すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【ロシアW杯最終予選】まったく落ちない運動量。11人で勝つしぶといサッカーだ 〜日本2-0豪州

2017-09-01 00:41:40 | サッカー日本代表
走っては走るスタイルでW杯本大会出場をゲット

 ハリルは日本懸案の一大テーマだった世代交代をやってのけた。この日、起用した若い井手口と浅野が1ゴールづつ決めオーストラリアを完全シャットアウト。守っては崩れないブロックのバランスと、後半30分以降はゾーンを低く構えるうまい試合運びで流れを締めた。

 日本は4-3-3だ。スタメンはGK川島に、4バックのディフェンスラインは右から酒井(宏)、吉田、昌子、長友。中盤はアンカーに復帰が待たれた長谷部、右のインサイドハーフに山口蛍、左のインサイドハーフには若い井手口を置いた。前線はワントップに大迫を、右WGに浅野と左WGは乾だ。セットプレイはすべて井手口がキッカーになっている。

 対するオーストラリアは、3バックの前に2人のボランチを置く3-6-1である。立ち上がりから彼らは最終ラインからていねいにグラウンダーのボールでビルドアップしてくる。対して日本は最前線の3枚(右から浅野、大迫、乾)がアグレッシヴに前からプレスをかける。ボールを支配しようとするオーストラリアと、逆にボールを持つことを拒絶する日本の噛み合った対決だ。予想通りの展開である。

 前半15分以降、相手ボールのとき日本は立ち上がりよりややゾーンを低くし、ボールを持つ敵DFに対しセンターサークルの前半分あたりからプレッシングしている。これでマイボールになれば、早めにワントップの大迫にボールを当てる。敵を背負った大迫は絶対にボールを取られない安定したポストプレイで前線にタメを作る。彼のポストは鉄板だ。

 すると前半41分。左サイドで長友が下がりながらドリブルし、逆サイドへダイアゴナルなクロスを入れた。そのクロスが入った瞬間、オーストラリアのディフェンスラインは完全に足が止まり棒立ちになる。と、スピードのある浅野がそのウラのスペースに飛び出し、どフリーのシュートを仕上げた。1-0の先行!

 ディフェンスラインでボールをキープしているときのオーストラリアは、日本にプレスをかけられてもあわてない。前回のアウェイ対決のときとは、ここがまるで違う。落ち着きがある。まだ未完成だった前回とくらべ、彼らはうしろからビルドアップする自分たちのスタイルをしっかり自分のものにしている感じだ。

 対する前半の日本はリードはしているものの、オーストラリアと違いチームとしての積み上げがあまり感じられない。ボールが流れるスムーズさもない。ただし相手の良さを決定的に殺すチームカラーであることだけは確かだろう。

代表初ゴールの井手口は群を抜く「個の力」を見せつけた

 後半の立ち上がり、オーストラリアは畳み掛けるようにスピーディな攻めを見せる。ハーフタイムに指示があったのだろう。ただし日本のプレスは決して緩まない。一進一退の攻防が続く。

 そして大団円は後半37分だった。乾にかわり交代出場した原口が左サイドで粘ってタメを作り、井手口にボールが出る。すると井手口は左サイドから中にドリブルでカットインして思い切りよくシュートを振り抜く。目の覚めるような弾丸ライナーがゴールに突き刺さった。彼は少なくともアジア・レベルでは圧倒的な「個の力」を見せつけた。

 前半の日本はさしたるインパクトはなかったものの大きな破綻もなく、後半になるにつれジワジワとまとまりができて行く。後半30分以降はゾーンをさらに低く構えてまず守備から入り、リードを確実なものにする試合運びのうまさを見せつけた。

 さて、終わってみればハリル采配がドンピシャだ。起用した選手が起用に応え活躍する好回転になった。加えて日本はなんといっても絶対に落ちない運動量(特に守備時)がひときわ目を引いた。

 とはいえ本大会出場を決めたというのに、まったく喜びがない。出るべき結果が順当に出ただけ、という感じだ。ヨーロッパのチームならともかく、アジアのオーストラリア程度に日本が負けるわけがない。それに日本はまだ本大会で何も成し遂げてない。

 ただ頼もしいのは、日本は相手にボールを持たせ、走って走ってしぶとく守り少ないチャンスをモノにするショートカウンターを仕掛けていることだ。リトリートしっ放しではなく、プレスバックも怠らない。ネガティブ&ポジティブ・トランジションがいい。最前線3枚のフォアプレスだけでなく、中盤3枚もしっかり守備に効いている。そして、こういうサッカーは「強い相手に強い」。強豪ひしめくW杯本大会向きだ。それはハリル就任の頃からわかっていたことだが、こんなふうにしぶといタイプのチームになるとは思わなかった。

 だが日本の完成度はまだまだである。逆に言えば、チーム全体に伸び代がある(特に吉田と長谷部のイージーミスはかんべんしてほしい)。なんでもハリルはプライベートな問題で監督を辞めそうなのが気になるが……今後は若い選手が中心になり、本大会の決勝トーナメント目指してがんばってほしい。
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【ロシアW杯最終予選・対豪州... | トップ | 【ロシアW杯最終予選】豪州戦... »
最新の画像もっと見る

サッカー日本代表」カテゴリの最新記事