第1回目と今回の胎土分析の結果である。Dataの互換性がないので、第1回目のAt%を今回のMass%に換算した。
資料2とSam-3は同じ双魚文である。胎土成分比はなんとなく類似性ありそうだ。
Wch-03は草花文盤片であるが、この1点が外れている。その理由は不詳である。それ以外は完品を含めて強い相関(i=0.712)を示している。それが示すのは、胎土は年代差を越え、各窯共に同じ場所から採取していた可能性である。サンカンペーンの窯址を訪問された方なら気が付いておられるであるが、彼の地は赤土地帯である。その成分比は大同小異の可能性がある。フェイパヨーム窯の陶片素地分析を行なえば、上述のことがハッキリするが、これ以上分析する動機に欠ける。
印花双魚文盤を分析したいと考えるが、パヤオ窯の資料が3点しかなく、資料数が大幅に足りない。
以上、5回にわたり連載したが、今回と2年前の分析で判明したことは・・・
1.鉄絵顔料の組成分析結果は、バラツキが大きく、焼成窯の特徴を抽出できなかった。つまり、鉄絵顔料の分析では、ワット・チェンセーン窯を特定できない。
2.胎土の組成分析でも焼成窯の特定はできなかった。しかし、サンカンペーン窯群全体の特徴らしきものは掴めた。ただしサンカンペーン・ジャンパーボーン窯、サンカンペーン・トンジョーク窯やパヤオ窯等との比較はできていないとの前提である。
<了>
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