すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【ロシアW杯最終予選】ゆったり遅攻の「ザックジャパン化」ふたたび 〜タイ0-2日本

2016-09-07 10:17:00 | サッカー日本代表
相手が弱ければ勝てる

 相手が弱いから日本が勝った。ただそれだけの試合だった。

 攻めが中央に偏ったUAE戦の反省から、日本は確かにサイドをよく使っていた(このチームは何度「同じ反省」をすれば気がすむのか?)。だがそれ以外はボールの運び方がザックジャパン時代と何も変わりない。ボールを前へ運ぶのにえらく時間をかけている。

 ゆったりとポゼッションし、縦に速く行ける局面でもわざわざいったんボールをバックパスして、ひと休み。すっかりラクをする遅攻サッカーに先祖返りしている。最終ラインから目の覚めるようなグラウンダーの長い縦パスが出るわけでもなし。ディフェンディング・サードから何度も横に繋ぎながら、のんびり前へ押し出していく。

 日本ボールのとき、タイは見ているだけで厳しく寄せてこない。それが結果的に日本の遅攻と噛み合った。かくてエンエンと日本がボールを支配し、もし点が入るとすればそれは日本の得点以外ありえない「共犯関係」が続いた(だって日本がずっとボールを握ってるんだから)。タイは日本より2枚くらい格下で怖さがまったくなく、圧力さえ感じなかった。日本が勝つのは当たり前だ。

 ハリルが監督に就任して以降、「縦に速く」とか「ダイアゴナルなサイドチェンジを」とか、いろんなキーワードが乱れ飛んだ。だがそんなものはすべてスッ飛び、結局はショートパスをゆったり繋ぐザックジャパンになっている。決定力のなさも相変わらずで、あれだけチャンスを作りながら2点に終わった。これで相手がオーストラリアやサウジになったら……先が思いやられる。

本大会ではグループリーグ敗退が関の山だろう

 とはいえ選手別に見ると、何人かの選手は非常にいい働きをした。原口は積極的にボールにからみ、思い切りよく上がるSB酒井高徳とのコンビネーションで左サイドを蹂躙した。原口はネガティヴ・トランジションもよく、相手ボールになった瞬間にすぐ厳しい守備をしていた。すばらしいプレイぶりだった。

 またスタメンで登場したFW浅野も持ち前のスピードを生かし、アグレッシヴに裏のスペースへ走り込んだ。カラダの使い方もずいぶん進化し、マーカーとの間にうまく身をねじ込んでボールをキープしていた。

 一方、香川と本田はサエなかった。ともに決定機はあったが決められず、特に香川は消極的でパスを出すことしか頭にない(シュートの発想がない)。香川と本田があのデキなら、清武と武藤をスタメンで使ったほうがよかったのでは? とさえ思えた。ハリルの「年功序列スタメン」も再考が必要だろう。このチーム最大の課題のひとつは世代交代だが、それを促すような起用法に思えない。もちろんアジア最終予選のド本番でリスクは取れないだろうが、ならばここに至る手前の段階でしかるべき手当てをしておくべきだった。

 スタメン陣の年代を考えれば、ぶっちゃけこのチームには「伸びしろ」がない。もしW杯本大会へ行けたとしても、グループリーグ敗退が関の山だろう。
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