ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

佐貫頭首工

2015-11-02 13:45:00 | 栃木県
2015年10月31日 佐貫頭首工
 
佐貫頭首工は栃木県塩谷郡塩谷町佐貫の一級河川利根川水系鬼怒川にある栃木県企業局が管理する灌漑・発電目的の可動堰です。
鬼怒川中流域では長期にわたり灌漑用水の取水は計9カ所の簡易な取水堰に頼るほかなく、流域農家は洪水・渇水両面で苦難を強いられてきました。
戦後、戦争激化で中断していた鬼怒川河水統制事業による五十里ダム建設再開により鬼怒川の治水の安定と灌漑用水確保のめどが立ちました。
そこで五十里ダム竣工前年の1955年(昭和30年)に国営鬼怒川中部農業水利事業が着手され、その取水施設として1966年(昭和41年)に竣工したのが佐貫頭首工です。 
ここで取水された水は約5.5キロの導水路で栃木県企業局風見発電所に送られ最大1万200キロワットの水路式発電を行った後、鬼怒川中流沿岸の約9000ヘクタールの水田に灌漑用水として供給されます。
管理は同事業に発電事業者として参加した栃木県企業局が受託していますが、農林省(現農水省)の事業で建設された農業用取水堰のため『頭首工』の名前がついています。
なお佐貫頭首工の堤高は15メートルに満たずダムの要件を満たしていませんが、栃木県によるダムカードが配布されており今回訪問することにしました。

佐貫頭首工と風見発電所の概要図(栃木県HPより)
 
左岸下流側から
手前から土砂吐ローラーゲート2門、洪水吐ローラーゲート1門、洪水吐起伏ゲート2門と並び、その先右岸側には固定堰が続きます。


上流から


頭首工の左岸に鬼怒川中部用水の取水ゲートがあり、ここから風見発電所まで導水されます。
最大取水量は毎秒42立米です。




佐貫頭首工のダムカード。

佐貫頭首工
栃木県塩谷郡塩谷町佐貫 
利根川水系鬼怒川
AP
MB
栃木県企業局
1964年


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