ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

帝釈川ダム(再)

2017-05-15 20:02:19 | 広島県
2017年5月7日 帝釈川ダム(再)
 
帝釈川ダムは左岸が広島県庄原市東城町、右岸が広島県神石郡神石高原町の境界となる高梁川水系帝釈川にある中国電力の発電用重力式コンクリートダムです。
岡山に本拠を置き高梁川水系の電源開発を行っていた山陽中央水電(株)は水量が豊富で急流が続く帝釈川に着目、1924年(大正13年)に完成したのが帝釈川ダムです。
竣工当時の堤高56.9メートルは当時日本一の高さを誇るダムで、ここで取水された水は導水路で下流の帝釈川発電所に送られ当時としては屈指の最大出力4400キロワットの発電を行っていました。
日本発送電による接収ののち、1951年(昭和26年)の電気事業再編政令により中国電力が事業を継承、2002年(平成14年)から2006年(平成18年)にかけての大規模な再開発で現在の姿になりました。
現在は再開発に伴って新設された新帝釈川発電所で最大出力1万1000キロワットのダム水路式発電を行っています。
帝釈川ダムは堤頂長39.5メートルに対し堤高62.4メートルと日本一縦長のダムとなっており、これらの特徴を評価して日本100ダムにも選ばれています。
またダム湖上流に続く帝釈峡は中国地方屈指の景勝地として広島県を代表する観光地となっており、ダム湖の神竜湖も遊覧船が運航されるなど観光スポットの一つとなっておりダム湖百選に選ばれています。
 
県道25号から国民休暇村の標識に従って県道451号に入り、休暇村入口をやり過ごし郷原バス停の分岐を右手に取ると帝釈川ダムの入口に到着します。
この先は車両進入禁止のため徒歩でダムへと向かいます。
 
九十九折れのダムの管理道路を標高差100メートル下り切ると、ダム左岸にある取水口立坑と管理事務所前に到着します。
 
ダムの概要図。
 
1966年(昭和41年)の改修で建設されたトンネル式洪水吐
ちょうどダム湖を遊覧船が通ってゆきます。
 
逆方向から
手前の越流面は建設当時の洪水吐のようです。
 
断崖の通路を進むと・・・。
 
ダムの左岸に到着します。
3基の操作室を挟んで2門のラジアルゲートがあります。
 
堤頂長62.4メートルを見下ろします
実際の高度感を写真ではうまく表現できなのが残念。
 
両岸は石灰岩の断崖が続きます。
 
 
右岸から。
 
堤体と神竜湖
秋には燃えるような紅葉に包まれるそうです。
左手の建屋に行けないものか?と右岸側の山道を進みましたが途中であきらめました。
上流面を見るには遊覧船に乗るのが手っ取り早そう。
 
せっかくの日本一縦長のダムも、下流側から望めないのではやや消化不良。
もっと近場にあるなら何度か通って山上からの撮影ポイントを探すのですが、如何せん広島は遠すぎます。
 
追記
帝釈川ダム(再)は洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1930 帝釈川ダム(元)
広島県庄原市東城町三坂
高梁川水系帝釈川
62.4メートル
39.5メートル
14278㎥/12995㎥
中国電力(株)
1923年
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3316 帝釈川ダム(再) (0986)
広島県庄原市東城町三坂
高梁川水系帝釈川
62.4メートル
39.5メートル
14278㎥/7490㎥
中国電力(株)
2006年再開発竣工
◎治水協定が締結されたダム


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