ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

レン滝ダム

2022-12-17 19:00:00 | 岩手県
2022年10月21日 レン滝ダム
 
レン滝ダムは岩手県岩手郡雫石町南畑の北上川水系南畑川にある農地防災目的の重力式コンクリートダムです。
雫石町南西部の御所地区(旧御所村)では地区を南北に貫流する鶯宿川、南畑川、外桝沢川、矢櫃川沿いに1000ヘクタールを超える農地が広がっていますが、4河川ともに蛇行を繰り返す急流河川となっており豪雨の際には洪水被害が頻発していました。
そこで岩手県は1950年(昭和25年)に農林省(現農水省)の補助を受けた御所防災ダム事業を採択、各河川上流部への4基の農地防災ダム建設が着手されました。
そして1957年(昭和32年)の鶯宿ダム、1961年(昭和36年)の外桝沢ダムに次いで、1968年(昭和43年)に完成したのがレン滝ダムです。
さらに1981年(昭和56年)の矢櫃ダム の完成により事業着手から31年の年月をかけた御所防災ダム事業はようやく竣工に至りました。
4ダムは完成後は雫石町が管理を受託し、4河川流域約670ヘクタールの農地防災を担っています。

雫石町南畑で県道1号盛岡横手線から県道234号花巻雫石線に入りすぐ先の分岐を右手に入るとレン滝ダムに到着します。
堤高37.7メートル、堤頂長170メートルで、洪水吐は堤体左岸寄りにあります。


クレスト自由越流頂が2門
天端はゲート部分が高くなっています。


ダム直下まで接近
導流部向って右手(左岸側)にオリフィスの穴が開いています。
さらに堤体下部に流水式放流管があります。


堤体に埋め込まれた竣工記念の銘板。


上流面
対岸に艇庫とインクラインがあります。


対岸に林道が続くため天端は車両通行可能
ゲート部分が高くなっています。


天端から右岸を振り替えると
ダムサイトに管理事務所がありますが職員の常駐はありません。
ダム下にはバッチャープラント跡と思しき遺構。


減勢工。


流水型防災ダムのため平時は流入量はそのまま放流させダム湖は空っぽ
堆砂容量の配分はなく、総貯水容量186万9000立米=有効貯水容量となっています。


上流面
クレスト越流部が上流側にせり出しています。


上流面全景。


上がオリフィスゲート、下は放流管
平時は流入量は放流管からそのまま放流し、洪水時は放流量を越える部分をダムでカットします。
オリフィスはさらに上下2段の越流部に分かれゲート操作により越流高を操作できるようです。


(追記)
レン滝ダムには農地防災容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

0250 レン滝ダム(1922)
岩手県岩手郡雫石町南畑 
北上川水系南畑川 
 
 
37.7メートル 
170メートル 
1869千㎥/1869千㎥ 
雫石町 
1968年
◎治水協定が締結されたダム