ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

藤沢ダム

2019-11-03 01:52:13 | 北海道
2019年10月22日 藤沢ダム
 
藤沢ダムは北海道雨竜郡沼田町真布の石狩川水系幌新太刀別川左支流藤の沢川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧および現地竣工記念碑によれば北海道の事業により1923年(大正12年)に建設されました。
ダムの管理は沼田町土地改良区が行い、土地改良区管内108.84ヘクタールの水田に灌漑用水の補給を行っています。
 
道道1087号線から留萌線真布駅のすぐ先を北に折れると沼田町土地改良区が管理する原野頭首工が現れます。
 
真布川を渡ると左の枝道に折れると藤沢ダムに到着します。
堤体はきれいに刈り払われ、向かって左(右岸)に洪水吐導流部、右(左岸寄り)に底樋ゲートがあります。
 
底樋ゲートは直近改修されたようで、コンクリートもゲートバルブもピカピカです。
 
左岸から下流面。
 
天端には轍が残っています。
 
堤体上流面の多孔式斜樋。
 
 
総貯水容量60万立米。
需要期が終わり水が抜かれています。
 
上流面はコンクリートで護岸。
 
右岸の横越流式洪水吐。
 
洪水吐導流部。
 
水利使用標識。
 
幌新太刀別川上流には戦後国営事業により沼田ダム、幌新ダムと2基の灌漑用ダムが建設され、岩村ダムともども沼田町農家の貴重な水源となっています。
 
(追記)
藤沢ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。  
 
0009 藤沢ダム(1543) 
ため池コード
北海道雨竜郡沼田町真布
石狩川水系藤の沢川
17.5メートル
95メートル
600千㎥/600千㎥
沼田町土地改良区
1923年
◎治水協定が締結されたダム

岩村ダム

2019-11-03 01:09:26 | 北海道
2019年10月22日 岩村ダム
 
岩村ダムは北海道雨竜郡北竜町美葉牛の石狩川水系美葉牛川右支流三の沢川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧では所在地が北竜町岩村になっていますが、これは誤りで岩村は受益地となります。
現地竣工記念碑によれば北海道の事業により1973年(昭和48年)に建設されました。
管理は北竜土地改良区が行い、北竜町岩村地区の83.79ヘクタールの水田に灌漑用水の供給を行っています。
 
国道233号線から三の沢川沿いを西に進むと岩村ダムに到着します。
下流面。
 
左岸の洪水吐導流部。
 
堤体は犬走りを挟んで二段構成、基部は石積みの擁壁になっています。
 
左岸の横越流式洪水吐。
 
ダム下右岸に底樋ゲートがあり、水路は三の沢川とは逆方向、右手の岩村方面に向かいます。
 
総貯水容量22万4000立米と小ぶりな貯水池。
すでに水は抜かれています。
 
右岸の多孔式斜樋と土砂吐。
 
天端には轍が残っています。
 
斜樋越しの上流面。
コンクリートで護岸されています。
 
水利使用標識。
 
岩村ダムは北竜町美葉牛地区にありますが、南に隣接する岩村地区の水田に用水補給をするため岩村ダムの名前が付けられています。
 
(追記)
岩村ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。  
 
3360 岩村ダム(1542) 
ため池コード
北海道雨竜郡北竜町美葉牛
石狩川水系三の沢川
17メートル
146.5メートル
224千㎥/197千㎥
北竜土地改良区
1973年
◎治水協定が締結されたダム 

恵岱別ダム

2019-11-01 16:37:53 | 北海道
2019年10月22日 恵岱別ダム
 
恵岱別ダムは北海道雨竜郡北竜町竜西の石狩川水系恵岱別川上流部にある灌漑目的のロックフィルダムです。
北海道開発局農水部により1952年(昭和27年)より事業着手された国営恵岱別かんがい排水事業により1967年(昭和42年)に竣工し、管理は北竜土地改良区が受託しています。
恵岱別ダムの総貯水容量は437万2000立米で北竜町及び雨竜町の受益農地2249ヘクタールに灌漑用水の供給を行っています。
 
