新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

過剰な食材偽装の報道に思うこと

2013-11-06 12:25:17 | コラム
「経営者の劣化」だけが原因なのか:

何時始まったかも記憶がないが、今やテレビでニュースを見れば陳腐な表現で恐縮だが、まるで鬼の首でも取ったかのように「偽装」だか「錯覚」だが、「虚偽」か知らぬが、各社の偽装に内容を事細かに報じては批判また批判と非難である。些かウンザリである。

当方は高島屋の常務の記者会見を再三聞かされて、何とも情けなく且つ悲しい思いをさせられた。それは、ある大手製造会社の同世代の社長だった方が何年前だったかに、現在の不況の一因として「経営者の劣化だ」と指摘されたのを想起させられたからである。あの記者からの突っ込み的な質問に対して、あれほど支離滅裂な論旨が一貫していないことしか言えない人が常務取締役であるとは、当に劣化だと思わせられた。

この常務だけではなく、ほとんどの偽装をしたと指摘された会社の社長を含めた役員の説明というか弁解というか、釈明というか、あるいは嘘の答弁というのか区別できないが、如何にして追求から逃れ責任を回避しようとの魂胆が丸見えで、その次元の低さに呆れているだけだった。もしかして、彼らはあの答えが通用するとは思っていないのかも知れないが、彼らが守ろうとしたものが何かが見えてこないのだ。しかし、これまでに発覚した2社で社長が辞任の意向を表明している。

次に私が不思議に思っていることは、メニュー等に表示したものよりも低価格の食材を使っていたと認めた上で、返金に応じるとまでは阪急阪神ホテルでは言った。だが、安い材料を使っている以上「差額相当分を値下げします」という報道がない点だ。当方は「デフレのせいなのかな」と痛感させら一面があると思うが、具体的な対応策を表明したとの細かい報道もなく、唯々批判めいた報道をする暇があれば、例えば「安いエビを使っているのだったならば、何パーセント価格を下げる用意があるか」くらいは突っ込んでも良くはないのかと思う。

最後に、私はこの種の虚偽表示は未だ未だ出てくるだろうと思っているし、今回の一連の偽装が如何なる取材で判明したのか知らぬが、決して驚くような種類のことではないと認識している。それは、マスコミは既に回転寿司等では魚の偽装が頻繁に行われていたと報じていたし、上述のように決してデフレから解放された訳ではない我が国景気の状態では、値下げ競争(price warとでも言うか)の如きことは起こっていたし、これから先も続く危険性が高いと認識している。

それが利益を挙げるための正当な経済活動なのか、愚かな行為なのか、経営者のみの劣化のためなのか、あるいは安値を追いたがる消費者は免責なのかは、議論は分かれるのではないか。


コメントを投稿