世界の街角

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ローイカトン直前のガティン

2015-12-02 07:51:29 | 日記
2010年10月末のローイカトンに関し、少し古い話で恐縮である。タイ人は精霊を信じ、アニミズムと仏教が何の矛盾を感じさせないほどに併存する。これは日本人の我々も、大木や大岩に霊が宿るとのアニミズムと、神道や仏教と併存している姿につながる。しかし日本人はタイ人ほどの信仰心はもたない。
霊は災いと救済の双方の意味があるのは、タイも日本も同様な考え方であろうが、日本の今日は、忘却の彼方に去って久しい。タイ人の日常の生活をみていると、生活の一部に組み込まれている。信ずるものが在れば幸せである。
ローイカトンを1週間後に控えたターペー通りを歩いていると、百足(ムカデ)の幟がたっている。何か意味がありそうなので知人に聞くと、種々教えてくれた。
曰く、ガティンと云い、それは寺で一年に一回行われる功徳をを施す行事だそうで、ガティンの式には象徴であるムカデの旗が必ずある。この旗には色々な意味があって、ムカデは「怒り」ということらしい。ムカデは毒を持った生き物で、噛まれたらすごく痛い。でも薬で治る。それと同じで、「怒り」も起こるがすぐ落ち着く。
また、昔の言い伝えに以下のようなものがあると云う。ある日、お金持ちでケチなおじいさんがいた。功徳を施すのが大嫌いでお寺に行かなかった。死ぬ前には自分の宝物を地下に埋めた。そして、死んでから自分の宝物を守るためにムカデになって生まれ変わったという。その後、「ムカデになって生まれ変わりたくなければ、ガティンの儀式で功徳を施しに行くように」・・・という教えになったとのことである。
タイ人は輪廻にこだわる。タンブン(功徳)を積み、来世はよりよき人間に生まれ変わろうとする。その一端が垣間見える噺である。
その年一回のガティンの儀式が、何故ローイカトンの直前に行われるかについての説明はなかった。以下、2010年のローイカトンの山車である。
失礼ながら、何でも坊主が先頭にたつのはタイならではのこと。ローククラトンの山車の先頭に僧侶を載せた輿が進む。