シニアー個人旅行のかわら版

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四万温泉・積善館で二泊三日の湯治を体験しました

2009-02-27 10:32:54 | Weblog
 (写真は積善館からご提供いただきました
最近、昔ながらの湯治に魅力を感じています。
そこで、関東周辺で、明治の頃から湯治客で賑わった温泉旅館をネットで片っ端から調べました。すると、自炊の湯治客を受け入れていた温泉旅館の中には、その伝統を引き継いでいる旅館があることを知りました。
食事の量を加減して、ヘルシーな料理を工夫し、接客サービスも必要最小限として、宿泊料金をできるだけ安くする・・・そして代々の湯守が大切に守り続けてきた温泉を、何日も、何回も、心から楽しんでもらいたいと考えた湯治形式のプランを持つ温泉旅館が何軒かありました。
四万温泉の積善館もそんな旅館の一つです。


四万温泉はこんな温泉です
上信越高原国立公園に源を発する清流四万川に沿って、温泉口、山口、新湯、ゆずりは、日向見の五つの温泉が点在、キャッチフレーズ「ひとには教えたくない温泉があります」がビッタリの山間の、歴史がある温泉です。
15軒ほどの旅館と食堂・土産店が並ぶ、温泉街らしい佇まいをみせている新湯に泊まりました。

積善館はこんな旅館です
 元禄4年(1692年)に作られ県重要文化財の本館玄関と、大正時代に作られた湯殿「元禄の湯」が積善館を代表する歴史であり、映画の一場面に使われたり、テレビの旅番組でたびたび登場しています。
明治時代の面影を残す本館、大正時代に建てられた山荘、最近の建築となる瀟洒な4階建ての佳松亭の三つの建物が、新湯川の川辺から裏山の斜面を重層的に飾り、トンネルとエレベーターで結ばれています。


宿泊料金はこんな設定です
本館の一泊5,350円から佳松亭の45,300円までの宿泊プランがあります。本館での湯治形式の宿泊プラン5,350円ですが、除外日、日祭日前日を除いて、二人以上の宿泊者が対象、今回の旅では二泊、二人で税、入湯税込みで21,400円でした。インターネット経由で申し込みをしましたが、1月下旬時点で2月分はほぼ満室でした。
会計を済ませて帰りがけに、壁に資料として飾られた明治四十四年の宿泊料金の「定」書きに目が留まりました。「特等金参圓 上等金壱圓五十銭 中等金壹圓 並等金六拾五銭」とありました。
 明治四十五年に亡くなった石川啄木の朝日新聞社員として給料が25円、現在に換算すると凡そ12万円・・・それに当てはめると「特等1万五千円、上等7千5百円円、中等5千円、並等3千5百円」となり、庶民でも湯治を楽しめる値段でした。

湯治はこんな感じでした
 明治時代の本館は南側に廊下を配置、その後ろに障子と襖で区切られた六畳間の客室が並んでいました。床の間は勿論のこと、押入れもない造りで、簡単な自炊ができるよう廊下を広めにとってありました。現在では隣の部屋とは壁で区切られ、通路を北側に、部屋の入り口に押入れが設置されていますが、昔の面影をよく残しています
海抜800メートルの高地にある四万温泉は、避暑地の湯治場として賑わっていたようですが、冬場はどうしていたのでしょうか。現在では温泉をパイプで部屋に導き、それを熱源として温風を部屋にいれます。火災やガス中毒の心配のないやさしい暖房ですが、部屋の温度は上がりません。懐かしい電気コタツで暖を取りながら、テレビを見たり、読書をしたり、懐かしい時の流れに身を任せました。テレビや読書に飽き、寒さを感じると、元禄の湯、岩風呂、新館の杜の湯と渡り歩き、入浴三昧の二泊三日でした。
ところで部屋名がイー23号でした。客室名には花木の名前をつけるのが一般的ですが、昔はイ、ロ、ハで棟を、番号で部屋を表示していたのでしょう。

食事は箱弁当です
 朝食、夕食は大広間でいただきます。部屋ごとのテーブルに二段重ねの箱弁当が載っています。ご飯はお櫃で用意され、味噌汁は大なべで暖め、お替りもOK、待機する賄いの方がテーブルまで運んでくれます。おかずは少量ずつ、種類も十分、味も悪くはありません。暖かな鍋物を追加注文されている方もおりました。
最近は小食となり、旅館の食事の量と料理の多さに閉口していましたから、今回の箱弁当は大変気に入りました。夕食がちょうど良い分量であったためでしょうか、朝ごはんも久しぶりに二杯、美味しくいただきました。
飲み物は、広間でも注文できますが、持ち込みも自由、地元の大吟醸銘酒を持ち込みました。

リピーターの方が目立ちます
隣テーブルのご夫婦と話しましたが、年間10回は湯治プランを利用されているとのこと・・・奥様は浴衣の上に肩掛けショールを羽織られて、暖房があまり効かない大広間での食事に備えられていました。
 アクセスは、特急草津号が3本停まるJR吾妻線中之条駅から路線バスでという方が多いようです。また、東京までの高速バス四万温泉号が、冬期には一日2本出ており、往復5,000円と格安です。
私は自家用車利用でしたが、積善館からの宿泊確認の電話の際に、スタッドレス装着を勧められました。

  なお、四万温泉手前の沢渡温泉「まるほん旅館」にも湯治プランがあります。
 http://www.sawatari.jp/asunaro/ryoukin.html

次のブログをお読みください。
積善館、明治31年の版画を読み解く
湯治旅館の面影を残す鎌先温泉に泊まる



 
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