北竜町中心部から道道94号を西進すると北竜トンネル手前で左手に恵岱別ダムが見えてきます。
 
ダムへの取り付け道路から。
 
右岸洪水吐。
 
堤体には芝が張られていたようですが、大半は剥がれロック材が露出しています。
取水設備からの吐口すぐ下流に頭首工があります。
 
ダム下の北竜土地改良区の管理事務所。
ここから先は立ち入り禁止。
 
道道96号線北竜トンネルを抜けると左手にダム貯水池と取水塔が見えます。
すでに水は抜かれています。
 
荒涼とした眺めですが、木々の色づきと赤い取水塔が鮮やか。
 
(追記)
恵岱別ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。  
 
0070 恵岱別ダム(1541) 
北海道雨竜郡北竜町竜西
石狩川水系恵岱別川
35.5メートル
173メートル
4372千㎥/3961千㎥
北竜土地改良区
1967年
◎治水協定が締結されたダム

中幌ダム

2019-11-01 11:47:07 | 北海道
2019年10月21日 中幌ダム
 
中幌ダムは北海道留萌市幌糠町登別の留萌川水系中幌糠川上流部にある防災目的のアースフィルダムです。
留萌振興局管内には道営防災ダム事業で建設された5基の防災ダムがありますがその中で最初に建設されたのが中幌ダムです。
中幌糠川は流下能力が低く洪水期や融雪期には洪水が頻発し流域の農地に多大な被害をもたらしてきました。
そこで北海道は1972年(昭和47年)に農水省の補助を受けた防災ダム事業に着手、1990年(平成2年)に竣工したのが中幌ダムです。
中幌ダムは中幌糠川の洪水調節を目的とする農地防災ダムで、運用開始後は留萌市が受託管理を行い受益農地191ヘクタールおよび受益戸数36戸の防災を担っています。
 
道道550号線がダムのすぐ下流を走っており、道道からダムと正対できます。
堤高25.8メートルのアースフィルダムですが、堤体下部盛土上はロック材で保護されているためぱっと見ロックフィルダムのように見えます。
 
洪水吐と管理事務所
写真では分かり辛いですが洪水吐は円形越流式のようです。
管理事務所はロッジ風。
 
洪水吐減勢工
河床保護のためのブロック工が敷かれてています。
 
残念ながらダム敷地への道は立ち入り禁止になっています。
道道から見た貯水池。総貯水容量293万立米。水は落としていません。
 
道道から見た天端と管理事務所。
天端はアスファルトで舗装され上流面はコンクリート張りのようです。
 
管理事務所をズームアップ。
 
0106 中幌ダム(1540) 
北海道留萌市幌糠町登別
留萌川水系中幌糠川
25.8メートル
123メートル
2930千㎥/2615千㎥
留萌市
1990年

沖内ダム

2019-11-01 09:56:01 | 北海道
2019年10月21日 沖内ダム
 
沖内(おきない)ダムは北海道留萌郡小平町沖内の小平蘂川水系沖内川にある防災・灌漑目的の多目的アースフィルダムです。
留萌振興局管内には道営防災ダム事業で建設された防災ダムが5基ありますが、沖内ダムはそのうちの一つです。
沖内川およびポン沖内川流域は小平町では最も早く入植がすすみ小平町水田発祥の地とされてきました。
しかし両河川の氾濫や渇水による干ばつ被害が絶えず抜本的な治水対策や安定した水源確保は長年の悲願となっていました。
1974年(昭和49年)に北海道は農水省の補助を受けた道営防災ダム事業・圃場整備事業に着手し1995年に竣工したのが沖内ダムです。
沖内ダムは沖内川の洪水調節と受益農地150ヘクタールへの灌漑用水の補給を目的としており、運用開始後は小平町が受託管理を行っています。
 
