goo blog サービス終了のお知らせ 

すちゃらかな日常 松岡美樹

積極財政などの政治経済をすちゃらかな視点で見ます。ワクチン後遺症など社会問題やメディア論、サッカー、音楽ネタも。

【サッカーW杯予選】ジーコが作った「烏合の衆」の行方

2005-03-29 22:47:24 | サッカー日本代表
 イラン戦で引き分けられる試合を落とし、先が思いやられる我が日本代表である。私の感想をひとことでいえば、このチームの体質は以前と何ら変わってない。そして何年かけようが、おそらく変わることがない。まったく空恐ろしい話だ。

 私は以前みたいに年間ずっと張り付きで代表をウォッチしてるわけじゃない。いまや親善試合や予選本番になると湧いて出るニワカである。だけどニワカだからこそわかることもある。

 たとえば1年前に問題になってたことが、1年後に突然、実際のゲームを見るといまだに解決できてない。まったく驚かされてしまう。たまにしか見ないから、それがよくわかる。この1年間に内部でどんな議論があったかなんてずっとウォッチしてないから知るよしもないけど、これってかなり危険なことじゃないの?

 その典型がプレスのかけ方だ。ちょっとサッカーを知ってる方ならおわかりだと思うが、相手ボールになったとき、まったくプレスをかけずに「どうぞ攻めてください」なんてチームはいまどきありえない。「プレスが必要かどうか?」てな議論はすでに結論が出てる話だ。

 ただしプレスをかけるならかけるで、当然チームの持ち味や方針によってやり方にちがいがある。それが出たのが、メディアでも大きく報道されたテヘランでの紅白戦だ。中田英と福西が口論した件である。

 サイト「All About」で現地レポートをした元川悦子氏は、加地の補足説明をこんなふうに伝えている。

「ヒデさんの後ろに敵が来た時、ヒデさんが行くか、フクさんが行くかについて意見が分かれた。フクさんが前に出てしまうとボランチのところが空いてしまう。そこを自分やユージさんがカバーすると、もっと大きな穴が出来る。このあたりが難しい」

 これだけじゃ、サッパリ状況がわからない。だが想像するに中田が問題になってるってことは、右サイドの話なんだろう。たとえば【図1】みたいなケースだ。


【図1】中田の背後に敵のアタッカーが侵入した。
    さてどうする?

 中田の背後に敵のアタッカーが侵入してきた。じゃあこのアタッカーに対し、中田が背後からチェイシングするのか? それとも福西が前に出て対応するのか? こういう問題なんだろうか?

 なにが問題になっているのかやっぱりよくわからない。だってこんなの、草サッカーレベルの練習問題じゃないの?

 もちろんチームのやり方にもよるけど、【図1】のケースでは中田はチェイシングするのがふつうだ。一方、福西が前に出て正面からプレッシャーをかけるのだって当たり前だろう。

 で、それをやったとき元川レポートで問題になってるのが、スペースの処理のしかたらしい。

 加地の言葉を借りれば、福西が前に出るとバイタルエリアにスペースができる。このスペースをDFの選手がカバーすると、今度は後ろに穴ができる。さて困った。どうすればいいんだ? 簡単にいえばこうなる。しかしいったい、なんでそんなことが問題になるんだ? 

 だって【図1】の局面で基本通り対応すれば、スペースなんてそもそもできないんだから。

 議論の中でまったく忘れられているのが、もうひとりのボランチである小野だ。で、私が言う「基本通りの対応」とは、【図2】の形である。


【図2】福西が前に出てプレッシャーをかけ、
    小野が絞って中央のスペースを殺す
    ダブルボランチの基本形

 ダブルボランチなんだから、片方のボランチ(福西)が前に出る、またはサイドに引っ張られた場合、もうひとりのボランチ(小野)が引きながら絞って(中央にポジショニングすること)バランスを取る。で、小野がまん中のスペースを埋めながら福西の背後につき、彼が万一、抜かれたときのカバーもする。

