ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

桝沢ダム

2023-09-26 17:00:04 | 山形県
2016年9月 3日 桝沢ダム
2023年7月25日

枡沢ダムは山形県最上郡金山町下野明の最上川水系枡沢川にある灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
新庄盆地北部、最上川支流の泉田川・金山川流域では広大な扇状地に農地が広がりますが、水源となる河川は伏流水が多いため用水不足が頻発し生産性向上のため安定した水源確保と灌漑施設の整備が求められていました。
これを受け1952年(昭和27年)に国営かんがい排水事業として『泉田川農業水利事業』が着手され、その灌漑用水源として1963年(昭和38年)に桝沢ダムが竣工、事業全体も1967年(昭和42)に完了しました。

桝沢ダムの管理は山形県農林水産部が受託し、泉田川土地改良区管内の水田(当初は約3500ヘクタール、現在は減反や離農などにより1500ヘクタール)に灌漑用水を供給しています。
ダム建設に際し、当地区の主水源である土内川にダム建設適地がなかったことから北側約1.5キロの桝沢にダムを建設し土内川の頭首工からダムに導水しています。
桝沢ダムには2016年(平成28年)9月に訪問、今回2023年(令和5年)7月は土内川の取水堰である第一頭首工を見学しました

下流から。
堤高65.8メートル、堤頂長194.8メートルと農業用コンクリートダムとしてはなかなかのスケール。
昭和30年代竣工ということでクレストゲート2門を装備。

 
堤体上には巨大な取水設備機械室。
そして農業用ダムでは珍しいエレベーター棟を備えています。

 
アングルを変えて。

 
残念ながらダム敷地は開放されておらず、ダムへ通じる管理用トンネル入り口でゲートアウト。

こちらは桝沢ダムと土内川の取水堰である第一頭首工の位置関係
桝沢ダムの流域面積29.8平方キロのうちその9割近い26平方キロが第一頭首工からの導水によります。


右岸にローラーゲート2門
自由越流頂で土内川を閉め切ります。

 
ゲート直上にある取水口
最大毎秒2.5立米を取水します。


桝沢ダムへ通じる導水隧道
訪問時は灌漑期ですが、直前の梅雨前線による大雨でダムが満水のためか取水は行われていません。

 
上流から。
 
頭首工の操作室。

 
水利使用標識
取水量が毎秒2500立米になっていますが、明らかに桁間違い。


機会があれば管理者である山形県農林水産部もしくは泉田川土地改良区にダム敷地での見学許可をお願いしたいと思います。
 
(追記)
桝沢ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
0432 枡沢ダム(0536)
山形県最上郡金山町下野明
最上川水系泉田川
65.8メートル
194.8メートル
6805千㎥/6751千㎥
山形県農林水産部
1963年
◎治水協定が締結されたダム