久保建英を最後まで使ったのが良かった:
FIFAのランキングでは我が方が18位であるのに対してバーレーンは81位なのだそうで、格上が格下にどのようなサッカーで勝つのかを見ようとばかりに観戦した。だが、81位だって然る者で、前半を早い寄せと長めの足を活かしたディフェンスで、無失点で終わらせて見せた。特に、我が方が誇る海外で大活躍の三笘薫に殆ど何もさせなかったのが効いたと思っていた。
古きWMフォーメイションの時代のサッカー選手の当方には、代表選手たちは世界の舞台で通用している程上手くなったにも拘わらず「横一線で並んでいるバーレーンのディフェンスラインの頭を越して裏側にバックスピンの効いた縦パスを落とさないのか」と「何故吉田麻也がいなくなっても後陣で、ディフェンダー間で無意味なパス交換を続けるのか」が不可解だった。
バーレーンの監督は日本を充分に研究してきたと言ったそうだが、その成果でホームでは5対0で負けたと聞いたほどの差が見られなかったと言うよりも、我が方が攻めあぐんでいただけという前半のサッカーだった。三苫が機能させて貰えず、上田綺世は不発で点が取れる型を作れていなかった。
後半になっても「攻めあぐね」が続いていたが、そこでスペインで大活躍の久保建英が、私に言わせれば、持てる力を発揮してくれた。縦へのパスの発信元は上田だったそうだが、受けた久保が途中交代で入ってきた鎌田が並んで上がってきて、前が空いたのを見るや、体を回転させてディフェンスの裏を通す絶好且つ絶妙のパスを通し、鎌田が難なく決めてやっと1点取れたので「勝負あった」と安心した。
「流石に久保だ」と堪能させて貰えたが、久保はこれだけでは終わらなかった。42分には左サイドでキープしてゴールラインギリギリまで上がったので、てっきりセンタリング(今では「クロスパス」と言うそうで)をするのかと思えば、角度が殆ど無い所からより角度がなくなるGKの右側を抜く目にも止まらないシュートで鮮やかな2点目を決めてくれた。「凄いし上手い」と感心するだけだった。
私は久保建英が代表選手たちの中では別格であるだけではなく、別種のサッカーの上手さがあると評価している。だが、昨夜のように攻守に真摯敢闘の動きを見せることが少なかった為か、森保監督は彼を起用しても途中交代させるか、最初からベンチに置いたままにする使い方をしていた。
監督には夫々主義主張があるだけではなく、選手の好き嫌いがあるので、私は森保監督が久保のサッカーが好みではないと判断してきた。だが、昨夜はその疑問を排除するかのように最後まで使い切り最高のアシストと、試合を決定づけるシュートとを決めさせる使い方をした。ヨーロッパ風に言えば「Man of the match」にしたのだった。
極論を述べて締めよう。それは「昨晩、森保監督が使った10数名の選手たちは皆揃ってヨーロッパのサッカー界で通用する水準に達しているのは疑いもない所だし、前田大然だったかは大量の点を取っている。だが、日本代表に招集されると、それほどの凄さも上手さも見せてくれない。何故なのだろうか。
私の結論は簡単明瞭で「彼等は周りが一流選手たちばかりのヨーロッパのリーグに行けば、周りの名手たちが日本の代表選手たちの長所を活かした使い方をしてくれるかではないのか。だが、日本代表ともなれば周囲に『使われてこそ特徴が出てくる』者たちばかりなので、容易に形を組み立てられないのでは」という事だと見ている。実は、この推理は嘗て香川や岡崎にも当て嵌まっていた。
現在の代表ティームの中心選手は遠藤航なのだろうが、私の目には彼は中盤で真摯敢闘しているが、ゲームメーカーのようには見えないのだ。私の見損ないだったらお詫びするが、遠藤から「鮮やかにディフェンスの裏を取ったパスが出た」というような場面を見た記憶が無いのが残念なのだ。尤も、森保監督の主義主張は「同程度の水準にある者を集めて、中心となる組み立て役は置かないサッカー」なのかもしれない。
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