ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

金沢調整池

2023-04-02 18:00:00 | 福島県
2015年12月20日 金沢調整池
2023年 3月19日
 
金沢(かねざわ)調整池は福島県郡山市田村町金沢の阿武隈川水系上石川左支流にある灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
郡山市東部の阿武隈川右岸丘陵地は年間降水量1200ミリの少雨に加え複雑な地形が災いし、農家の大半は零細な営農を余儀なくされていました。
1979年(昭和54年)に農水省による国営農地開発事業郡山東部地区が着手され、同省は建設省の三春ダム建設事業に参加し特定灌漑容量を確保するとともに、新規農地開発・圃場整備・灌漑施設の整備が進められその調整池として2001年(平成13年)に竣工したのが金沢調整池です。
農業水利事業全体も2004年(平成16年)に竣工し、郡山東部地区約1500ヘクタールへの用水補給が開始されました。
管理は併せて建設された高柴調整池 などとともに郡山市東部土地改良区が受託しています。
金沢調整池は郡山市東部地区約1500ヘクタールの農地のうち南部の約1000ヘクタールを受け持ち、余剰期に揚水して貯留し、水量不足時及び三春ダムでの取水が中断される4月に用水補給します。
また金沢調整池は重力式コンクリートの本ダムとアースフィルので構成されていますがここでは本堤のみ取り上げ、については別項で記載することにします。
金沢調整池には2015年(平成27年)12月に初訪、2023年(令和5年)3月に再訪しました。
写真はすべて再訪時のものです。

ダム下から
洪水吐はクレスト自由越流頂2門だけで手前は放流設備。
集水の大半は三春ダムからの導水により事実上の河道外貯水ダムのため、簡易な洪水吐で十分なようです。 


ダム下の金沢揚水機場
三春ダムから導水された水を金沢調整池および末端の幹線水路に揚水します。


右岸ダムサイトには管理棟を兼ねた福島市東部地区土地改良区の事務所があり、門前に説明板や記念碑が建てられています。


天端は徒歩のみ通行可能で、周回道路で貯水池を一周できます。


右手の建屋は取水及び導水操作室
湖面に浮かぶのがヒンジパイプ昇降型フロート式取水設備。


ヒンジパイプ昇降型フロート式取水設備をズームアップ。
水中に『く』の字型の昇降機があり水位に合わせて表層取水を行います。


天端から
右手は放流設備、奥は金沢揚水機場。

総貯水容量137万1000立米の調整池
4月は三春ダムでの取水が一時的に中断されるため、それに備えてほぼ満水。


貯水池の対岸にある


左岸から
堤頂長247.8メートルの横長ダム。


上流面
堤体にビルトインされているのが取水及び導水操作室
右手に浮かぶのがヒンジパイプ昇降型フロート式取水設備。

から遠望
右手の建物が郡山市東部土地改良区事務所で、ここで灌漑設備全般の管制を行います。

貯水池周辺は郡山市東部森林公園として整備されており、本来なら市民の憩いの場となるはずです。
しかし、公園が除染物資の仮置き場となっているため今は使用禁止となっています。

0532 金沢調整池(0130)
福島県郡山市田村町金沢 
阿武隈水系上石川 
 
 
30.8メートル 
247.8メートル 
1371㎥/1331㎥ 
郡山市東部土地改良区 
2001年 


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