ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

中野ダム

2018-04-05 11:33:56 | 広島県
2018年3月23日 中野ダム
 
中野ダムは芸予諸島生口島中部、広島県尾道市瀬戸田町中野の中野川水系中野川源流部にある灌漑目的のロックフィルダムです。
瀬戸田町のある生口島は明治時代から続く製塩業を基幹産業としていましたが、1971年(昭和46年)の塩専売法制定により多くの製塩業者が廃業に追い込まれ、製塩業から柑橘を中心とした農業へ事業転換が迫られることになります。
そこで新規果樹園地開拓に伴うかんがい排水施設の整備を行うために、農林省(現農水省)の補助を受けた広島県の畑地帯総合土地改良事業が着手され、その中核施設として1975年(昭和50年)に竣工したのが中野ダムです。
運用開始後は当時の瀬戸田町が、その後の市町村合併により現在は尾道市が受託管理を行っています。
中野ダムの完成により安定した灌漑用水源が確保された生口島は、その後のオレンジ自由化の逆風をレモンやネーブル・はっさくなど付加価値の高い産物に特化することで乗り越え、シトラスの島として日本有数の柑橘産地となっています。
 
今回は因島から西瀬戸自動車道(しまなみ海道)で生口島に向かいました。
生口島北インターから県道81号線を反時計回りに西進し、旧瀬戸田町中心街を南に折れ果樹園の中を南下するとロックフィルの中野ダムが見えてきます。
花崗岩を積み上げた白いリップラップですが、逆光のため色彩感がないのが残念。
 
 
車道を上がるとダムサイトに到着します。
右岸の横越流式洪水吐。
洪水吐に沿って藤棚が作られています。
 
洪水吐導流部越しに。
天端から海が見えるダムです。
 
天端
車両も入れますが、ダートなので歩いて見学します。
 
ダム下には揚水機場がありその先に果樹園地が広がっています。
正面は高根島で左手には三原瀬戸を挟んで竹原方面、右手には三原市の佐木島が見えます。
 
下流面。
 
左岸の取水設備。
 
湖畔に集水トンネル吐口があります
年間降水量が1300ミリ程度の瀬戸内海気候のため、自己流域にとどまらず周辺河川から集水しています。
 
ダム湖インレットに堰堤が沈んでいます。
ダム建設前からあった砂防なのか?ダム建設に合わせて貯砂ダムとして建設されたものかは不明です。
 
上流から
総貯水容量は41万6000立米。
 
1978 中野ダム(1280)
広島県尾道市瀬戸田町中野
中野川水系中野川
A
R
44メートル
170メートル
416千㎥/416千㎥
尾道市
1975年


2 コメント

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Unknown (T)
2021-05-23 22:20:53
ダム活をする前にときどきこちらのブログで知識を付けて訪問しています。見て楽しめる有用なブログに感謝しております。

些細なことで失礼します
1971年=昭和46年
昭和41年=1966年です

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  中野ダム近況
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2018年(平成30年)7月の豪雨災害により土砂崩れが発生し中野ダムは取水施設に壊滅的被害を受けたためしばらく工事のためダム湖は干上がったままでしたが、令和3年3月より取水施設の復旧(新調)により2か月で3割程度水が溜まっています。
(5門のスライドゲートのうち下2門が水中に沈んでいる状況です)

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Unknown (match1128)
2021-06-03 21:05:53
Tさま、ご指摘ありがとうございます。
早速訂正いたします。
遠方のダムはなかなか再訪できないので、現状お知らせ頂けると非常にありがたいです。
今後ともご愛読いただけるよう努力いたします。
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