沖内川に沿って東に進むと沖内ダムが見えてきます。
周辺の山々も紅葉の盛り、堤高29.6メートルの堤体が西日に映えてまさに錦繍の秋です。
 
事前情報ではダムの手前にゲートがありそこから先は立ち入り禁止でした。
ところがゲートはなくそのままダムまで辿りつけました。
天端も車両通行可能で対岸に管理事務所があります。
 
左岸の洪水吐導流部と減勢工。
 
横越流式洪水吐。
 
総貯水容量118万9000立米の貯水池。
訪問時はまだ水が残っていましたが、その後他のダム同様水がすべて落とされたようです。
左手は取水塔。
 
取水塔をズームアップ。
灌漑用水の取水設備とダム穴風の常用洪水吐を兼ねています。
 
ダム下
ちょっと逆光で見づらいのですが、右手の取水設備からの水路、左手の洪水吐からの水路がダム下で合流しています。
 
右岸から下流面
堤体はきれいに刈り払われ管理が行き届いていることが伺えます。
 
上流面はコンクリートで護岸されブロックが格子状に並んでいます。
デザインもあるんでしょうがダム湖への階段も兼ねているようです。
 
水利使用標識。
 
帰宅後確認したところ、普段はダム下のゲートからは立ち入り禁止なのですが、現在ダム上流で工事が行われており関係車両通行のためゲートが開けられていたようです。
 
0140 沖内ダム(1539) 
北海道留萌郡市小平町沖内
小平蘂川水系沖内川
FA
29.6メートル
157メートル
1189千㎥/939千㎥
小平町
1995年

小平ダム

2019-11-01 00:47:24 | 北海道
2019年10月21日 小平ダム
 
小平(おびら)ダムは北海道留萌郡小平町滝下の小平蘂(おびらしべ)川本流上流部にある北海道建設部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
小平ダムは建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、小平蘂川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、小平町への灌漑用水及び上水道用水の供給を目的として1992年(平成4年)に竣工しました。
また河川維持放流を利用して最大出力820キロワットの管理用発電を行っています。
 
ダムは道道126号線沿いにあり、ダム下は全面芝生の小平ダム公園になっており遊歩道や東屋も整備されています。
小平ダム一番のウリはこの首長竜。ダム周辺で発見された全長15メートルの首長竜の実物大像が展示されています。
 
北海道営ダムでは多く見られる横長ダムですが、小平ダムの場合は堤高42.4メートルに対して堤頂長475メートルと他のダムよりも一回りスケールが大きくなっています。
クレストには自由越流式洪水吐が実に19門も並んでいます。
 
周辺の山々に加えて公園に植えられた桜や楓も綺麗に色づいています。
 
天端は車両進入禁止のため往復約1キロを歩いて見学します。
クレストゲートが19門の並ぶため減勢工も横長。
 
右岸の管理事務所と艇庫、インクライン。
注目すべきはインクラインの軌道。軌間が2種類ありまるで狭軌と標準軌のレールのようです。
インクラインを稼働させているところをぜひ見てみたい。
 
『おびらしべ湖』と命名されたダム湖は総貯水容量3320万立米、北海道営ダムのダム湖としてはかなり大規模。
 
 
逆アングルから見た天端と減勢工
周辺と公園の紅葉が本当に見事です。
 
ダム下の小平ダム公園
ここから見ると全長15メートルの首長竜も小さく見えます。
この恐竜がダムを破壊することはなさそう。
 
前日の雨でオリフィスゲートからは激しく放流しています。
ダム下流には沈下橋があり普段はここからダムを正対できるのですが、この日は水位が上がったため立ち入り禁止となっていました。
 
さらにもう一つ、小平ダムの特徴はダム穴風常用洪水吐。
前日の雨で水位が上がり、激しい水しぶきを挙げて流下してゆきます。
 
取水設備。
 
とにかく見どころの多い小平ダム、おまけに一番の紅葉期に訪問でき写真を何枚撮ったことやら。
 
0132 小平ダム(1538) 
北海道留萌郡小平町滝下
小平蘂川水系小平蘂川
FNAW
42.4メートル
475メートル
33200千㎥/27600千㎥
北海道建設部
1992年