 もちろん小野と福西が逆になっても理屈は同じだ。

【図2】は、ダブルボランチがバランスを取る場合の基本である。こんなのは草サッカーの選手でも知ってるだろう。だいたいそれができないんじゃ、ボランチを2人置いてる意味がない。別にDFの選手が前に出て、福西があけたスペースをカバーする必要なんてない。

 たぶん実際には私が想像してる局面よりもっと複雑なんだろうが(そう祈ってるが)、もし予想通りなんだったら、恐れ入りましたというしかない。

 もっといえば、中田は高い位置(前)からプレスをかけたほうがいいと思ってる。一方、DFのリーダーである宮本も同じ考えだ。ところが福西は、プレスをかけ始めるゾーンをもっと後ろに置いた方がいいと考えてるらしい。単にやり方のちがいだから、どっちが正しいってわけじゃない。ただし問題なのは、どっちで行くのか意思統一ができてない点だ。

「どこからプレスをかけ、ボールを取りに行くのか?」

「ボールがどのゾーンにあるとき、どんなプレスのかけ方をするのか?」

 いったいこれって、ジーコ・ジャパンではいつから問題になってると思います? 私の記憶が正しければ「はるか昔から」だったように思うが、気のせいだろうか?

 なのにこのチームはいまだに同じところでつまづいてる。試合があるときだけ見るニワカの目には、「えっ。それって、まだやってたの?」てな感じだ。そしておそらくジーコが監督であるかぎり、状況はこれからもずっと変わらないんだろう。

 こゆこと書くと、「『知ったか』はすぐにプレス、プレスの大合唱だな」みたいな論点をずらした反応が返ってきそうだ。

 だけど前述の通り、「相手ボールになったとき、まったくプレスをかけずに『どうぞ攻めてください』なんてチームはいまどきありえない」のだ。だったらやるならやるで、ちゃんと決め事を作っておくべきなのはいうまでもない。つけ加えれば、それを決めるのは監督の仕事だ。

 一方、驚いたことに、くだんの中田と福西のやり合いについて「選手同士が率直に意見をぶつけ合っていて好ましい」みたいな論調で報道してるメディアまであった。1年以上前からやり残してる宿題でいまごろモメてる選手を見て、そのいいぐさはないだろう。まったくあきれてものがいえない。

 さて、これまで書いてきたような問題点の解決策として、「守備専任コーチを入れたらどうか?」って提案してる人もいる。でもさ、それ言い始めたらキリないんじゃない? 

 だったらヘディングシュート専任コーチを入れよう、やれフリーキック専任コーチが必要だ、戦術を統括する副官がいたほうがいいんじゃないか? って話になるでしょ。じゃあいったいジーコは何する人なの? 「気合いを入れる人」なんですかね? 

「守備専任コーチが必要だ」的な議論てさ、「まずジーコありき」なんだよねえ。監督がそれをできないなら、首をすげかえればいい。ただそれだけの話だよ。単純明快じゃないの? 現場はおたがいプロなんだから、われわれみたいな外野はともかく本人たちはドライに割り切ってるのが当たり前だ。

 いまでさえエドゥーは何やってんだかわかんないのに、これ以上スタッフふやしてサッカースクールでも作るつもりなんでしょうか。

 最後に川淵サンにいっとくけど、あなたは特に1990年代以降の現代サッカーの流れやら戦術だのをよくわかってないんだから、今後はいっさい代表監督の人事には口を出さないように。

 あなたのドラスティックな改革の手腕は認めるし、すごいと思うよ。けど少なくともあなたには、監督人事で手腕を発揮する能力はないですよ。まったく「私の日本代表」をどこまで貶めれば気がすむんだろう、このお方は。

 ちなみにアタシはニワカなんで、やれジーコ支持だ、解任派だ、なんてむなしい議論に組するつもりはない。

 私がこれまで書いてきたことは、あくまで客観的な分析にすぎない。「まずジーコありき」の論述じゃないし、逆に「まずジーコ解任ありき」の陳述でもない。私の客観的な分析と、じゃあ私個人が主観的にジーコをいいと思うかどうか? は別の話なので、そこんとこよろしく。

●この記事がおもしろかった人はクリックしてちょ♪

人気blogランキングに投票!
コメント (9)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする