すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

手倉森監督のターンオーバー制はハリルが反面教師か?

2016-01-28 10:12:22 | サッカー日本代表
W杯予選で「海外組完全固定」のA代表

 A代表はW杯アジア2次予選・初戦のシンガポール戦で信じられない引き分けを食らい、以後、ビビったハリルは勝って当たり前のアジアのはるか格下相手に海外組をフル動員し、スタメン完全固定で戦ってきた。

 このブログでは何度も書いたが、「たかが」アジア2次予選なんだから若手を積極的に使い、予選自体を「新戦力発掘のためのテスト」に使わなければ意味がない。お堅いベストメンバーでふつうに勝っても、それはただ勝っただけ。今後の積み上げにならないし、膨大な時間と労力のムダだと強調してきた。

 手倉森監督はまさにそのアジア2次予選のベンチに入り、ハリルの固着化したスタメン選びを目の当たりにしている。ひょっとしたら今回のリオ五輪最終予選でのターンオーバー制は、その反面教師なのではないだろうか? 

最終予選を五輪本番のための「練習試合」に

 リオ五輪本番までを見据え、あえて最終予選のスタメンを日替わりにして多くの選手にチャンスを与えた。つまり最終予選を(実質的に)五輪本番のための「練習試合」にした。それにより選手の伸び代、潜在能力を引き出すことを狙ったのではないか? (それはまさにW杯アジア2次予選でハリルに求められたことである)

 もし手倉森監督がそれを実行したのだとすれば、正真正銘、彼は希代の勝負師と言えるだろう(考えてもみてほしい。五輪行きがかかったあの痺れるイラク戦に岩波を外すなんて、ふつうの監督にはとてもできないだろう)。

 その意味で手倉森監督は、(戦術面でのプランニングうんぬんというより)選手をどう選び、どう使うか? という文字通り「采配」の手練れなのだろう。彼の柔軟な選手起用が「だれにでもチャンスがあるんだ!」という選手のモチベーションを生む。やがてはそれがチームの一体感となって強靭なメンタルの醸造につながる。

強いメンタルが生む「あの得体の知れない底力」

 イラン戦やイラク戦のあの劇的な幕切れを見ると、思わず「このチームのあの得体の知れない底力はいったい何だ?」と驚かされる。そんな科学では説明できないこのチームの火事場の馬鹿力は、手倉森監督がコツコツと仕込んできた強いメンタル、柔軟な選手起用が生み出す爆発的なモチベーションが作り出しているのだろう。

 最後に勝負を決めるのは技術や戦術ではなく、勢いや流れ、気持ち、運気なのだ。U-23日本代表の試合ぶりを見ていると、勝負ごとのそんな「基本」を思い知らされる。

 ぜひ決勝もぶちかましてほしい。

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