たけこの部屋

観劇と東方神起が好きです。

失われゆくもの

2008-01-18 22:21:31 | 日常
待ち合わせまでの時間つぶしにふと立ち寄ったデパートの物産展で、私の勤めていた会社が大変お世話になっている仕事関係の方とばったりお会いしました。

72歳の彼は、現在は息子さんに事業を任されて第一線を退いていらっしゃいますが、全盛期の頃は素晴らしい業績で私どもを支えてくださり、50年という長い期間、ずっと我々の良きパートナーとして歩み続けてくださっています。
そういう方々に支えられて、会社は成長させていただいたし、我々もお給料をいただいてこれました。

お茶をしながら、彼が肩を落として嘆くのです。
「あの頃の○○(←うちの会社名)はどこへいったんや・・・。」

ここ10年くらいの間に、彼がこれまで大切にしてきた会社との情や絆、信頼関係というものは加速を増して希薄になり、機械化や業界の変化に対応できにくくなったところは、これまでの会社への貢献度がどうであれ、いくらいい人物であれ、会社の都合のみで容赦なく切り捨てられたり、待遇に大きな差をつけられるようになりました。まるで経営陣が人間からロボットに変わったかのように。

会社が生き残っていくためにどの業界でも起こっていること・・・と言ってしまえばそれまでかもしれませんが、私はこれから生き残る企業というのは、心を鬼にできる企業ではなく、人に優しくできる企業(=社員を大切にし、会社の歴史を支えてくださった方々への敬意を忘れない)であってほしいと願っています。

先日TVで、某商社が社員寮を復活させたというニュースを聞き、この企業の危機管理能力は素晴らしいと思いました。コスト削減の結果失われたコミュニケーションを取り戻そうとしているこの企業は、人を大切にし、心のつながりを大切に考える企業だと思いました。その考え方は必ず顧客サービスにつながると私は確信します。
生き残るために何かを削ったり切り離すだけでなく、失われゆくものを取り戻すということにもっと世の中の目が向けられることを願います。
コメント (2)
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