ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

第二浜田ダム

2021-06-08 13:57:02 | 島根県
2021年5月23日 第二浜田ダム
 
第二浜田ダムは左岸が島根県浜田市三階町、右岸が同市河内町の二級河川浜田川水系浜田川本流にある島根県土木部が管理する治水目的の重力式コンクリートダムです。
1958年(昭和33年)の豪雨災害を契機に1962年(昭和37年)に島根県初の補助ダムとして治水・発電目的の浜田ダム(元)が建設されました。
しかし1983年(昭和58年)7月豪雨いわゆる山陰大水害及び、1988年(昭和63年)7月豪雨により浜田川流域で大きな洪水被害が発生したことを受け、県は新たに『浜田川総合開発事業』を採択します。
具体的には既存の浜田ダムをゲートレス化・治水専用ダム化とする再開発と、浜田ダム下流1キロ地点に新たに第二浜田ダムを建設し浜田川の洪水調節能力を大幅にアップさせるというものです。
事業は1990年(平成2年)より着手されまず2016年(平成28年)に第二浜田ダムが竣工、ついで2020年(令和2年)に浜田ダム再開発事業が竣工し、両ダム併せて従来の4倍強にあたる1689万5000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
洪水時には浜田ダム(再)で最大毎秒300立米、第二浜田ダムで最大毎秒530立米の洪水カットを実施し両ダム連携して浜田川の洪水調節を行います
また第二浜田ダムには安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水(既得灌漑用水)への補給を目的とした不特定利水容量も配分されています。 
 
第二浜田ダムは重力式コンクリートの主堤と、同じく重力式コンクリートの鞍部ダムで形成されており、ダム建設によって付け替えられた県道179号黒沢安城浜田線が第二浜田ダム天端を通っています。
赤が第二浜田ダム主堤、青が第二浜田鞍部ダム
 
下流から
非常用洪水吐として自由越流式クレストゲート2門、常用洪水吐として自然調節式オリフィスゲート2門を装備
オリフィスは左右で越流高が異なっています。
ダム手前の囲い部分にはかつて浜田ダム(元)を取水ダムとする島根県企業局浜田川発電所がありましたが、浜田ダム再開発事業に伴い廃止撤去されました。
 
左岸から下流面
2016年(平成28年)竣工の新しいダムで、コンクリートの白さが目立ちます。
 
上流面
有効貯水容量1422万立米のうち1357万立米を洪水調節容量が占めるため、オリフィスゲートの位置がずいぶん低くなっています。
またオリフィスは左右で越流高が異なっています。
 
天端は県道179号線が通ります。
 
減勢工と副ダム。
左岸には低水位放流設備に加え、河川維持放流を利用した小水力発電所が建設中。
 
ダム湖は『いわみおろち湖』と命名され総貯水容量は1547万立米。
 
右岸からの天端。
 
天端高欄親柱は再開発事業で切り出した浜田ダム(元)のコンクリ―トが使用され、岩見神楽の『スサノオノミコト』を描いた装飾が施されています。
 
右岸から上流面
堤高から見るとずいぶん水位が低く見えますが、貯水容量の大部分を洪水調節容量が占めるためこれで常時満水位。
 
斬新なデザインの管理事務所
ここで浜田ダム(再)と第二浜田ダムを管理します。
 
(追記)
第二浜田ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

3087 第二浜田ダム(1645)
左岸 島根県浜田市三階町
右岸 島根県浜田市河内町
浜田川水系浜田川
FN
98メートル
218メートル
15470千㎥/14220千㎥
島根県土木部
2016年
◎治水協定が締結されたダム


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