新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

トランプ大統領対金正恩委員長の会談

2018-04-30 13:48:46 | コラム
CVIDなるか:

あの文在寅大統領と金正恩委員長の会談以来、多くの新聞とテレビであの会談の成果とそれが今後如何なる形で具体化されるかについて、数多くの専門家が意見を述べてこられた。そのお陰でこの私にも何が問題点となるかは少しは見えてきた。大方の観測は「あの文在寅大統領と金正恩委員長の会談は、来たるべきトランプ大統領と金正恩委員長の会談への布石であろう」という点に絞られているように思えた。即ち、トランプ大統領が自ら語られたように「成り行き次第では席を蹴って立ち去る」ようなのだ。

私の見方はトランプ大統領はアメリカが過去に繰り返してDPRKに約束を反故にされてきた経験に鑑みて、決して金正恩委員長を相手にして いとも容易く“CVID”(=完全なる検証可能にして変更不能な核兵器廃棄)が達成できるとは予期しておられないのだろうと思って見ている。だからこそ「席を蹴って立ち去る」との、言わば条件の如き事を事前に表明されて圧力をかけたのだろうと思っている。

私は言わばトランプ大統領支持派ではないと言うか、個人的な好みとして評価しないようなことをずっと言い続けてきた。だが、トランプ大統領が就任以来の業績まで否定も批判もしてこなかった。そして、今日までその選挙公約を万難を排除しても実行されようとする姿勢の一環として「DPRKの非核化(韓国に駐留する米軍の非核化にあらず)」を達成しようとして、積極的に金正恩委員長との首脳会談にまで踏み切られた積極果敢な政策には敬意を表するものである。

それは「今日までに歴代の米国大統領がDPRKに裏切られてきた約束を今度こそ実現させる」との強い意志の表明であり、言うのは簡単であっても実現には多くの困難を伴うであろう事に勇敢にも踏み切られた実行力と勇気は、少なくともオバマ大統領の8年間の任期中には先ず見せられたことはなかったのだった。トランプ大統領の日頃の言動というかTwitterを使って表明される政策なり意志の表明なりには批判を招いたものが多かった。

だが、このように金正恩委員長との会談にまで積極的且つ大胆に踏み込んだ実行力というか姿勢は、未だ嘗て歴代のアメリカ大統領には見られなかったものだったと思う。

私はポンペイオCIA長官(当時)までを平壌にまで密かに派遣して首脳会談の下準備まで持ち込んでおられた作戦には「なるほど」と「流石CIA」と大いなる「サプライズ」を以て受け止めたのだった。今後は事態をここまで持ってこられた以上「席を蹴って立ち去る」ような事態を極力回避されるように、何も一度だけの会談に終わることなく、 “CVID”を世界の為にも達成して頂きたいものと期待するのではなく「願っている次第」である。

専門家の中には「この度の板門店宣言も過去に何度も表明された合意事項をなぞっただけである」とその内容の実現に懸念を表明した例もあった。実は、正直なところ私が最も懸念しているのはこの点なのである。それはこれまでのDPRKの手法というか手口から見れば。私には金正恩なる者は一筋縄ではいかない知恵者(悪知恵も含めて)であり、側近にもかなり有能な参謀役がいるのではないかと思わせてくれていたから懸念するのだ。

即ち、来たるべき(トランプ大統領が3~4週間中にと表明された)会談の後ではと言うか結果次第では、何れはトランプ大統領と金正恩委員長との知恵比べというか、押したり引いたりと世界が固唾をのむような駆け引きの段階に入っていくのではないかと、一人密かに予測しているのだ。私はトランプ大統領は相当以上の確信を持って押し切れると想定されて事に臨むのではと思っているのだが、如何なものだろう。




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