ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

浜田ダム(再)

2021-06-08 11:26:54 | 島根県
2021年5月23日 浜田ダム(再)
 
浜田ダム(再)は左岸が島根県浜田市三階町、右岸が同市河内町の二級河川浜田川水系浜田川本流にある島根県土木部が管理する治水目的の重力式コンクリートダムです。
1958年(昭和33年)の豪雨災害を受けて1962年(昭和37年)に島根県初の補助ダムとして治水・発電目的の浜田ダム(元)が建設されました。
しかし1983年(昭和58年)7月豪雨いわゆる山陰大水害、1988年(昭和63年)7月豪雨により浜田川流域で壊滅的な洪水被害が発生したことを受け、県は新たに『浜田川総合開発事業』に着手します。
浜田川の治水能力増強のため浜田ダム(元)を再開発し治水専用ダム化する一方、下流1キロ地点に新たに第二浜田ダムを建設するというものです。
事業は1990年(平成2年)より着手され、2016年(平成28年)に第二浜田ダムが竣工、ついで2020年(令和2年)に浜田ダム再開発事業が竣工し、両ダム併せて従来の4倍強にあたる1689万5000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
再開発された浜田ダム(再)は有効貯水容量すべてが洪水調節容量となる治水専用ダムで、流入量はそのまま放流する流水型治水ダムとなっています。
洪水時には浜田ダム(再)で最大毎秒300立米、第二浜田ダムで最大毎秒530立米の洪水カットを実施し両ダム連携して浜田川の洪水調節を行います。
 一方再開発事業により従来浜田ダムに取水口のあった島根県企業局浜田川発電所は廃止されました。
 
ダム建設に合わせて道路が付け替えられた県道179号黒沢安城浜田線に浜田ダムを示す標識があり、これに従い旧道を進むとダムが見えてきます。
既存のゲートが撤去され非常用洪水吐としてクレスト自由越流頂自由越流式が設けられる一方、常用洪水吐は河床部に設置され平時は流入量をそのまま放流する流水型治水専用ダムとなっています。
ゲートレス化により付加されたクレストゲート周りの白いコンクリートが目立ちます。
ゲート下の正方形の点は再開発の際に設置した足場の跡をモルタルで埋めたものです。
 
左岸ダム湖畔にある円形のコンクリート
浜田ダム(元)の島根県企業局浜田川発電所取水口跡です。
 
ダム右岸下流側のコンクリートの遺構
こちらは浜田ダム(元)建設の際のプラント跡。
 
天端から導流部と減勢工を見降ろします。
常用洪水吐からの水が流下しています。
 
減勢工は左にカーブ、副ダムにはスリットが2本入っています。
第二浜田ダム満水位の際には副ダムや減勢工すべてが水没します。
 
『桜湖』と命名されたダム湖
総貯水容量412万5000立米ですが、流水型治水ダムのため堆砂容量80万立米分だけ貯留されています。
 
右岸から
天端は車道で右岸が屈曲しています。
こちらにも足場跡がたくさん残ります。
 
3枚目写真のプラント跡。
 
再開発で追加された導流壁
白いコンクリートが際立ちます。
 
こちらは浜田ダム(元)の昭和38年の竣工記念碑。
 
山陰大水害を契機として既存の多目的ダムを治水専用ダムとして再開発するとともに下流に新ダムを建設し従来の4倍強の洪水調節容量を確保するという珍しい河川総合開発事業です。
旧県道をもう少し下流に進めば浜田ダム(再)の下流面をきれいに見れるのですが残念ながらゲートが設置され立ち入りできません。

1743 浜田ダム(元)
左岸 島根県浜田市三階町
右岸 島根県浜田市河内町
浜田川水系浜田川
FP
58メートル
184メートル
5000千㎥/4350千㎥
島根県土木部
1962年
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3133 浜田ダム(再)(1644)
左岸 島根県浜田市三階町
右岸 島根県浜田市河内町
浜田川水系浜田川
58メートル
184.369メートル
4125千㎥/3325千㎥
島根県土木部
2020年 浜田ダム(再)竣工


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