新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

また一人、私と同じ学校年齢の方が亡くなった

2024-01-11 07:12:49 | コラム
田久保忠衛氏逝く:

非常に優れた言論人の一人だった田久保忠衛氏の訃報を聞いた。90歳で私と同じ学校年齢だったと確認した。もっと活躍されて、我が国の緩んだ状態に喝を入れて貰いたかった。ご冥福をお祈りする。

実は、ここに田久保氏を語ろうとしたのには、少し個人的な感情があるのだ。トランプ政権の頃だったと記憶するが、田久保氏は産経新聞の「正論」に「我が国はアメリカの庇護の下にある国である。その我が国を養ってくれているアメリカの大統領であるトランプ氏を貶す者がいるのは怪しからん」という意味の指摘をされていた。

今や、そのドナルド・トランプ氏が再選を目指して積極的に活動され、再選を狙う現職のバイデン大統領と真っ向から争う姿勢だ。私はトランプ氏が泡沫候補だと貶されていた頃から現職の大統領だった時代でも「アメリカの高等教育を受け、知識階層にある人たちには嫌われているし、私の嘗ての上司、同僚、アメリカの友人知己たちにトランプ支持者はない、その無知部振りには呆れる」と何度か非難してきた。

また、スタンフォード大学、ペンスルベイニア大学、プリンストン大学等のビジネススクールの教員だった我が友YM氏も「学会と政界の自分の交友範囲内にトランプ支持者はない」と明言していた。私のこのような主張に田久保氏の指摘と全く同じ理由で舌鋒激しく非難してこられたメル友もおられた。その方は「トランプ氏が駄目ならオバマにしようというのか」と論旨をすり替えてこられたのには参った。

トランプ氏を嫌う一つの大きな根拠に「トランプ氏に貿易実務に関する底抜けの無知」があった。トランプ大統領は中国からの輸入に高率の関税を課す政策を採った。この事そのものには別段異議は唱えない。だが、トランプ大統領は「関税をかけた結果で毎日のように莫大な金額の関税が連邦政府に入ってくる」と手放しで喜んだのだった。それを聞いた側近が慌てて「その金額はアメリカの輸入業者が納付しているもの」と諭していたのだった。

トランプ氏は家業である不動産業には通じておられたのだろうが、畑違いの国際貿易の実務をご存じではなかったので、あのようなことを言ってしまったのだろう。だが、私は大統領たる者が何も森羅万象に通じている必要はないと思っている。国家の最高の地位に立つ者は、実務の世界に明るい者たちを周囲に置けば良いことだと思っている。トランプ大統領にあのような失言をさせたのは側近の責任だろう。

田久保忠衛氏が亡くなったことを追悼するはずのものが、トランプ前大統領の批判を展開することになったが、労働者階層を主力にするトランプ氏の支持派はトランプ氏が幾ら訴追されても揺らいでいない以上、トランプ氏の再選の可能性は高いのではと、私の元同僚や友人たちは恐れている。もしもそうなった場合に、故安倍晋三元総理なき現在に岸田総理は、どのようにその時に備えておられるのだろうかと気になっている。



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