ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

厚幌ダム

2021-09-01 12:59:05 | 北海道
2021年7月20日 厚幌ダム
 
厚幌(あっぽろ)ダムは北海道湧別郡厚真町幌内の二級河川厚真川本流にある北海道建設部が管理する多目的台形CSGダムです。
1986年(昭和61年)に厚真川総合開発事業が着手されますが、厚真川上流にはすでに灌漑目的の厚真ダムがありました。
そこでダム建設地点の厚真町幌内地区からそれぞれ1文字ずつ採り『厚幌ダム』と命名され2018年(平成30年)に北海道の当別ダム、沖縄の金城ダムに次いで国内3例目の台形CSGダムとして竣工しました。
しかし試験湛水終了後の2018年(令和元年)9月の北海道胆振東部地震により、厚真町では甚大な被害が発生します。
幸いダム本体には損傷はなく翌2019年(平成31年)3月に運用が開始されました。
厚幌ダムは(国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、厚真川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水(既得灌漑用水)への補給、湧別東部地区やく3000ヘクタールの農地への灌漑用水の供給、厚真町への上水道用水の供給を目的としています。
 
ダムの運用は無事開始されたものの、貯水池周辺の土砂崩壊により大量の土砂がダム湖に流入しているほか、厚真川沿いの道道235号線や上流の厚真ダムは地震により大きな損害を受けておりいまだに各所で災害復旧工事が行われています。
ダムへのアクセスとなる道道235号線も通行できるのは左岸ダムサイトまで、ダムも天端が開放されているのみです。
 
左岸の道道235号線から
堤高47.2メートル、堤頂長516メートルの横長ダム
日本では3例目、北海道では当別ダムに次ぐ台形CSGダムです。
 
洪水吐は右岸側に非常用洪水吐の自由越流頂7門、左岸側に常用洪水吐の自由越流頂6門が並び、常用洪水吐導流部は台形CSGダムらしくカスケードになっています。
また右岸は堤趾導流壁、左岸は直線の堤体導流壁となっています。
 
左岸ダムサイトの管理事務所。
 
ダム案内板。
道道235号線はダムから上流は災害復旧工事のため通行止め。
 
竣工記念碑も台形。
 
CSGダムは比重が軽く、水圧を利用してバランスをとるため上流面にも傾斜がついています。
取水設備も傾斜式ゲートになります。
左奥は胆振東部地震による地滑りあと。
 
減勢工と放流設備
ダム下も災害復旧工事施設となっているため立ち入りできません。
 
放流設備。
 
ダム湖は総貯水容量4740万立米。
写真で見てもわかるように地震による斜面崩壊により大量の土砂が流入しています。
 
天端は徒歩のみ開放
写真は取水設備建屋。
 
ダム本体は地震による被災を免れましたが、ダム周辺の至る所で被害が残りダムへの道中も工事車両が行き交い騒然として雰囲気です。
上流の厚真ダムの復旧が無事に終了し、落ち着いたときに改めて訪問してみたいと思います。

2974 厚幌ダム(1689)
北海道勇払郡厚真町幌内
厚真川水系厚真川
FNAW
CSG
47.2メートル
516メートル
47400千㎥/43100千㎥
北海道建設部
2018年


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