すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【森保ジャパン】大迫依存を脱し「プランB」を持て

2020-11-21 07:31:36 | サッカー戦術論
裏抜けタイプのFW育成を

 森保ジャパンの欧州遠征は、FWの大迫がクラブ事情で代表を途中離脱したため、奇しくも意図せずして大迫がいない場合のプランBを模索するための旅になった。

 前線でボールが収まる大迫はターゲットマンとして有用だ。ゆえに森保ジャパンの攻撃は、大げさでなく大迫を起点にするケースが多い。

 大迫が前で収めてボールを落とす、はたく、展開する。いわば大迫は森保ジャパンにとって「最前線のゲームメーカー」と言ってもいい存在だ。

南野と鈴木武蔵、浅野がプランBに挑戦した

 では大迫がいない場合のプランBとは何か? もうおわかりのように大迫とはまったくタイプの違うFWを起用したゲームモデルの構築である。

 で、今回の欧州遠征ではこの試みに南野と鈴木武蔵、浅野が「ポスト大迫」として挑戦した。

 だがまず南野は前で使うとゼロトップであり、彼の適正とはちょっと違う。で、今回は残る鈴木武蔵と浅野がプランB構築に挑んだことになる。

 いうまでもなく彼らは2人ともスピードを生かし裏抜けを狙うタイプであり、大迫のスタイルとは180度ちがう。

 ゆえにこのプランB作りが成功すれば、フィニッシュのバリエーションが大きく増える結果になったはずだ。

 だが率直に言ってこの試みは100%成功したとは言い難い。

 まず浅野はパナマ戦の後半25分から途中出場し、スピードを生かして縦横無尽に暴れた。だがこのケースではパナマが浅野にスペースをたっぷりプレゼントした状態だったため、もろ手を挙げて喜べない。

 そして何より重要なことは、浅野はこのとき点を取ってない。

武蔵は無得点だがスペースを作った

 一方、鈴木武蔵はコートジボワール戦とメキシコ戦にワントップで先発出場した。つまり浅野よりはるかに多くのチャンスを与えられた。そして浅野と同様、点を取ってない。

 ただ武蔵の場合は特にメキシコ戦で、裏抜けを狙ってオープンスペースに何度もスプリントした。そのことによってメキシコの最終ラインを下げさせ、敵のバイタルエリアを広げた。この働きは見逃せない。

 武蔵が得意な裏抜けを実現できなかったのは、逆にいえば裏のスペースを狙ったスルーパスが2列目から出なかったせいだ。受け手の問題というより、出し手の問題である。

 その意味では日本の二列目の選手は(日本人が大好きな)足元にボールを出すだけでなく、一気に裏のスペースを狙う感覚を磨く必要がある。

 とはいえ武蔵はあの敵GKとの決定的な1対1を決められておらず、個人的にはこの点を最重視してマッチレポートでは「もう彼をテストする必要はないのでは?」と半ばキレて書いてしまった(笑)

 だが冷静に考えれば敵の最終ラインを下げさせた武蔵の働きは無視できないし、なにより彼にはフィジカルがある。よって前言を撤回し、浅野ともども今後もリストに残すことを提案したい。浅野のスピードも非常に魅力的だ。

 ただし2人にくれぐれも強調しておきたいことは、FWでありながら点を取っていないということは非常に重い事実であり、今後はその点を改善すべく努力してほしい。

 日本には、「点は取っていないがいい働きをした」「無得点だが機能した」というFWならばいままで掃いて捨てるほどいた。そこから頭ひとつ抜け出すためには、やはりゴールが絶対に必要だということを強調しておきたい。

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