ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

黒森川第1ダム

2022-12-13 20:21:10 | 秋田県
2022年10月25日 黒森川第1ダム

黒森川第1ダムは秋田県由利本荘市町村の子吉川水系黒森川にある由利本荘市企業局が管理する上水道用水目的のアースフィルダムです。
由利本荘市の水道事業は旧本荘町時代の1940年(昭和15年)に町営水道事業としてスタート、その後の給水人口増加に合わせて数次にわたる拡張事業を行ってきました。
黒森川第1ダムは第4期拡張事業により1976年(昭和51年)に竣工、直上に建設された第2ダムと併せて総貯水容量は220万立米に及び日量最大2万5000立米の給水が可能となりました。
本荘市は2005年(平成17年)に周辺町村との合併により由利本荘市となり水道事業も市企業局の管轄となりましたが、現在でも黒森川貯水池は由利本荘市水道事業の過半を賄う貴重な水源となっています。

ダム下を市道が通り、ダムと正対できます。
市の上水道事業の中核をなす貯水池だけあり、芝はきれいに刈られよく整備されています。
左手は洪水吐導流部、右手は取水設備からの水路となります。


洪水吐をズームアップ
減勢工には2列のバッフルブロックが並びます。


左岸ダムサイトへ移動します。
ダムサイト入り口の竣工記念碑。
総貯水容量は第1ダム150万、第2ダム70万、計220万立米となります。


天端入り口には立ち入り禁止の看板があります。
由利本荘市企業局に確認したところ写真を撮るだけという条件で立ち入り許可がいただけました。
堤頂長は330メートル。
奇麗に整備された下流面はまるで芝生のスロープ。


天端。


上流面はロック材で護岸
白い建屋は取水設備。


超広角で。


実はここは昭和53年に刊行された『新観光 秋田30景』という書物でも取り上げられた鳥海山の展望スポット。
水面が穏やかなときは湖面に鳥海が写りこみ奇麗な逆さ鳥海が見れるようですが、訪問時は雲の中。
そしてこの直上に第2ダムがあります。


天端から下流面を見下ろす
1枚目、2枚目写真は下流の橋から撮ったもの
右手の洪水吐導流部、左手の取水設備からの導水路がダム下で合流します
放流された水はこのすぐ下流で取水され約3キロの導水路で由利原浄水場に送られます。


右岸から上流面
市の水道事業の中核を担う貯水池の取水設備としては正直ちゃちい。


右岸の横越流式洪水吐。


洪水吐導流部。


本来なら直上にある第2ダムも見るべきなんでしょうが時間の関係でパス。さらにその上流にある子吉溜池はいわゆるダム穴(グローリーホール)装備の珍しい溜池ということで、再訪の機会があればぜひ立ち寄ってみたいもの。
黒森川第1及び第2ダムは由利本荘市水道事業の中核を担う貯水池ですが、両ダム合わせた流域面積はわずか6平方キロに留まります。
そのため渇水のたびに給水制限が発動されており、由利本荘市では安定した水源として子吉川上流に建設が進められている鳥海ダムへの期待が大きいようです。

0387 黒森川第1ダム(1917)
秋田県由利本荘市町村
子吉川水系黒森川
26メートル
330メートル
1500千㎥/1300千㎥
由利本荘市企業局
1976年