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NHKテレビの苗場山登山を懐かしく楽しみました

2012-07-21 07:57:47 | Weblog
昨夜、7月20日のNHKテレビは夏山登山の特集でした。紹介された中で苗場山は2度ほど登ったことがあり、家内と当時の思い出を語りながら、懐かしく視聴しました。
 
 日本百名山の一つ苗場山は海抜2,145メートル、新潟県と長野県の県境にあります。新潟県側からかぐら・みつまたスキー場から登る祓川ルートと長野県側の小赤沢から登る二つのルートを利用するのが一般的です。テレビでは祓川ルートの和田小屋からのスタートでした。赤湯へ下りるルートは経験がありませんので期待をしていましたが、赤湯温泉の映像が中心で頂上から赤湯までの下山の様子がカットされていたのは残念でした。

私の苗場山登山記録です。



2百年前、鈴木牧之も祓川ルートを登りました

 関越道塩沢石打ICの出口で左折、17号線を苗場方向へ。神立のリゾートマンション群を右手に見ながら登り坂の国道を行くと、芝原トンネルがあり、次の短いトンネルを抜け、三俣の民宿村へ入る道を右折します。清津川を渡り、みつまた高原を経て、みつまた・かぐらスキー場へと林道を進みます。  

  途中、新幹線利用の登山客を越後湯沢駅から和田小屋まで運んだ帰りのタクシーとときどきすれ違います。林道管理小屋を抜けてしばらく走ると、スキー場の入り口にある苗場山登山口に到着、20台位の車が駐車できる空き地があります。
 道幅が十分の登山道をスキーリフトに沿って登ると和田小屋に到着、ここからいよいよ本来の登山道です。

文化八年(1811年)旧暦の七月、牧之は12名の友と案内人に導かれ、麓の三俣から清津川を渡り、このルートを登っています。「・・・椈樹森列して日を遮り、山篠生ひ茂りて径を塞ぐ。枯れたる老樹折れて路に横たりたるを踰るは臥竜を踏がごとし・・・藤かつら笠にまとひ、繁る竹身を隠し、石高くして径狭く、一歩も平坦のみちをふまず・・・」と記しています。

今では牧之たちが苦労して登った道は三合目までは車で、それから先は登山道に沿うような形で作られたスキーコースが神楽ヶ峰まで伸びていますから、200年前の面影は全くありませんが、岩だらけの登山道は歩きにくく、何度も躓きながら足を引き上げるような感じで登りました。

 登山口から3時間半で頂上まで登れると案内書には書いてありますが、体調不良気味で年に一、二回しか山に登らない私は5時間も掛かりました。それにしても、道なき道を山篠おしわけながら麓から登り切った牧之をはじめ当時の人々の健脚振りには驚嘆します。



 神楽ヶ峰から頂上に至る様子は牧之の描写そのものでした。山頂直前の「雲尾坂」と現在呼ばれる細い尾根道は、北越雪譜では「馬の背」となっていますが、こちらのほうが的確な命名だと感じました。

 牧之が登った200年前にも、苗場山に登る人は居たらしく、牧之一行は頂上の「・・・木の枝、山ささ、枯れ草など取りあつめ、ふじかつらにて、はひ入るばかりに作りたる・・・」という小屋に一泊しています。

頂上にある小屋の一つ、遊仙閣のご主人のお話ですと、恐らく同じ場所にあったのだろうということです。また、牧之が眼にした山頂からの「・・・越後はさら也、浅間の烟をはじめ、信濃の連山みな眼下に波濤す。千隈川は白き糸をひき、佐渡は青き盆石をおく。能登の洲崎は蛾眉をなし、越前の遠山は青黛を残せり。ここに眼を拭て扶桑第一の富士を視いだせり、そのさま雪の一握りを置くが如し・・・」という眺望は、現在でも条件が揃えば、年に何度かは見ることができるとのことです。但し、千曲川は他の川の間違いだろうとのことでした。

 日帰り登山をする人も多いようですが、とても無理、小屋に一泊しました。翌朝、同じ道を戻りましたが、赤倉山から赤湯温泉に下山する人、小赤沢に降りる人も多かったようです。

 
秋山郷からの小赤沢ルート

前夜は切明温泉宿泊、午前8時に車で出発、405号線を津南方面へ進みます。和山集落を過ぎ、栃川を渡ってすぐが上野原集落です。バス停留場脇の道を右折して集落の中に入ります。鈴木牧之にちなんで建てられた宿のよさの里を通り過ぎ、左手に天保の大凶作・疱瘡のため滅んだ上村集落跡があります。細い道路を更に登ると右手の高台にある自然にできた神秘的な池、天池(あまいけ)があり、ここから望む鳥甲山(2,038m)の険しくそそり立つ岩壁に圧倒されます。

道路はここで左に曲がり、山腹に沿った平坦な未舗装道路となります。途中、展望台を過ぎ、やがて小赤沢からの道路と合流、苗場山登山道の三合目駐車場に到着です。トイレも整備された数十台が駐車できる広い駐車場です。

登山道は林の中に入っていきます。やがて日も差し込まない原生林の中の道となります。原生林を抜けると、潅木が多くなり、周囲は明るくなりますが、だんだんと坂がきつくなり、昇り降りを助けるため、ロープが吊るされている急坂の道となります。やがて見晴らしの利く坂を登り切ると、木道が設置されている平坦な湿原に出ます。ここからは頂上の湿原まで一時間弱です。

 木道を歩き始めて直ぐ、和山からの登山ルートが合流、やがて道は唐松の林の中に道が入っていきます。唐松の低い木を乗り越えたり、潜ったりで、岩の多い道は、平坦だが意外に体力を使います。ここを頑張ると頂上部の広い、池塘が点在する湿原に出ます。



 北越雪譜の序文を書いた京山人百樹は苗場山の地勢を牧之より聞き、「・・・おそらくは上古人ありて此山をひらき、絶頂を平坦になし、馬の背の天険をたのみてここに住居し耕作をもしたるが、亡びてのち其の灵魂ここにとどまりて苗場の奇異をもなすにやと思えり・・・」と記しています。

江戸の一流の知識人である京山でさえ、当時の俚言を信じていたことになります。もっとも山小屋で出会った地元の方も、初めて苗場に来たとき、池塘の水面が反射してビニールハウスが作られているのかと錯覚したと言われていましたから、池塘を太古に放置された田圃と考えたのも無理からぬことです。

こちらのルートの所要時間は登り4時間、下り3時間の日帰り登山でした。三合目駐車場からは小赤沢を通り、津南町を経て、松之山温泉に泊りました。

頂上の宿泊施設の予約
頂上には遊仙閣(Tel 0275-87-3268)と苗場山自然体験交流センター(Tel 0257-67-2202長野県栄村観光協会)の二つの宿泊施設があります。シーズン中は予約をしておいたほうが良いでしょう。

遊仙閣は惜しまれつつも廃業されたそうです。


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