6時間前のPCR検査で陰性になればOK」の恩恵も受けられない。
いずれにしろ、本来なら中止すべきだった東京五輪で試合を行うのだから、あちこちでリスクが多発するのは当たり前だ。
とすればこのあと我々に残されているのは、「神頼み」しかないのかもしれない。
サッカーU-24日本代表が22日の1次リーグ初戦で対戦する南アフリカが、新型コロナ検査で3人の陽性、18人もが濃厚接触者になっている。
ではいったい、この試合にはどれだけのリスクがあるのだろうか? それはおおよそ以下の3つの要素で推し量れる。
(1)選手が毎日受けている抗原検査の感度の低さ、(2)「濃厚接触者」というまちがった日本の定義、(3)「試合6時間前にPCR検査」の愚ーーである。
まず健康管理について見てみよう。
日本オリンピック委員会(JOC)が20日に開いた日本代表選手団の会見では、福井烈団長が「選手やスタッフは毎日、抗原検査を受けており大丈夫だ」と胸を張っていた。
だが抗原検査は感度が50〜90%しかなく、偽陽性の可能性がある。一方、PCR検査の感度は98%あり、偽陽性もほぼ出ない。
ではなぜ日本ではより優れたPCRではなく、劣位の抗原検査がやたらに常用されるのか?
話がそれるがそれは厚労省の医系技官(医師免許をもつ官僚)の利権を守るためだ。医系技官は保健所に天下りする。その保健所が担当するのがPCR検査である。
そこで医系技官がPCRを世に推奨してしまうと、保健所に仕事が殺到しパンクしてしまう。ゆえに医系技官は自らの天下り先を守るために抗原検査を推奨し、結果、日本ではPCRではなく精度の低い抗原検査がやたらに使われるのだ。
これではふだんの健康管理や感染の判定に、著しい影響が出てしまう。
新型コロナは「空気感染」する
一方、日本では「濃厚接触者」なる概念が感染の度合いの指標になるが、この定義は根本的にまちがっている。
海外とくらべ、日本の新型コロナ感染症対策は非常に遅れており、しかも低レベルなのだ。
というのも日本の「濃厚接触者」なる定義は、「新型コロナは飛沫や接触で感染するものだ」というまちがった認識に基づいている。
で、ツバが飛んだり接触が起こる「近距離」にいた人物が濃厚接触者だとされる。
ところが海外ではその後の研究で、新型コロナは(飛沫感染ではなく)エアロゾル感染(空気感染)することが明らかになっている。
この定義でいえば、濃厚接触者の範囲ははるかに広くなる。同じ空間を共有した人間はみんな濃厚接触者だ。
つまりこの法則を南アフリカ代表に当てはめれば、濃厚接触者は報道されている「18人どころではない」可能性がきわめて高い。
「試合6時間前にPCR検査」の危険性
最後に今回の東京五輪で新たに追加された規定についてだ。
南アフリカとの試合は相手が13人の選手を揃えられなければ不戦敗になり、3-0で日本の勝利になる。コロナの流行でこんなケースが多発すれば、五輪で満足に試合ができなくなる。
しかも例えばJリーグなどでは濃厚接触者は14日間の隔離期間を置くことになっているが、東京五輪で同じ基準を適用するとできない試合が多発することが予想される。
そこで今回新たに、隔離期間を置かなくても「対戦相手さえ了承すれば、試合開始6時間前のPCR検査で陰性になれば出場できる」という措置が加わった。
だがこの規定には問題がある。
新型コロナには潜伏期間があるため、実際には感染していても潜伏期間中にPCR検査をしてしまうと陽性にならないケースが出てくるのだ。
となれば実体的には「感染者」なのに、その相手と試合をしてしまうリスクが発生する。
こう見て行くと、南アフリカとの試合には小さくないリスクがあることがわかる。
しかもこの試合を行うことで仮に日本の選手がまとまって濃厚接触者になった場合、その次の試合で対戦相手が「日本とは試合をしない」と宣言すれば、「6時間前のPCR検査で陰性になればOK」の恩恵も受けられない。
いずれにしろ、本来なら中止すべきだった東京五輪で試合を行うのだから、あちこちでリスクが多発するのは当たり前だ。
とすればこのあと我々に残されているのは、「神頼み」しかないのかもしれない。