まさおっちの眼

生きている「今」をどう見るか。まさおっちの発言集です。

現役はいいよなー

2009-07-23 | 随筆
二時間ほどパチンコを打って、夜10時を過ぎたから、もういいかなーっと、カミさんを迎えにスナック「なおみ」に行った。客が少なく、カミさんを含めて二人だった。車に戻ってカミさんを待っていたら、ママさんが来て「ちょっと、寄って行きなよ」という。疲れて帰りたかったけど、駐車場に車を入れて、なおみに立ち寄った。60歳という客がひとり、実に歌いっぷりがいい。「ご主人、歌、うまいねー。語るように歌う、とっても味があるよ」とぼくが言う。「いやあ、お褒めにあずかって」。ママさんがお客を指差して「この人はね、店を二軒持ってるのよ」と言う。「従業員ってのは自分より上って思わないとね、なかなかうまく行かないよ。ここにはストレス発散で来るんですよ」とお客は言う。いいなー、現役って、ぼくは羨ましくて、なんだかその人がまぶしく見えた。「パチンコはね、絶対負けるように出来てるんですよ。行く人がバカなんだな。中途半端に行くから。行くなら徹底的に負けりゃあいいんですよ」。ここらの話になって、だんだん苛立ってきた。そりゃあ、その通りだよ、おっしゃる通りだ。だけどね、パチンコ屋に行ってごらん、みんな、やることがない高齢者が気晴らしにやってるのがほとんどだよ。負けるのを判っていながら、やることがないから行ってるだけなんだ。元気で、現役の人は正論をぶつ。しかし、おいらみたいに働きたくとも二時間も何かをすれば疲れて横になる不元気で、仕事をしたくても出来ない人や、高齢で働けない人もいるんだ、なんて言ってみたところで、こちらがだんだんミジメになってくる。「帰ろう」、ぼくはカミさんに言って、車に戻った。どうしょうもないことは、どうしょうもない。どうしょうもないことは世の中にたくさんある。その日は雲って、星も出ていなかった。