すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【シリア戦・撃ち合いの真相】ハイプレスをかわされカウンターを食らう

2016-04-02 08:44:22 | サッカー日本代表
前から行けば後ろが空く

 5-0で日本が勝ったロシアW杯・アジア2次予選最終戦。日本は作った決定機を決めていれば10点は入っていた。逆にシリアがチャンスをものにすれば、3~4点は失点していた。日本が1度攻めれば、次は必ず相手からカウンターを食らうーー。なぜ日本はシリアという格下相手に、そんな撃ち合いを演じたのか? それはこの試合の位置づけに関係している。

 シリア戦がハイプレス&ショートカウンターのテストだったことは前回の記事で述べた。あの試合はそういう位置づけだった。さて、これでもうピンとくる人はいるだろう。

 前からプレスをかけると、必然的に全体の重心が前がかりになる。すると当然、うしろが空く。で、日本のハイプレスが空振りに終わるとスカスカなうしろのスペースを使われ、攻撃を食らう。そうなれば撃ち合いは必然だ。

 具体的に説明しよう。ハイプレスをかけている際の日本はかなり押し上げ、ハーフウェイラインあたりに最終ラインを敷いている。つまりバックラインのうしろには、広大なスペースが空いている。日本は前からのプレスをかわされるか、あるいはセカンドボールを拾われれば、当然、ライン裏のスペースを使われてカウンターを受ける。

 もちろんハイプレスをかけ、相手ボールを奪って攻め切ってしまえば話は別だ。だがこの日も日本は決定力に欠け、パスをカットされたりこぼれ球を拾われ二次攻撃を受けた。すると今度は日本の高い位置取りがアダになる。

 またあの試合、特に後半は疲労もあり、日本の攻撃陣は前から行っているのにラインの押し上げが利いてない時間帯があった。前の選手は高いゾーンにいるのに、最終ラインが押し上げてないとどうなるか? 最前線とラインの距離が間延びし、当然、今度は中盤にスペースができる。で、そのぽっかり空いた中盤のスペースを使われて逆襲される。

原口のポジショニングは一因にすぎない

 シリア戦が撃ち合いになった理由は、ざっとこんなところだ。日本はすでに前半から相手のカウンターを受けていた。だから後半にボランチとして途中投入された原口のポジショニングがバランスを欠いた、というのは一要素にすぎない。なんせ前述のような理由で、もっと前から撃ち合いになっていたのだから。

 ではなぜ日本はわざわざ危険を冒してまで、格下相手に攻め合ったのか? 繰り返しになるが、それはシリア戦がハイプレス&ショートカウンターのテストだったからだ。別にブロックの位置を中庸に保てば、バランスが取れて安全な勝ち方はできる。だが日本はたとえ撃ち合いになったとしても、前から行くトライを優先した。

 もちろん前がかりになったところを突かれて攻撃されても、対処する術はある。例えばリトリートしてディレイをかけ、相手の攻めを遅らせ味方の帰陣を待てばいい。だが日本はハイプレスの実戦練習(テスト)をしたのはほぼ初めてであり、ディレイをかける対処も万全ではなかった。で、相手の攻めを食らった。

 つまり日本はリスクを犯してでもテストを優先した。

 これがシリア戦、撃ち合いの真相である。
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